文藝天国のko shinonomeとすみあいかが代表取締役を務める株式会社文藝を設立したことを発表した。これは、「世界の捉え方の再構築」という壮大なミッションを掲げる彼らの、事業基盤強化と将来的なビジョン実現に向けた重要な一歩となる。
2019年の結成以来、文藝天国は特定のマネジメントやレーベルに属さず、独立したオルタナティブ・アートコレクティブとして活動してきた。五感を横断する表現で、従来の芸術の枠を超えた「世界の創造」を追求し、そのユニークな存在感を確立している。今回の法人化により、彼らの作家としての活動の核である音楽・映像作品制作のさらなる強化を図るとともに、すでに展開しているフレグランスメゾンやスイーツブランドの運営体制を固める。
商業的な成功と芸術表現は、しばしば二項対立として語られる。しかし彼らは、アートとビジネスを対立構造として捉えない。むしろ、ビジネスという行為そのものを単なる取引ではなく表現の一部と捉え、既存の経済価値観に揺さぶりをかけるアートを実践している。「資本主義市場の枠組みの中で、経済そのものに構造批評の視座を持ち込む」── それは、制度の中から制度を問う行為でもある。
株式会社文藝は、当面の事業目標として衣食住の領域の強化を掲げるが、その先には「物理的な文藝天国(国)をつくる」という長期的構想を据えている。それは、単なる芸術表現にとどまらず、経済・生活といったレイヤーにまたがる、包括的な「世界の創造」の一環である。文藝天国のオルタナティブアートと経営の融合が、今後どのような新たな価値を生み出すのか。株式会社文藝の今後の展開に注目が集まる。