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トップレビュー樋口毅宏 / 愛される資格

樋口毅宏 / 愛される資格

2015.02.02   CULTURE | BOOK

小学館 / 1512yen

 常に刺激的な作品を世に送り続けている樋口毅宏の2年半振りの長編小説。大手文具メーカーに勤める兼吾は、自分に対して当たりの厳しい上司・下永への鬱憤を溜め込んでいた。ある日、兼吾は酒に酔った下永を家に送り届けた際に妻である秀子と出会う。兼吾は下永への復讐心から秀子を寝取ってしまい、そこから2人は愛欲の日々に溺れていくーー。樋口氏お得意の古今東西のカルチャーをヒップホップ的に取り入れた作風や過激な性描写に目がいきがちになるかもしれないが、これは人生の清濁を受け入れ、自らの人生を選びとっていく1人の男の物語である。クライマックスで兼吾が下した決断に、彼の暗い未来を想像する人もいるだろう。だがそんなの馬鹿馬鹿しい。自分で決めた人生以外に素晴らしいものなど他にあるだろうか?作中の言葉を借りるならば、「他者を断罪するより、自分自身を本気で生きる」である。どんな時でも「やる」を選んでこその人生、そう思わせてくれる1冊だ。(ロフトプラスワンWEST:平松克規)

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