本書は自称や蔑称等、人によりバラバラな「サブカル」の再定義を試みている。「マニア」だと思っていたら「サブカル」の一員にされていたロマン氏の困惑には共感する。「マウンティング」を「先輩風」と捕らえると本書の提起する問題はサブカル界以外にもあるはずだ。後継者を育てないと愛するジャンル自体が衰退する…そんな危惧にも気づかされる本だ。そもロマン優光は「含羞」の人である。ソロLIVEでも知り合いに対してしか暴れられず、知人は降り注ぐ椅子や机から逃げまどった。本書でも「やはりダメなのは俺だ」と自己批判してしまう辺り「真面目だなぁ」と思わずにはいられない。今後は彼自身の愛するジャンルを考察した著作に期待したい。ロフトに来たらすぐ「サブカルの聖地」とか言いたがる輩や、独立し新店舗を開く後輩の餞別にジャンル映画予告編集を渡していたら「わー、サブカルっぽいー」と言い放ったバカ女(実話)などはこの本を読んで反省するように。(多田遠志)