杉作J太郎(あえてJさんと呼ばせて頂くが)による初の小説である。主人公の山並は、あるプロレス団体と深く関わっていたが、社長やレスラーの死、倒産、などによって絶望し、死のうと思うも死にきれず......その状況はまさに、Jさんがかつて「FMW」時代に経験したものと同じ境遇を思い起こされるものがあり、その内容はシリアスで、且つ重い。しかし、ここで終わらないのがJさんである。この後、山並はなぜか「新世紀エヴァンゲリオン」よろしく、地下900mもある地下都市にて、巨大ロボット「ジェノバ」のパイロットに任命されるのだ。以前見たインタビューで『エヴァの中に、まだ出てきてない人が僕じゃないですか? もうちょいしたら出てくるのかなーみたいな』と、Jさんは答えていたが、この作品は無論「私小説」なんかではない。人生の中で色々と「拗らせた」末に生まれた、J妄想の「最高傑作」であることを、ここに記しておきたい。(石崎)