「人が生きて、 死ぬことの意味を、 日本人は忘れているんじゃないかという気がするんですね」
ハンセン病根絶計画から水源確保事業、用水路開通まで。長年にわたる活動を支えたものは何だったのか。そして、自らを「セロ弾きのゴーシュ」に重ねた意味とは――。NHK「ラジオ深夜便」で語った魂の記録、わたしは「セロ弾きのゴーシュ」。
2019年12月4日、 アフガニスタンで銃撃され亡くなった医師・中村哲。 本書は、 中村が出演したNHK「ラジオ深夜便」の6番組より、 インタビューに答えるその肉声を忠実に再現するもの。 「長年の活動の原動力は何でしょうか?」という、 インタビュアーの問いに対して、 中村は自らを、 宮沢賢治の童話の主人公「セロ弾きのゴーシュ」にたとえた。
これまでの、 深い思索によって紡がれた既刊書とは趣が異なり、 ご自身の筆であればおそらく触れなかったと思われる感慨や本音が随所に表れているところが、 本書の大きな特長。 医師・中村哲の心の内を知ることのできる貴重な証言の記録。
写真提供: PMS(平和医療団・日本)