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トップレポート"いい音楽を届けたい"という思いで繋がり、新宿LOFTに集った5組──チャーリームード、SUMMER JACKET、東京少年倶楽部、青はるまき、ココロオークションが『LOFT RECOMMEND 2023』で共演!

"いい音楽を届けたい"という思いで繋がり、新宿LOFTに集った5組──チャーリームード、SUMMER JACKET、東京少年倶楽部、青はるまき、ココロオークションが『LOFT RECOMMEND 2023』で共演!

2023.06.23

 2023年5月23日(火)新宿LOFTにて『LOFT RECOMMEND 2023』が開催された。『LOFT RECOMMEND』は、様々な音楽ジャンルや音楽シーンを〝現場〟から発信するイベントとして、新宿LOFTが2022年より立ち上げた音楽イベント。
 

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 今回は兼ねてより新宿LOFTと所縁ある、青はるまきココロオークションSUMMER JACKETチャーリームード東京少年倶楽部という5組が出演。ロックからポップスまで、新宿LOFTイチオシの幅広い音楽が観客へ届けられた。
 

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 まずトップバッターとして登場したのは、チャーリームード。東京都内を中心に活動するピアノポップロックバンドだ。スクリーンの幕が上がったステージに、お馴染みのスーツの衣装に身を包んだメンバーが姿を現す。「こんばんは、チャーリームードです!」Vo&Gt.松葉祐矢の元気な挨拶と共に、昨年リリースした最新シングルから「Perfect‼︎」を披露しライブがスタート。軽快なピアノのリズムとキャッチーなメロディに自然と体が揺れる。2曲目「Heartbeat」では「ウォーミングアップしましょう!」と手拍子をうながし、さらにフロアの観客を巻き込んでいく。
 MCではトップバッターについて「今日一日が素晴らしい日になるように、重大な役どころ」と話す松葉だったが、気負っている様子はなく、まずは自分たちが楽しんでライブをしよう、という気持ちが伝わってくるようだった。その後も昨年リリースしたシングルから「ダイアリー」「Vanilla」など、テイストを変えたミドルチューンの楽曲も披露。あっというまの30分のステージだが、「今日はこれからがスタートですから。最後まで楽しんでいってください」と、人気曲「Step」で会場を盛り上げ、次に登場するバンドたちへバトンを繋いだ。
 

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 そして二番手には、SUMMER JACKETが登場。こちらも東京都内を中心に活動する気鋭のロックバンドだ。サイケデリックなロックサウンドの中に日本の“和”の雰囲気を感じさせるのが特徴的で、1曲目「かごめ」から、会場はあっというまに彼らの創り出す世界観に包まれる。まるで映画で見るような、人気のない夜の神社の縁日に迷い込んでしまったようだ。少し怪しい、けれど、なぜか引き寄せられてしまう。
 この日は昨年12月にリリースしたアルバム『桃源郷』の楽曲を中心に6曲を披露。SUMMER JACKETはボーカル&ギター、ギター、ベース、キーボード、ドラムという5人編成で、楽曲は様々な音色で構成されているのだが、予想しないような音色が耳に飛び込んでくるので、次はどんな展開になるのかと、見ていて飽きない。Vo&Gt.堀本勇助が「好きに楽しもうぜ」と声をかけ、「泡」や「おもひで」などのライブナンバーではメンバーも観客も思い思いに体を揺らして楽しんだ。
 MCでは、8月30日に新作EPのリリース、9月28日にはそのリリースイベントを新宿LOFTで開催するなど、Drs.米澤公貴から今後の予定が話される中、堀本の前歯が抜けるというハプニングもあったが、「前歯抜けた奴いたなって忘れられない日になったでしょ」と観客の心配を笑いに変えていた。「最高の一日でした。きっとみんなにとっては、これからもっと最高の一日になると思います」と、最後はお別れのナンバー「会者」で締めくくり、バトンを次へ託した。
 

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 三番手として登場したのは、東京少年倶楽部。2017年に京都で結成したバンドで、近年では『TOKYO CALLING』や『下北沢にて』など都内の大規模サーキットフェスにも多数出演し、その名はすでに全国区だ。
 ここでまた、会場の雰囲気はガラリと変わる。SUMMER JACKETを変幻自在のカーブ球とするなら、東京少年倶楽部はまさに豪速球のストレート、というところだろうか。体を震わせるほどの爆音に乗って、Vo&Gt.松本幸太朗の力強い歌声がまっすぐ飛んでくる。
 「平日の雨の中、たくさん集まってくださってありがとうございます。新宿の街にきれいな歌声ときれいな思いを降らせられたらと思います。精一杯やります」
 松本のその思いは、この日のセットリストからも感じられた。人気曲「1998」にはじまり、「夢中飛行」「ばいばい」など、圧倒的な力強さの中にある、やさしい歌詞やメロディ、爽やかな疾走感のあるサウンドにビート。3人の魅力あふれるステージは、とても輝いて見えた。終盤に披露された新曲も、彼ららしいメロディアスであたたかな雰囲気の楽曲だった。ラストは松本が17歳のときに作ったという「踏切」で、会場を哀愁たっぷりに包み込んだ。
 

