ミュージシャンやパフォーマーらに焦点を当てる映像監督、河合宏樹。
独自の視点で映像制作を続ける河合監督の初となる特集上映、河合宏樹監督特集上映『記録映像の可能性』が6月14日(土)から20日(金)まで下高井戸シネマで開催される。
七尾旅人『兵士A』や古川日出男×坂田明×向井秀徳『平家物語 諸行無常セッション』のライブ映画、齋藤陽道主演のドキュメンタリー映画『うたのはじまり』絵字幕版、
『ほんとうのうた~朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って~』ほか、劇場初公開となるマームとジプシー公演『cocoon』、芥川賞作家・山下澄人×飴屋法水『コルバトントリ、』の演劇作品、2024年『平家物語 諸行無常セッション』公開時イベントを特別編集した新作『平家物語パフォーマンスミックス“映像の再配置”』の3作品を含む7作品を一挙上映。
連日上映後には、豪華ゲスト登壇によるトークイベントも開催。
連日上映終了後、河合監督+ゲストによるトークイベント開催
6月14日(土)『ほんとうのうた~朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って~』ゲスト:古川日出男(小説家)
6月15日(日)『うたのはじまり』絵字幕版 ゲスト:齋藤陽道(写真家)
6月16日(月)『コルバトントリ、』<初上映> ゲスト:飴屋法水、佐々木敦(文筆家・批評家)
6月17日(火)『うたのはじまり』絵字幕版 ゲスト:小指(画家・漫画家・随筆家)
6月18日(水)『cocoon』<初上映> ゲスト:青柳いづみ(俳優)、原田郁子(ミュージシャン)
6月19日(木)『平家物語諸行無常セッション』、「平家物語 パフォーマンスミックス "映像の再配置"』<新作/初上映> ゲスト:細井徳太郎(ミュージシャン)
6月20日(金)『兵士A』ゲスト:七尾旅人(シンガーソングライター)、安東嵩史(編集者)
<料金(当日のみ)> 一般:2,000円|大学・専門:1,500円|シニア:1,100円|小・中・高:1,000円|会員:990円
※サービスデー対象外、招待券利用不可
◉リピーター割引:1,300円 ※本特集の鑑賞チケット(購入レシート)ご提示で割引適用
◉連日上映終了後、河合監督他ゲストによるトークイベント開催
また、特集上映の予告映像が到着した。
予告映像では、各作品の映像にあわせ俳優・青柳いづみナレーションによる河合監督ステートメントが朗読される。
「一度しか巡り会えない瞬間を記録した映像が、過去にも未来にも再生されることがあるとして、その残像が、その言葉が、その音像が、もしも誰かの心を切り裂いてしまうことがあっても、それでも、それでも、留め続ける理由はあるのだろうか」
監督の見つめる映像の可能性、そのゆくえをぜひ目撃していただきたい。
スケジュール&映画情報
6月14日(土)
『ほんとうのうた~朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って~』(2014年|100分)
小説家・古川日出男が宮沢賢治のヴィジョンを震災後の視点から戯曲化した朗読劇「銀河鉄道の夜」。詩人・管啓次郎、音楽家・小島ケイタニーラブ、翻訳家・柴田元幸と共に、東北をはじめ全国各地をめぐり、土地ごとの変容をとげる旅を追ったロード・ドキュメンタリー。
出演:古川日出男、管啓次郎、小島ケイタニーラブ、柴田元幸、青柳いづみ
美術:サカタアキコ 音楽:小島ケイタニーラブ
6月15日(日)、17日(火)
『うたのはじまり』絵字幕版(2020年|PG12|86分)
“ろう”の写真家、齋藤陽道。子育てを通し、それまで嫌いだった「うた」に出会うまでを描いたドキュメンタリー。20歳で補聴器を捨てカメラを持ち、「聞く」ことよりも「見る」ことを選んだ彼の口から、ふとこぼれた子守歌をきっかけにある変化が訪れる。画家・小指が手掛ける五線紙に音が描かれた絵字幕版で上映。
出演:齋藤陽道、盛山麻奈美、盛山樹、七尾旅人、飴屋法水、CANTUS
配給:SPACE SHOWER FILMS
6月16日(月)
『コルバトントリ、』(2017年|100分)<初上映>
芥川賞作家・山下澄人の小説を、鬼才・飴屋法水が舞台化。さまざまなものの死のエピソードが時間軸を越えて描かれ、不明瞭な虚実の中で断片的に積み上げられていく。2015年、清澄白河SNACにて上演された作品を収録した映像作品を劇場にて初上映。
原作:山下澄人 演出・上演台本・音響・美術:飴屋法水
出演:青柳いづみ、安藤真理、郷拓郎(detune.)、山下澄人、飴屋法水、グルパリ、くるみ
6月18日(水)
