モスクワの空港で2年もの間、飼い主を待ち続けた犬のパルマの実話を実写化した日露合作映画『ハチとパルマの物語』。
3月にロシアで拡大公開され、週末興行ランキング1位を獲得し、モスクワ国際映画祭にて招待上映され、第29回ビバロシア映画祭では審査員の満場一致でグランプリを獲得。
さらに第30回ゴールデンナイト映画祭でもグランプリを獲得し、8月にはオレンブルグ映画祭のクロージング・セレモニー作品として上映されるなど、ロシアの映画祭を次々と制覇している本作が先日より、日本でも公開。
6月5日(土)、東京・銀座のシネスイッチ銀座にて、秋田犬のブリーダー豊田ゆめ役を演じた藤田朋子、本作に出演し、主題歌も手がけている堂珍嘉邦、子役のアナスタシアが、舞台挨拶を行なった。
映画上映後の舞台挨拶となったが、堂珍は観客と共に劇場で作品を鑑賞しての登壇。藤田から「映画を観られてから(堂珍が)控室にいらして、スタッフに『鼻が赤くないか?』と確認していました(笑)」と暴露され、照れくさそうに「いろいろ液体がマスクの中で出ました…(笑)」と感動のあまり泣いてしまったことを明かした。
2019年の11月に撮影され、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けつつも、こうしてようやく日本公開を迎え、堂珍は「いろんな世の中の事情がありながら、やっとこうしてみなさんに見ていただく機会を得られて嬉しいです」と喜びを口にする。
藤田は着物姿で登壇したが、犬をかたどった指輪をはめ、さらに着物の帯にはロシアを意識したマトリョーシカの模様が。映画を観終えたばかりの観客を前に「(コロナの影響で)本当にどうなるかな…? と思いつつ、公開と同時にこんなにたくさんの方々に観ていただけているという現実にメチャクチャ感激しています!」と興奮気味に語った。
アナスタシアは、秋田犬のぬいぐるみを手に、さらに秋田犬のリュックを背負って登壇し、日本語で「私はアナスタシア・ラザレフ役のアナスタシアです」とキュートな笑みを浮かべて挨拶し、会場は温かい拍手に包まれた。
堂珍は、主題歌「愛の待ちぼうけ」について「ロシアの監督から最初にビデオレターをいただき『とにかくスケール感の大きな作品がいい』というお話で、ストリングスのオーケストレーションを軸に競作させていただきました。基本的に(主人公の少年)コーリャとパルマのリンクした気持ちを言葉にしたいなというのと、求める愛の“求愛”と、救う愛の“救愛”を書けたらいいなと。静かな立ち上がりで、決してすごく明るくはないけど、優しい感触を残したいと思っていました」と楽曲に込めた想いを明かした。
ビートルズに造詣が深く、自身も音楽活動を行なっている藤田は「いま、堂珍さんからこの曲が作られた過程、想いを聞きましたが、言葉にできないから音楽になったんだなというのをすごく感じました。優しさ──愛の形がとても壮大で、どこか讃美歌のようなアガペー(無償の愛)、大きな愛を感じる曲だなと思いました。SNSなどで検索していて、この曲が流れてくるたびに泣いているのは私だけではないと思います。映画を知らない方もメロディに泣くし、映画を観たらおうちでもう1回聴いてほとんどの人が泣くと思います!」とこの楽曲が持つ、人の心を揺さぶる力について熱く語った。
また、本作には2018年の平昌五輪フィギュアスケート女子の金メダリストであるアリーナ・ザギトワ選手が本人役で出演しているが先日、ザギトワ選手は来日し、この曲に合わせてスケートを滑るというイベントが行われた。その場に立ち会った堂珍は「まさか自分の曲でオリンピック選手のザギトワさんに滑っていただけるなんて想像もしていなかったです」と語り、「(ザギトワ選手のプログラムを)見せていただいて、とっても優雅でした。僕の曲がモノクロな寂しさが世界観としてあるとしたら、そこ色がついたというか、花を添えていただいた感じでした」と感想を語った。
最後に、アナスタシアが再び日本語で「みなさん、映画はおもしろかったですか? お友達とまた観に来てください!」と呼びかけ、大盛況の中、舞台挨拶は幕を閉じた。
商品情報
映画『ハチとパルマの物語』
【出演】渡辺裕之 藤田朋子 アナスタシア 壇蜜 高松潤 山本修夢 早咲 アレクサンドル・ドモガロフ レオニド・バーソフ ヴィクトル・ドブロヌラヴォフ 阿部純子(友情出演) 堂珍嘉邦(友情出演) アリーナ・ザギトワ(友情出演)
【監督】アレクサンドル・ドモガロフJr.
【脚本】アレクサンドル・ドモガロフJr./村上かのん
【プロデューサー】益田祐美子
【主題歌】「愛の待ちぼうけ」堂珍嘉邦(AGレーベル)
【撮影協力】秋田県/大館市/一般社団法人秋田犬ツーリズム/大館能代空港/秋田犬保存会
【配給】東京テアトル/平成プロジェクト
【制作】平成プロジェクト
【宣伝】P2/エクラン
©2021 パルマと秋田犬製作委員会
全国公開中
【STORY】
“人が犬を選ぶんじゃない、犬が人を選ぶんだ”
旧ソ連時代の1970年代、飼い主とともにプラハに行く予定だったジャーマンシェパードのパルマは、飛行機搭乗のための書類不備で乗機を拒否されてしまう。仕方なくモスクワの空港に置き去りにされたパルマは、毎日滑走路で飛行機を見上げては、2年間も飼い主の帰りを待ち続けた。時を同じくして、9歳のコーリャ少年が空港に現れる。彼は母親を亡くし、パイロットである父親に引き取られるが、母を失った悲しみと、良い思い出のない父親との生活ですっかり心を閉ざしてしまう。孤独なもの同士、友情を深めていくパルマとコーリャ。
ある日、日本人に連れられた秋田犬を見つめるパルマの眼に、この上ない寂しさが宿っていることに気づいたコーリャは、パルマを飼い主のもとへと戻すため、ある行動を起こす──。
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