日本を代表するキーボード奏者であり、作曲家・編曲家・SF作家でもある難波弘之がキングレコードに残した関連9作品が、8月28日(水)に同時サブスク/配信化された(配信リンクはこちら)。
このたび、難波弘之本人が各作品別の書き下ろしコメントを寄稿した(各作品パート参照)。
難波弘之『センス・オブ・ワンダー(+1)』(1979年作品)
◉難波弘之の記念すべきデビュー・アルバム。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/sense_of_wonder
’79年にリリースされた僕の1st ソロ・アルバムです。プロとなって初めて参加した金子マリ&バックスバニーを辞めてフリーとなり、山下達郎のアルバムやツアーに参加したり、スタジオの仕事を始めた頃の作品です。
スタジオの仕事で知り合った、その頃はまだ創立間もない小さな会社だったビーイングの長戸大幸さんからいきなり「ソロ・アルバム作らない?」と言われて、右も左もわからない中、完全に自己完結状態で作った独りよがりな作品ですが、だいぶ後になって評価されるようになりました。
SFマニアだった10代の頃読んで感動した SF作品をテーマに作ったアルバムで、ジャケットは手塚治虫先生に、ライナー・ノートは同い年のSF仲間だった中島梓(栗本薫)さんにお願いしました。
それぞれの小説世界に対する敬意を表した曲を書いたため、まるで企画もののような、音楽性のバラけた作品になりましたが、自分では結構気に入っています。
まだ自分のバンドを組む前だったので、それまでに知り合ったミュージシャン仲間に演奏してもらったため、豪華なメンバーによる録音になりました。
歌ものは当初ゲストに歌ってもらおうと思っていたのですが、ディレクターに「自分のアルバムなんだから自分で歌え」と言われ、このアルバムで初めて歌を歌いました。
山下達郎に書いてもらった「夏への扉」は、後に彼の大ヒット・アルバム「ライド・オン・タイム」でセルフ・カヴァーされますが、こちらが初出です(笑)。(難波弘之)
SENSE OF WONDER『「グリーン・レクイエム」オリジナル・アルバム』(1984年作品)
◉新井素子の同名小説の難波弘之らにより制作されたイメージ・アルバム。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/green_requiem
’81年に山下達郎は「ライド・オン・タイム」でブレイクし、RVCレコードに自分のレーベル<AIR>を創設、僕も誘われてキング・レコードから移籍します。ドラムのそうる透、ベースの田辺モット(後に小室和幸に交代)とSENSE OF WONDERを結成し、今度は自分で書いたSFの世界を音楽化したアルバム「パーティー・トゥナイト」「飛行船の上のシンセサイザー弾き」という2枚のソロ・アルバムをリリースしました。10代の頃、SFファン仲間だった友人たちが作家や編集者になったりしていて、僕も再び小説やエッセイを書き始めます。
そんな頃、”SF好きのミュージシャン”ということが出版業界と音楽業界に知れ渡り、当時<女子高生SF作家>として話題を集めた新井素子さんの小説「グリーン・レクイエム」のイメージ・アルバム制作の依頼が来ました。
小説の内容に合わせて、抒情的な音楽を書いてみました。(難波弘之)
三枝成章 with 難波弘之『new sound from 四季』(1988年作品)
◉三枝成章との共演によるヴィヴァルディ「四季」のアレンジ作品
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/four_seasons
金子マリ&バックスバニーでデビューした後、バイト感覚で始めたスタジオの仕事を通じてNHKで出会ったのが、若き現代音楽作曲家三枝成彰先生で、当時はドラマの劇伴も書かれていました。僕の演奏を大変気に入って下さり、その頃キングで制作されたのが、ちょうど生誕300年を迎えたヴィヴァルディの「四季」を、三枝先生の編曲でロックにしてしまう、というとんでもない企画のアルバムでした。
当時はまだ16トラックのテープ・レコーダーしか入っていなかったキングのスタジオで、膨大な時間をかけて録音されました。
その作品をCD化するに当たり、もう少しブラッシュ・アップしよう、ということで、追加の編曲を任されました。24トラックのテープに音を移し替え、新たにシンセやSENSE OF WONDER三代目のドラマーとなった小森啓資のシンセ・ドラムなどを足してリニューアルされたのが本作品です。(難波弘之)
難波弘之『Childhood's End ~幼年期の終り』~』(2013年作品)
◉ソロ名義でリリースする通算6作目のアルバム。宇宙をテーマに壮大に繰り広げた“難波プログレ”の真髄が究められた作品。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/childhoods_end
