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俺は手を汚す/若松孝二

2013.02.04   CULTURE | BOOK

河出書房 / 2,310yen

 2010年9月、ネイキッドで若松孝二氏のご尊顔を拝したのがまさか最後とは…。「キャタピラー」公開時(ベルリン国際映画祭で銀熊賞、イケイケムード満点)で、実に意気軒高。「次は三島由紀夫と中上健次を撮る。船戸与一も」と口にし生き急ぎ過ぎだと少し心配した、がまさかそれから時を置かず逝去されるなんて…だが横断歩道のない所を渡っての事故と聞き少しだけ「…らしいなぁ」と思ったものだ。さて河出から再刊された若松の半生を追う本書の題の由来は盟友・足立正生に言った「あんたのように指導者になる人は手を汚してはいけない」…ダンディすぎる。ゲリラと重信房子、足立と過ごしたパレスチナの夜、命がけの足立との再会場面に鳥肌が立つ感動。ヤクザ時代や留置場の様子が活写されまるで映画! 地上げ、日本刀売りなど何でもして稼ぐ…彼の作った映画もだが人生そのものが面白くカッコよすぎ。足立がまだ帰国できない頃の本で「アッちゃん、帰ってきて欲しい」と繰り返しているのが泣ける。お通夜に参列したが告別式も行けば良かった、足立の弔辞を聞きたかった…合掌。(尾崎未央)

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