第112回文学界新人賞受賞作、筆者は1958年生まれで52歳。そして凄いのは受賞後の10日後亡くなっている。癌の種類は食道癌だ。「やったね〜病気だって、とうとう私も病気になったんだ。初めてよ、まさに人生初めての病気。45年生きていてついにかかった病気が癌。...癌です。食道癌ですね。腹部リンパ節に移転があるのでステージⅣという状態です。...」と医者は言う。つい昨年の末私も癌が出来た。その癌を切除して半年して又5つものポリープが大腸に出来た。その病理検査を待つ一週間は長かったし色々考えることが多かった。すなわち「死」との対話をしたと言うことだ。主人公は食べることが唯一の楽しみである。癌と闘うのではなくて食べたいと言う欲求故、治療を受けようとしないのだ。苦しみながら、戻しながら「食」し続ける。短編です。この作品もう少しどろどろしてもいいのかな? って言う気がするけど。(平野悠)
癌だましい / 山内令南
2011.09.07 CULTURE | BOOK