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トップレビュー大木晴子・鈴木一誌 / 1969―新宿西口地下広場

大木晴子・鈴木一誌 / 1969―新宿西口地下広場

2014.07.01   CULTURE | BOOK

新宿書房 / 3200yen

 毎週土曜日の夕方、新宿西口地下広場で脱原発や戦争反対を唱え、色々なプラカードを持ってスタンディングしているご婦人がいる。彼女が一人で始めたこの権力に対する抗議行動は時には数十人の無名の通りすがりの人達も一緒に立つようになった。時代は1969年、70年安保条約改訂を控えベトナム戦争が激化した頃、日本がこの愚かな戦争に加担しようとしつつある時、突然新宿の西口広場でギターで反戦歌を歌い出す若者達がいた。その歌声の輪は若者達で埋め尽くされ「若者の反乱」と言われ一つの社会現象にもなっていった。なんと彼女はあの「政治の季節」、べ平連(作家小田実が呼びかけたベトナム戦争に非暴力で反対するグループ)の中の歌姫だったのだ。彼女とその運動に関わった面々が語る時代、ドラマの数々。「それから40年近く経って世界はなにも変わっていない。唄でなくプラカードを持って、それだってフォークゲリラだと思うんです」(大木晴子)の言葉は重い。値段はちょっと張るがなんと当時の貴重な映像のDVDが付いている。大木晴子の「生き様」を是非読んで欲しい。(平野悠)

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