株式会社 三省堂は、 イギリスDK社発行の“THE ECOLOGY BOOK”の日本語版である『生態学大図鑑』を2021年8月23日(月)より発売。 生態学は広範なテーマを含む、 多くの科学分野と関係し、 経済活動とも関連した、 人々にとって重要な意味を持つ研究領域。 本書はオールカラーのわかりやすいレイアウト、 図表、 挿絵、 引用を効果的に取り入れることで、 生態学のひとつひとつのテーマを理解するのに役立つ「図鑑」でありながら、 通読により生態学のダイナミックな全体像を概観できる。 持続可能な社会を築くための科学的リテラシーを高めることに役立つ格好の解説書だ。
生態学は、 基礎科学、 応用科学の多様な分野を含み、 気候変動や生物多様性への影響、 資源の枯渇、 新興感染症によるパンデミックなど、 さまざまな環境災禍を乗り越え、 持続可能な社会を築くための政策科学としての役割を担う研究領域。 近年関心が高まっている、 持続可能な開発目標(SDGs)の理念の源流の一つが生態学にあることはよく知られている。 しかし生態学は、 動物学、 植物学、 数学、 化学、 物理学など多くの科学の分野と深く関わり、 経済ともつながる広範なテーマを扱うだけではなく、 哲学的・倫理的な問題をも提起する重要な研究領域。 いざ生態学の全体像を理解しようとすると、 どこから学べばよいか途方に暮れることも少なくない。
本書『生態学大図鑑』の大きな特徴は、 オールカラーの豊かで印象的なレイアウトで重要な情報を提示していることだ。 図表、 挿絵、 引用によって生態学の多くの情報と洞察が効果的に伝えられ、 読者は多様な生態学の概念と、 それを生み出した先人たちの仕事をわかりやすく眺めることができる。
特定のテーマを調べる「図鑑」として役立つだけではなく、 通読して生態学の全体像を概観することで、 SDGsの本質を理解し、 人間と自然の関係をとらえる科学的リテラシーを高め、 現在の地球環境問題を解決する道を探っていく一助となることを確信している。
生態学の基盤である生物の分類・進化、 地球史、 DNAなどから、 生態学の基礎をなす食物連鎖、 生態的ニッチ、 バイオーム、 生態的レジリエンスなどについて図を豊富に用いて解説。さらに、 森林伐採、 地球温暖化、 環境汚染などの地球環境問題から、 再生可能エネルギー、 気候変動の経済的影響、 人口問題、 廃棄物の処理など応用科学的な内容までわかりやすく解説。
『生態学大図鑑』目次(抜粋)
進化の物語
進化の初期理論*斉一説*自然選択による進化*DNAの役割 ほか
生態学的プロセス
捕食者-被食者の方程式*生態的ニッチ*相利共生*キーストーン種*生態疫学*生態化学量論 ほか
自然界の整序
生物学的種の概念*多様性の今日的視点*人間の活動と生物多様性*生物多様性ホットスポット ほか
生命の多様性
微生物学*動物生態学*動物モデルを使って人間の行動を理解する ほか
生態系
食物連鎖*島嶼生物地理学*生態的レジリエンス*進化的に安定な状態*生物多様性と生態系機能 ほか
変わりゆく環境で生きる生物
フェルフルスト方程式*生態学的遷移*生態的ギルド*市民科学*個体数のカオス変動*メタ個体群*ニッチ構 築*メタ群集 ほか
生きている地球
生物地理学*地球温暖化*生物圏(バイオスフィア)*バイオーム*大陸の移動と進化*ガイア仮説*大量絶滅 ほか
人間という要因
汚染*危機に瀕するハビタット*農薬の残留*酸性雨*光害*森林伐採*オゾン層破壊*魚の乱獲*侵略的外来 種*春の漸進的早期化*海洋の酸性化*都市のスプロール化*プラスチックのごみ捨て場 *水危機 ほか
環境保護主義と保全
再生可能エネルギー*環境倫理*人間と生物圏計画*持続可能な生物圏イニシアティブ*気候変動の経済的影響 *種子の多様性*生態系サービス*廃棄物処分 ほか