『cocoon』(2024年|156分)<初上映>
沖縄戦に動員される少女たちに想を得た漫画家・今日マチ子の傑作漫画「cocoon」を原作に、劇作家・藤田貴大率いるマームとジプシーが音楽家・原田郁子と2013年に舞台化。少女たちの日常が死と隣り合わせの日々へと変わっていく様子を、切実に描く。2022年に再再演された舞台を映像化、戦後80年目の沖縄解放命令の日に劇場初上映。
原作:今日マチ子 作・演出:藤田貴大 音楽:原田郁子 出演:青柳いづみ、菊池明明、小泉まき 他
ミックスエンジニア:田鹿充(△巛)
6月19日(木)
『平家物語 諸行無常セッション』(2022年|64分)
2017年5月28日、高知県・五台山竹林寺文学。「平家物語」の現代語全訳を完成させた古川日出男、朗読と演奏で「平家物語」を翻案続ける坂田明、音楽を通し“諸行無常”を繰り返し唱えてきた向井秀徳による一夜限りの伝説的セッションを映画化。文学、音楽、演劇の枠を超え、三つの魂が交錯し響かせた祈りが今また蘇る。
出演:古川日出男 坂田明 向井秀徳
配給:K3企画
6月19日(木)
『平家物語 パフォーマンスミックス “映像の再配置”』(2024年|60分予定)<新作/初上映>
2024年『平家物語 諸行無常セッション』上映後、映画館を舞台に上演された2日間のイベント<パフォーマンスセッション>を映像化。朗読、音楽、踊り、三味線、打楽器、和太鼓で、それぞれの平家物語を降臨させた。
出演:青柳いづみ、小暮香帆、細井徳太郎、宮坂遼太郎、山本達久、玉川鈴、辻祐
6月20日(金)
『兵士A』(2016年|176分)
七尾旅人、初となるライブ映像作品「兵士A」。断髪し、1人目の戦死自衛官に扮して描き出す、およそ100年間に及ぶ物語。ほぼ新曲のみで構成され、「CDというフォーマットでは収め切れなかったニューアルバム」ともいえる、前例のないライブ映像作品として結実させた衝撃の3時間。
出演・演奏:七尾旅人 サックス・クラリネット:梅津和時 舞台映像:ひらのりょう
ステートメント
カメラには映らない、私がレンズ越しに共にしたその表現は、
いまも私の身体の中で尊い一筋の光を放ち続けている。
時が経って、この身体がどれだけ醜い姿に朽ち果てても、戦や災いによって現実がどれだけ凄惨になったとしても、その光は残っていてくれるだろうか。
一度しか巡り会えない瞬間を記録した映像が、過去にも未来にも再生されることがあるとして、その残像が、その言葉が、その音像が、もしも誰かの心を切り裂いてしまうことがあっても、それでも、それでも、留め続ける理由はあるのだろうか。
記録映像の可能性、ゆくえ。
──2025年 河合宏樹(監督)
【河合宏樹(映像監督)プロフィール】
学生時代から自主映画を制作し、東日本大震災以降、ミュージシャンやパフォーマーらに焦点を当てた撮影や映像制作を続ける。
2014年、小説家・古川日出男らが被災地を中心に上演した朗読劇「銀河鉄道の夜」の活動に密着したドキュメンタリー映画『ほんとうのうた~朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って~』が渋谷・ユーロスペースを皮切りに全国海外公開。
2016年、七尾旅人が戦死自衛官に扮した初のライブ映像作品『兵士 A』をBD/DVDで発表、映画作品としても認められ全国劇場公開。
2017年、飴屋法水と山下澄人の初タッグ公演『コルバトントリ、』の映像作品を監督。DVDで発表。
2018年、七里圭監督作品『あなたはわたしじゃない』などの「音から作る映画」シリーズに撮影参加。
2020年、“ろう”の写真家、齋藤陽道の子育てを通じコミュニケーションのあり方にフォーカスしたドキュメンタリー映画『うたのはじまり』が渋谷・イメージフォーラムより全国公開。
2021年、日本財団が企画する多様性とファッションをテーマにしたドキュメンタリー作品『True Colors FASHION対話する衣服 -6組の“当事者”との葛藤-』をオンラインで発表。ニューヨーク・フィルム・アワードにてベストドキュメンタリー作品賞を受賞。
2022年、YouTubeで発表した映像作品『コロナ時代の銀河』が宮沢賢治奨励賞を受賞。2022年末、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブフィルム作品を全国映画館で発表。
2024年、『平家物語 諸行無常セッション』公開、全国を巡業上映中。
ASIAN KUNG-FU GENERATION、七尾旅人、クラムボン、蓮沼執太、折坂悠太、青葉市子、yakushima treasure(水曜日のカムパネラ+オオルタイチ)ほか、表現者のライブ映像を多数手がける。