さる11月13日に92歳で逝去した日本を代表する詩人・谷川俊太郎を偲び、2014年に公開されたドキュメンタリー映画『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』が、当時の封切館である渋谷のユーロスペースにて12月21日(土)より上映されることが決定。
上映初日は杉本信昭監督の舞台挨拶、2日目には、谷川の長男で本作の音楽を手がけた谷川賢作(音楽家)を招いて監督とトークイベントを開催する予定。
この作品は、さまざまな場所で生きる人々が生み出す言葉が、谷川の詩と同化する様、そして谷川の詩が人々の暮らしに溶け込む様を捉えたドキュメンタリー。過剰な言葉と情報が氾濫する今、あらためて 一人の人間が発する素の言葉と、代替のきかない情報の存在を見つめた映画だ。谷川の詩を、本人と登場人物が朗読するときに、まるで約束されていたかのような一体感が生まれる。谷川亡きいま、再びスクリーンで谷川の詩の世界に浸り、思いを馳せる貴重な機会となるだろう。
製作者 追悼文
谷川さんに初めてお会いしたのは2011年5月、DVD『詩人 谷川俊太郎』(紀伊國屋書店)制作の件でした。
その後、1年近く谷川さんを追い続けていくうちに、劇場公開できるドキュメンタリーを作りたいと思ったのです。
杉本監督と「詩ができるところを撮影したい」と思い、谷川さんの山荘の書斎からクランクインしました。ところが、なかなかうまくいかず、
谷川さんにヒントとなる「詩人S」という詩を書いていただきました。しかし、映画では使いませんでした。谷川さんにそのことを話すと、
「いいよ。また考えよう」と言っていただき、最終的に本作ができ上がったのです。どんなことでも、谷川さんは、いつも喜んで応じてくださいました。谷川さん、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。
──2024年11月19日『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』プロデューサー|小松原時夫
世界に対しても、誰かの小さなことにも、自分にも、公平で媚びない人でした。
谷川さんの全ての詩が映画の全ての状況に刺さったのはその理由だと思います。
ありがとうございました。
──2024年11月19日『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』監督|杉本信昭
谷川俊太郎 追悼上映
2024年12月21日(土)〜12月27日(金)
《上映時刻》
●12月21日(土)11:00〜
●12月22日(日)13:00〜
●12月23日(月)〜12/27日(金)11:00〜
《劇場トークイベント情報》
★12月21日(土)11:00〜の回上映後 杉本監督 舞台挨拶
★12月22日(日)13:00〜の回上映後 谷川賢作×杉本監督トーク
商品情報
映画『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』
監督:杉本信昭 / 出演:谷川俊太郎 / プロデューサー:小松原時夫・住田望 / 編集・構成:村本勝(J.S.E)/ 撮影:落合智成
VE・現場録音:小久保尚志 / 整音:湯脇房雄 / 音楽:谷川賢作 製作・配給:株式会社モンタージュ
2014年 / 長編ドキュメンタリー / カラー / 82分 / 日本
【作品イントロダクション】
自分の言葉で生きようとする人々… 漁民、巫女、農民、日雇労働者、女子高生
同じ国の同じ時代を生きる それぞれの暮らし それぞれの言葉に 詩は 向き合えるか
詩人 谷川俊太郎。「鉄腕アトム」のアニソンで、CMのナレーションで、教科書のなかで、私たちは世代を超えて谷川さんの詩に触れてきました。みずみずしい言葉が“紡ぎ”出す宇宙は、不思議な力で私たちを惹きつけてきます。“詩は人々の日常と向き合えるか”。本作では、谷川さんの創作の現場から、海、畑、学校、路上、そして神降ろしの場、いろいろな場所で生きる人々を追って撮影が続いていきます。生きる土地も世代もばらばらな人々の、それぞれのしみと喜び。彼らは自分の言葉で、ときには谷川さんの詩でそれをえようとします。すると詩はさまざま表情を見せ、被災地で、スイスで、高架下で、詩の言葉はひとり歩きを始め、そして谷川さんに戻り、やがて新しい詩が生まれます。
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