メジャーデビュー10周年を迎えた石崎ひゅーいがワンマンライブ「10th Anniversary LIVE 『、』」を7月25日、恵比寿LIQUIDROOMにて開催した。
メジャーデビュー作『第三惑星交響曲』を発表してからちょうど10年。ライブの1曲目には、10年前の7月25日にリリースされた「第三惑星交響曲」をエネルギッシュなバンドサウンドとともに届けた。手拍子する観客を前に石崎は「ありがとー!」と満面の笑み。フロアにいる一人ひとりと目を合わせながら歌を届ける姿が印象的だ。シャウトしたり、マイクを通さずに歌ったりと、湧いた感情のまま素直に歌っている。
母親の葬式の歌でメジャーデビューした10年前から“天”に向かって歌い続けていると語られた通り、石崎の曲は、四畳半でひっそり奏でられる音楽というよりかは、この世界のどこかにいるであろう“あなた”を目掛けて、願いを込めながら放たれているイメージがある。空に瞬く星のように、距離も時間も飛び越えながら聴く人の側に寄り添う音楽を発表してきた10年間だった。だからこそ聴く人と直接対面するライブという場所ではものすごい熱量と温かい余韻が生まれるし、しかも今日はアニバーサリーワンマンだからなおさら。石崎は「祝われるのは正直得意じゃありません。恥ずかしいよね」と控えめに笑うも、「だけど今夜だけは言わせてもらっていいですか? みなさん、石崎ひゅーいの10周年を盛大に祝って下さい。思う存分、余すことなく楽しんでいってください!」と続け、特別な一日をファンとともに楽しんでいた。
セットリストは10年の豊かなディスコグラフィを網羅したもので、オールタイムベスト的な内容に留まらず、久々にやる曲と紹介された「カカオ」などレア曲も披露。中でも、デビューから現在に至るまで石崎とともに制作をしているトオミヨウ(Key)との二重奏で届けた「ひまわり畑の夜」は間違いなくハイライトだったろう。呼吸を合わせ、感情の波を共有しながらの歌唱&演奏が素晴らしく、二人を結ぶ絆が透けて見えた。
ライブ終盤では、「次やる曲は友達の歌なんですけど、今日はその友達と一緒にやってもいいですか?」と菅田将暉がサプライズ登場。石崎が菅田に提供した「さよならエレジー」、「虹」を二人で歌った。さらにその後、ともに制作した新曲「あいもかわらず」を8月2日に配信リリースすることを発表し、同曲を早速披露。「僕と菅田くんの足跡みたいな歌を作りたい」という想いから制作されたこの曲は、人生の相棒と巡り会えた尊さを形にした、力強くも温かいミディアムナンバーだ。
〈石崎ひゅーいと出会ってくれたあなたのことが好き!〉と歌詞を替えた「ファンタジックレディオ」の幸福感でライブは終了した。「10年経った今、確固たる自信のようなものは正直ありません」「それでもね、みんながいてくれるから歌を歌おうって思います。10年で変わったことはいろいろあるけど、みんながいてくれて初めて石崎ひゅーいの音楽が完成するということは、始まりの頃から今まで、そしてこれからもずっと変わらないことだと思います」と石崎。2ndアルバム『花瓶の花』収録の「天国電話」を歌う際、「きっと今日みんなの前でやるために作ったんじゃないかな」と話していたのは、そういった想いが彼の中にあるからだろう。ライブのタイトルが『。』でなく『、』であるように、石崎ひゅーいの歩みはこれからも続いていく。「たくさんの仲間たちに支えてもらいながら、物語を書き続けていこうと思っています、なので、これからもずっと、みんなが、あなたが、僕が作る歌の物語の主人公でい続けてください」と決意と感謝をここに刻んだのだった。(撮影:鈴木友莉)
【セットリスト】7月25日(月)‘石崎ひゅーい 10th Anniversary LIVE 『、』’東京・恵比寿リキッドルーム
M01 第三惑星交響曲
M02 バターチキンムーンカーニバル
M3 夜間飛行0
M04 メーデーメーデー
M05 1983バックパッカーズ
M06 カカオ
M07 ナイトミルク
M08 花束
M09 おっぱい
M10 ひまわり畑の夜(w/トオミヨウ)
M11 天国電話
M12 花瓶の花
M13 さよならエレジー with 菅田将暉
M14 虹 with 菅田将暉
M15 あいもかわらず with 菅田将暉
M16 アンコール
M17 僕がいるぞ!
M18 ファンタジックレディオ