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トップレビュー鳥山明『COWA!』- 辛いこと、悲しいこと、うれしいこと、楽しいこともみんな変わらずに、ただ同じ入れ物に入っているだけ。漫画家・阿部洋一の #とにかく癒されたいときのカルチャー

鳥山明『COWA!』- 辛いこと、悲しいこと、うれしいこと、楽しいこともみんな変わらずに、ただ同じ入れ物に入っているだけ。漫画家・阿部洋一の #とにかく癒されたいときのカルチャー

2020.04.15   CULTURE | CD

『COWA!』鳥山明

 (集英社)

辛いこと、悲しいこと、うれしいこと、楽しいこともみんな変わらずに、ただ同じ入れ物に入っているだけ

ロードムービーが好きです。少年と不器用な大人の関わり合いのお話が好きです。かわいいオバケが好きです。
 
そんな僕の好みの要素が詰め込まっている漫画、『COWA!』(鳥山明)が僕にとっての癒され漫画です。 
 
オバケと人間が一緒に暮らす村にオバケだけが罹る「オバケ風邪」が大流行。罹れば一ケ月以内に100%死んでしまう。その病を治す薬を求め、オバケの子ども達と元相撲取りの人間とで旅をする。
 
…という今の世の中の状況とちょっとリンクしてしまってる部分もあるのですが、
重い話でなく、とてもやさしいお話です。  
 
重くなりそうな部分もあったりはするのですが、他の何気ない日常的な部分や心温まる部分と同じような温度で淡々と語られていきます。
      
辛いこと、悲しいこと、うれしいこと、楽しいこともみんな変わらずに、ただ同じ入れ物に入っているだけ。鳥山明先生の、物語を俯瞰で見てるようなこの感じがとても好きです。
 
あと、この物語の序盤と終盤に「友だち」という言葉が出てくるのですが、この言葉の響き方が違ってくるのにもグッときます。
 
僕は友だちがあまりいないので、物語の中で「友だち」や「仲間」というワードや描写が出るとちょっと身構えてしまったり心が荒んできたりする場合があるのですが、 この作品の友だちワードはとても正解な(僕にとって)友だちワードです。
 
魅力が語り尽くせないのですが、とにかく絵が絵本のようなタッチでかわいいし、オバケの子どもらの「子ども子どもした描写」がいちいち微笑ましいし、旅を通してオバケの子たちにだんだんと心を開いていく、見た目がマ・ドンソクみたいな無愛想な人間・マルヤマさんも良いですし、ラストの余韻がじんわり心地よく、とにかく癒しなので未読な方は一巻で完結の短いお話ですし、電子書籍もありますので、よろしければ是非ご一読を。
 
 

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