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トップレビューwash? / love me

wash? / love me

2010.01.01   MUSIC | CD

DDCZ-1654 2,300yen (tax in) / 1.20 IN STORES

 前作『Slacker's high』以来、2年振りに放たれるwash?通算5作目となるオリジナル・アルバム。断言しよう。真正面から歌を基軸に据えた作品としては過去随一の内容であると。初期の緻密な音作りもそれはそれで良かったが、奥村 大(vo, g)の真摯な姿勢がゆえの糊代の少なさも確かに目立った。それが作品を追うごとにいい塩梅に肩の力が抜けるようになり、一聴するとラフな音作りながら真に迫る音像という理想的な境地にいよいよ達したと言っていい。また、奥村の歌の力量が格段に増した。コーラス・ワークが美しすぎるにも程がある『I know I know』で聴ける艶のあるヴォーカルはとりわけ素晴らしく、ラフ・ミックスを聴かせてもらった段階で思わず身震いした。何の先入観もなくこの徹頭徹尾肉感的なロックンロールを享受して欲しいので必要以上に重いことは書きたくないのだが、この2年の間に逝去した上田現とmiya38こと宮沢昌宏への至上のレクイエムが本作に収録されていることには触れざるを得ない。だが、それを単なる感傷に浸った独り善がりの歌ではなく、万人の心にも染み入る普遍的な歌として昇華させているのは見事である。これだけの技量を勝ち得たのは、彼らが歌を介して思いを届けることに意識的になったことが大きな理由のひとつとして挙げられると思う。歌をコミュニケートの手段として聴き手と共有することに腹を括った彼らの“君に捧げる咆哮”はあなたに届くだろうか。(Rooftop編集長:椎名宗之)

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