映画『虹が落ちる前に』初日舞台挨拶が19日、東京・新宿K’s cinemaで行なわれ、ダブル主演の守山龍之介、畦田ひとみ、共演の白磯大知、昆竜弥、メガホンをとったKoji Uehara監督が登壇した。
バンドマンの恋愛と人生を描いた本作。自分の現状に満足はしていないながらも、自分の周りには仲間や大切な彼女がいることに甘え、“当たり前”の毎日を過ごしていた売れないバンドを続ける気弱な主人公・風間公平(守山)が、あるきっかけですべてを失い、それを取り戻せないことがわかっていながらも前に進む決断をする姿が描かれている。
また、第23回ハンブルク日本映画祭“JFFH2022”にて「ハンブルグ日本映画祭賞」を受賞し、6月、ドイツ・ハンブルクで開催される映画祭にて上映を予定している。
本作が長編初監督作品となり、脚本や衣装、音楽も手がけたKoji監督は、どんな想いを込めて本作を作り上げたか尋ねられると「実は意気込みとか気合みたいなものは特になくて、初めはめちゃくちゃ怖かったんですよ」と打ち明け、「“俺ならいけるだろ”みたいな妙な感じだったんですけど、だんだんと怖くなっていきまして、とんでもないことに手を出してしまったかもしれないって感じだったので、意気込みや気合いというよりは常に恐怖がありましたね」と当時の心境を回顧した。
また、本作へ参加しての感想を求められると、風間公平役を演じる守山は「夢を追いかける主人公がいるんですけど、それは音楽でも自分たちがやっている俳優でも変わりなく、苦悩であったり経験することってあって、それは一般の方にもあると思うんですけど、そういうところで寄り添っていけるかなと思ったと同時に、僕もやり遂げたときに自分自身が成長できる作品になるだろうなと思いました」としみじみと語り、公平の恋人・奥珠江役を演じる畦田は「珠江という役は自分とは性格がかけ離れた役だったんですけど、物語の中で寄り添える話ってあるんだなと思ったし、この映画は見るときの気持ちに寄り添ってくれたり、いろんなことを感じられる映画だなと思います。撮影から2年経ったんですけど、このチームで今日を迎えられたことが嬉しいです」と笑顔を見せた。
さらに、本作の内容にちなみ、自身の“人生の転機”を尋ねられると、守山は「僕はまさに今日だと思います」といい、Koji監督から「それ、みんな言いたかったやつやん!」と突っ込まれて会場に笑い声が響く中、守山は「役者を始めて7年くらいなんですけど、こうやってたくさんの方に見ていただける作品になった『虹が落ちる前に』で主演をさせていただけているというこの日は、僕の中ですごく特別なことですし、お金を払ってここに来ていただいて、何かを伝えられるってことは、やっと俳優として一歩踏み出せたのかなと思える日になっています」と熱く語り、「この作品がみなさんにどう届くかわからないんですけど、何か持って帰っていただけるように全力を注いだ作品です。ここから僕も俳優としてより踏み出していけるような日になればなと思っています」と力強く語った。
同じ質問に、大阪から上京して3年目だという畦田は「(上京)1年目はうまくいかないことがあったり、東京にはきれいな人が多すぎて自分は敵わないなと思ったしんどい時期だったんですけど、3年前くらいに監督の短編映画でご一緒させていただいたときに『次は絶対に長編で全国の大きいスクリーンに畦田さんを見てもらえる日を作る』って言ってくださって、ちょうどしんどいなと思っていた1年が経った2年前に、この『虹が落ちる前に』のオファーをいただきました」と振り返り、「そのときはこの作品が自分の転機になるだろうという思いはあったんですけど、どうなるかという不安もありました。でも今日を迎えて、2年前の撮影初日が自分の転機だったんじゃないかなと思います」と目を輝かせた。
そして、公平の幼馴染・神田竜彦役を演じる白磯は「この上映がスタートだと思うので、これが転機になればいいなと願いつつ、僕も映画を撮ったのが3年前で、それまでずっと役者をやっていて1本目の映画だったんですけど、監督をするというのが僕の中では転機でした。監督をする中でKoji監督と話すことが増えて、そこから生まれたこととかもあって、そういう意味では僕は監督をした日が転機かなと思っています」と語り、公平のバンド仲間・登役を演じる昆は2つあるそうで「1つ目は東日本大震災で、当時、岩手で震災に遭って、それまで“俳優をやりたいな”と思いながらも踏み切れなかったんですけど、こういうタイミングで決断しないとこの先、一生決断できないだろうなと思ったことが転機になりました。2つ目はKojiさんとの出会いだと思っています。役者としてもそうなんですけど、僕の人生これから一生付き合っていきたいと思える方なので、その方と出会えたことが転機だと思います」とKoji監督を見つめながら話した。
最後に、Koji監督は「僕は自分がものを作っている以上は、転機という言葉をお題にしゃべれと言われるのなら、この映画を見てくださった方の転機になればいいなと。一般の上映が始まるということはそういうことだと思っています」と言葉に力を込め、「みなさんがこの映画を見て帰るときに、これが私の人生の転機になったんだなって思ってもらわないと意味がないかなと思っております。この映画がみなさんの転機になるように心から願っておりますので、最後まで楽しんでください」と観客にメッセージを送った。
商品情報
映画『虹が落ちる前に』
Koji Uehara 長編初監督作品
監督・脚本・衣装・音楽:Koji Uehara
助監督・編集:Atsushi Nakajima
音楽:Hidetoshi Nishihara
出演:守山龍之介、畦田ひとみ、白磯大知、末松暢茂、梶田冬磨、昆 竜弥、板垣雄大、田宮 拓、バンダリ亜砂也
2021年/日本/115分
配給:BABY OWL
3月19日(土)より 東京:新宿K’s cinema、アップリンク吉祥寺、神奈川:横浜シネマリン、大阪:シネ・ヌーヴォほかにて全国順次公開
©︎「虹が落ちる前に」製作委員会
【あらすじ】
売れないバンドを続ける気の弱い主人公は、自分の現状に満足はしていないながらも、自分の周りには仲間や大切な彼女がいることに甘え、「当たり前」の毎日を過ごしていた。
ただ、心のどこかでそれがいつか無くなってしまうのではと感じていたが、気付かないフリをしながら…。
そして『ある』きっかけでその全てを無くしてしまう。それを取り戻せない事が分かってはいるが前に進む決断をし、『ある』曲を作り始める。
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