今年の2月11日、「『くじけな』ってタイトルの詩集を出してみたい」と突然Twitterにつぶやいた枡野浩一は、その日の深夜、表題作『くじけな』を含む7遍の詩をタイムラインにつぶやいた。「くじかないで」や「がんばれ」と言った励ましの言葉で人はなかなか励まされない。むしろ枡野さんの詩のように「こころゆくまで／くじけな」と言ってくれた方が救われることもある。Twitter上で話題になったこの連詩は、未刊詩集『くじけな』として時には毎日つぶやかれ、多くの人にRTされた。しかし3/11の震災の後、枡野は自分の詩を読み返せなくなった。「くじけないでという、まっすぐな言葉が、こんなときは必要なのかもしれない」と思ったという。その後につぶやかれた詩がそれまでと明らかに印象が変わるのはそんな事情があったからだ。Twitterではまだ終わらないこの詩集、2/12から4/8までの作品がとりあえず一冊の詩集にまとめられた。イラストや装丁も素晴らしく、枡野作品の代表作の１つに数えられるだろう。（加藤梅造）