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 続いて四番手は、青はるまき。東京都内を中心に活動する4人組ロックバンドで、現在はコロナ禍での時間を取り戻すように、精力的にライブ活動を行なっている。
 この日はアップテンポなライブチューンをはじめ、スローテンポなラブバラードなど、楽曲ごとに雰囲気を変えながらも、青はるまきの持ち味であるキャッチャーなメロディとあざやかなサウンドで会場を彩っていく。「平成捨恋歌」では、軽快なリズムとポップなサウンドに乗せて、可愛らしくも切ない恋の駆け引きを。「TALINIGHT」では鋭いギターサウンドと躍動感のあるビートに乗せて、片想いの葛藤を。どちらも女性目線の歌詞だが、まったく違う音色でそれぞれの恋愛観が表現されていて、観る人聴く人を飽きさせない。
 MCでは、「久しぶりに新宿LOFTのステージに立ててうれしい」と笑顔で話すVo&Gt.あきやま さる。今年に入ってからは足繁くライブハウスに顔を出し、交流あるバンドやスタッフに挨拶回りをしていたらしい。そんな中で声がかかったこの日のステージでは、「たぶんはじめて僕らを見る人たちも多いと思うんですけど、一番新しい僕らを見てもらえる機会なので」と、2曲の新曲の披露も。ラストに披露された新曲はこの日のために急ピッチで仕上げてきたばかりということで、Ba.花房の前には譜面台が置かれており、常であれば溌剌としたステージングを見せるベーシストの珍しい姿に、観客からは「かわいい」と声が上がり、あきやまも「ねっ、かわいいでしょ」と笑顔で答えた。「僕がこれからの人生でめちゃめちゃ歌うであろう、ずっと大事にする曲を、大好きなこのハコで下ろします」と、最後まで一生懸命に演奏する姿、心のこもった歌声に、観客は心を打たれただろう。
 

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 そして最後にステージに立ったのは、ココロオークション。関西を拠点に、全国へその名を馳せる4人組ロックバンドが、4組が大切に繋いできたバトンを受け取った。
 まずは昨年リリースした最新EP『Lover's』から「一等星の歌」と、人気のライブナンバー「スパイダー」を続けて披露。バンドでのライブは2カ月ぶり、東京でのライブも久しぶりということで、かなり気合が入っていたようだ。そのため飛ばしすぎてしまったのか、MCの冒頭では「しんど…!」と息切れしつつも、Vo&Gt.粟子真行から「来られてうれしい。呼んでくれてありがとうございます」と感謝の言葉が。その後は「みんなのことを癒したいと思いますので、気持ちよくなって帰ってください」と、「スーパームーン」「星の傷」といったゆったりとしたテンポのラブソングで、会場をやさしく包み込んだ。空を突き抜けるような伸びのある歌声が会場に響くと、自分が建物の地下にいることを忘れてしまいそうになる。流麗なメロディーと、きらきらと輝くようなサウンドも合わさって、まるで夜空の星の下にいるようだ。
 終盤のMCでは、「前歯ある?」「前歯あるよ」「そうそういないやろ、そんな奴!」「じゃあ何落とす?」「感動の涙とか?」と、関西人らしいトークがメンバー間でテンポよく交わされ、観客からは笑いがこぼれ落ちた。なごやかで、やわらかな雰囲気の中、「俺は今、音楽をやれてること、続けられてることが、すごく幸せで」と話す粟子。自分のやりたいことができていて、幸せだと思いながら生きられている今が、とても幸せなのだと。その幸せを噛み締めていきたい、そんなことを思いながら作った曲、と披露されたのが、昨年リリースした最新EP『Lover's』の中の「僕らは愛の中」だ。大きな愛に包まれて、好きな音楽に触れられている喜び、幸せを噛み締められずにはいられない、そんな観客もいたのではないだろうか。最後は昨年夏にリリースした「火花」で、これからの季節を予感させる力強く熱い演奏で会場を盛り上げ、この日のイベントを締め括った。
 
 ジャンルや世代、出身、さまざまな枠を越えて、ただ“いい音楽を届けたい”という思いで繋がり、この場所に集った5組のアーティスト。5組のこれからの活躍に期待するとともに、音楽を愛する人たちとって、新しい音楽との出会いのきっかけになるようなイベントが、コロナ禍を越えた今だからこそ、今後も活気づいていってほしいと願う。(Text:たまきあや/下北沢Flowers Loft
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