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トップレビュー阿部洋一 / 新血潜り林檎と金魚鉢男 2巻

阿部洋一 / 新血潜り林檎と金魚鉢男 2巻

2017.07.03   CULTURE | BOOK

泰文堂
600yen+tax

 阿部洋一という作家は明暗の表現がとても上手い。トーンをあまり使わずにタッチと塗で表現される画面は1枚絵としても惹きつけられる力があります。誌面から伝わってくる湿度、漂ってくるジメついた匂い。そこが日本伝奇的な雰囲気ともマッチしていて気が付けば本を開いて眺めています。タイトルにもある “金魚鉢男”一見マヌケな容姿の男から発せられる異様な気配と対峙した時の恐怖。沼にハマっていくような物語の展開・閉鎖的な世界観はまさに日本の怪談で脳に染み込んできます。ただ、ホラー要素が基盤になっていますが、結末は純愛で偏愛。一般的には救われたとは言い難い結末を迎えますが、読み終えるとこれ以上の終わり方はないようにも感じます。そこもまた日本の怪談がもつ魅力の1つなんだと改めて気付かされます。一時は危ぶまれた今作の完結、この稀有な才能を世に出すことに尽力していただいた編集の方々にも感謝したいです。(Asagaya/Loft A 柏木 聡)

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