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トップレビュー戦争と一人の女/監督:井上淳一 出演:江口のりこ、永瀬正敏、村上淳

戦争と一人の女/監督:井上淳一 出演:江口のりこ、永瀬正敏、村上淳

2013.04.04   CULTURE | MOVIE

4月27日よりテアトル新宿、他全国ロードショー

 昨年急逝してしまった若松孝二監督の弟子である井上淳一監督が初めてメガホンを取った作品が公開される。第二次大戦末期、不感症の女(江口のりこ)と虚無的な作家(永瀬正敏)は「どうせ戦争に負けて滅茶々々になるなら、戦争が終わるまでやりまくろう」と現実逃避的な愛欲生活を始める。一方、片手を失い中国から帰還した元兵士(村上淳)は戦場のトラウマを抱えたまま強姦殺人魔へと変貌する。そして戦争が終わり、生き残ってしまった3人が運命的に重なり合う。坂口安吾の同名小説をベースに、実際に起こった連続強姦殺人事件(小平事件)を織り交ぜ、最後に一つのストーリーに昇華するというかなり大胆な手法をとっている。観終わった後、安易な感動は全く得られないが、言葉にできないような重たい何かがズッシリと残る衝撃作である。「権力のための映画は死んでも撮らない」と常々言っていた若松監督ならなんと評価しただろうか?(加藤梅造)

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