巨人「竹中労」が亡くなって20年がたつ。アナーキスト、喧嘩屋、世界革命浪人、三バカ大将...、竹中を形容する言葉はどれも過激だ。政治・思想を語りながら一方で芸能リポートもこなし、晩年はイカ天の審査員までしていた(「たま」を大プッシュしたのは有名)。著作の多くは絶版になっているためか、竹中はスキャンダラスなイメージが先行して、その広大な思想についてはよく知らない人も多いだろう(僕もその一人)。そんな人にうってつけの本が、鈴木邦男による本書だ。鈴木氏は32歳の時、16歳年上の竹中に出会った。当時バリバリの右翼青年だった鈴木氏にとって竹中は「敵」だったが、次第に竹中の魅力に惹きつけられたそうだ。確かに、竹中の「左右共闘」「人は無力だから群れるのではない。あべこべに、群れるから無力なのだ」といった思想は、現在の鈴木邦男そのものだ。価値観が急速に変化している今こそ、竹中労と鈴木邦男の存在はますます大きいと言えるだろう。(加藤梅造)