ついに実写映像化された『進撃の巨人』。ズバリ言うと実写映画版は、原作や外伝、アニメ版等様々なバージョン、そのどれとも異なるオリジナル感溢れるものに仕上がっている。キャラ人気が高まり人間ドラマや、個々のキャラの背景を描き込むためにタイトルとは異なり『停滞の人間』的になっている漫画版とは趣を変え、人を食らう巨人と人間の戦いに重点を置いている。容赦のない暴力表現も目を見張る。樋口監督の特撮はもちろん、共同脚本を担当した町山氏の往年の東宝特撮等への愛情や、濃厚な影響も感じ取ることができる。人気の高いキャラ物としてではなく、怪獣映画として編み直された映画版はもしかするとファンの間で賛否両論になるかもしれない。しかし、巨人世界への最良の入門編に映画版はなり得そうな気もする。そして『ジュラシックワールド』など巨大生物モノの世界的なブームに対しての日本からの解答にもなりそうだ。後編が今から楽しみである。（多田遠志）