5/19に当店で開催された著者のイベントは、この本の登場人物が紙面から飛び出し、存在するというのを見せつけられて圧巻だった。内容は裏社会への締め付けがより厳しくなっている現代において、法の外側で生きる人たちの泥臭くも味のある生き方を、丁寧にかつ、魅力的に描写してくれている。そこでしのぎを削る人たちの人間模様や僕たちの尺度では計り知れない感覚での生き様に、思わず笑ってしまうことも多々ある。そんな中でもやはり主人公の「文政」という人間への、著者の愛情溢れる描き方こそ今作の肝だろう。その人柄に一度は触れてみたい。怖いもの見たさも含めて。ついに重版も掛かったということなので、より手に入りやすくなった今こそ、是非おすすめする価値のある作品だ。(Loft PlusOne West : 松井良太)