色々なセッションやユニットが忙しくなり、しばらく自分のソロ作品やSENSE OF WONDERから遠ざかっていましたが、’13年にキングから「アルバムを出しませんか?」とお声掛け頂き、27年ぶりに制作したソロ・アルバムです。参加したのは、現在のSENSE OF WONDERのメンバー(ドラムはそうる透、ベースは松本慎二)です。
「難波さんのことだから、どうせSFっぽいアルバムになるんでしょうが、今回は少しは一般の人が知っているネタを入れて下さい」との制作サイドからの要望を受け、オリジナルの他に、誰でも知っている曲のカヴァーも入れました。(難波弘之)
難波弘之『一生鍵命』(2016年作品)
◉デビュー40年を機に制作された記念アルバム。SENSE OF WONDER、野獣王国、ExhiVision、EDEN等彼が活動してきたユニットの新録音曲の他、THE HITS!?、A.P.J.、ソロ名義の既存曲に一部リミックスを施して収録。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/isshoukenmei
’16年に、僕の鍵盤生活40周年を記念してリリースされました。正しい日本語としては ”一生懸命” ではなく”一所懸命” が正しいのですが、「一生、キーボード・プレイヤーを続けています」という意味を掛けた洒落として、敢えてタイトルを『一生鍵命』としました。
このアルバムは、SENSE OF WONDERだけでなく、和田アキラ、永井敏己、長谷川浩二と組んだExhiVisionなど、21世紀に入る前後から僕が参加した様々なバンドやユニットに書いた曲を集めてみました。
いわば、僕の音楽見本市のような、バラエティに富んだ作品です。(難波弘之)
野獣王国『パワー・ジャングル』(1998年作品)
◉日本のフュージョン・シーンを代表する4人のミュージシャン、是方博邦(G)、難波弘之(KEY)、鳴瀬喜博(B)、東原力哉(DS)による野獣王国の記念すべきデビューアルバム。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/power_jungle
野獣王国『スイート&ザ・ビースト』(1999年作品)
◉日本を代表するフュージョン・プレイヤーが総結集したスーパー・グループ、野獣王国の第2弾。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/sweet_beast
野獣王国『フル・ファンタジー』(2000年作品)
◉是方博邦、鳴瀬喜博、難波弘之、小森啓資のメンバーで制作された野獣王国通算3作目のアルバム。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/full_fantasy
A.P.J.『A.P.J. AcousticProgressiveJazz』(2000年作品)
◉驚異のアコースティック・プログレッシブ・ジャズを標榜するピアノ・トリオ、APJの作品。仕掛け人 水野正敏(b)、プログレッシブ・ジャズの貴公子 難波弘之(p)、山木秀夫(ds)がお互いの音楽に共感して結成されたユニット。
◉配信サイトリンク:https://lnk.to/apj
'80年代の音楽業界はアイドル系の制作が盛んで、まさにスタジオ・ミュージシャンの全盛期でした。僕も SENSE OF WONDER でバンド活動をやりつつ、スタジオの仕事で忙しく東京中のスタジオを駆けずり回っていましたが、’90年代に入るとクラブ系やEDM系のサウンドが主流となり、トラック・メイカーによる宅録が主流となります。
そこで、中堅のミュージシャンたちは、ライブ・シーンへの回帰を果たすのです。
僕も SENSE OF WONDER の他に、野獣王国、Nuovo Immigrato、ExhiVision、A.P.J.などでのライブやCD制作が増えます。
〇パワー・ジャングル(野獣王国)
〇スイート&ザ・ビースト(野獣王国)
〇フル・ファンタジー(野獣王国)
〇A.P.J.AcousticProgressiveJazz(A.P.J.)
野獣王国は、ギタリスト是方博邦のセッションで集まったメンバーのうち、最も野獣系の演奏をする(笑)ベースの鳴瀬喜博(僕のデビュー・バンド、金子マリ&バックスバニーのベーシストでもあり、僕をこの世界へ引き摺り込んだ張本人)とドラムの東原力哉(3rdアルバムから小森啓資に交代)と僕によるインスト・グループです。ジャンルとしてはフュージョンに分類されていましたが、メンバー全員ロックを通って来ているので、音量も音圧も音数も凄くて、まさしく<野獣>でした!
A.P.J.は、名ドラマー村上ポンタ秀一と名ピアニスト佐山雅弘によるピアノ・トリオPONTA BOXの初代ベーシスト水野正敏の誘いで結成した、僕のキャリア初のピアノ・トリオで、ドラムは名ドラマー山木秀夫(2ndから池長一美に交代)。「僕はジャズは弾けませんよ」と断ったのに、「ジャズではなく、ピアノ・トリオの形でプログレをやりたい」という水野の言葉巧みな誘惑(笑)に負け、ほぼ騙されたような形で制作された作品ですが、僕のセルフ・カヴァーやオリジナルなど、なかなか面白い作品になりました。(難波弘之)














