1978年、クロスオーバー音楽の全盛期に発表された松武秀樹の『スペースファンタジー』が、ついにストリーミング配信で蘇る。
松武は「第4のYMO」とも称され、邦楽シンセサイザー界に革命をもたらしたパイオニア。彼が操るMOOG IIIシンセサイザーを中心に作り上げたこのアルバムは、宇宙をテーマにした壮大なサウンドスケープを展開し、『宇宙戦艦ヤマト』や『未知との遭遇』などの名曲が新たなサウンドで蘇る。
ドラムスには村上“ポンタ”秀一、さらに「白い朝」にはCASIOPEAデビュー前の野呂一生が参加するなど、豪華なメンバーが集結したシンセサイザー×スペース作品集だ。
また、同アルバムのリリースを記念して開催されたライブ『ライブ スペースファンタジー』の音源も同時に配信。
この一夜限りのライブには、松武秀樹のほか、YMOワールドツアーにギタリストとして参加する渡辺香津美が登場。彼はこの年、アルバム『Mermaid Boulevard』を発表し、渡辺貞夫とのコンサートで来日中だったLee Ritenour & Gentle Thoughtsのメンバー(Hervey Mason、Anthony Jackson、Patrice Rushenら)とも共演。
さらに、このライブには深町純がキーボードとして参加し、同時期にはニューヨークの超一流プレイヤー(Steve Gadd、Richard Tee、Michael Breckerら)を迎えたライブアルバム『Jun Fukamachi & The New York All Stars Live』も発表している。
このライブの立役者のひとりであるドラムスの村上“ポンタ”秀一は、当時はすでに国内トップクラスのドラマーとして活躍し、特に「Star Wars」のイントロで披露するスリリングなドラムパートは圧巻で、北米の超人気ドラマー、Steve Gaddの影響を感じさせる演奏が聴きどころだ。翌年には渡辺香津美や坂本龍一による双頭バンド、KYLYNでも中心メンバーとして活動し、J-FUSIONシーンを牽引していく存在となる。
1978年、これだけのクロスオーバー/フュージョン音楽のスターが一堂に会して宇宙をテーマに演奏した奇跡のライブは、今なお輝きを放つ貴重な音源。往年のファンには涙ものの懐かしさを、若い世代にはクロスオーバー/フュージョンの教科書的な価値を提供することだろう。
『スペースファンタジー』『ライブ スペースファンタジー』配信リンク
▼「SPACE TANTASY」
▼「LIVE SPACE FANTASY」