純粋な愛を映した、ふたりの記憶を巡るアルバム
いくつかの愛のひとつにどこまでも続く恋のようにキラキラとしていて、とても綺麗に映る物語があると思う。それはじゃれあう子供のように純粋で、どこか可愛らしく見える。先日結婚を発表し、晴れて夫婦デュオとなったラッキーオールドサン3枚目のアルバムのタイトルは『旅するギター』。これまでのふたりには、音楽があって、日々があって、そして愛があって、きっと順風満帆にはいかなかったはずだ。そんなふたりの“いつも通り”の風景であった日常がこのアルバムには詰め込まれている。それを美しい、羨ましいと思ってしまうのはきっとふたりの愛が本物で、私に関してはまだその愛を知らないからだと思う。ペラペラと進むふたりの記憶に、感情が揺れ動いてしまうのは私だけではないはずだ。それはきっと混じり気の無い純粋な感動である。(新宿LOFT:小林駿仁)