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映画『スパイの妻』の秘密が明かされる、黒沢清監督 Q&A イベント!

2020.10.22

 
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蒼井優の主演最新作であり、黒沢清監督がメガホンをとった映画『スパイの妻<劇場版>』が、全国にて大ヒット上映中。本作の公開を記念して、10月21日(水)にヒューマントラストシネマ渋谷にて、観客の質問に回答するトークイベントを開催。
 
■日時:10月21日(水) 18:30の回上映後 20:30-21:00 トークイベント
■会場:ヒューマントラストシネマ渋谷 スクリーン1(渋谷区渋谷 1-23-16 ココチビル 7・8F)
■登壇:黒沢清監督
 
黒沢清監督(以下、監督):本日は『鬼滅の刃』の合間を縫っておいでいただき、ありがとうございます。(場内爆笑) 公開して少し経ったのにこんなに大勢に来ていただいて大変ありがたく思っています。
 
――蒼井優さん、高橋一生さんの演技で気に入ってるところはどんなシーンでしょうか? 
 
監督どこも気に入ってるんです。強いていえば、蒼井さんが決定的なフィルムを高橋さんに見せるシーン。そこで、突如力関係が変わる。そのシーンの意図を、ふたりが完全に理解して演じてくれて気持ちよかったです。 
 
――憲兵役で出演なさっていた東出昌大さん、次回はどんな役をやらせたいですか?
 
監督 次回ですか?!(笑) 僕の映画だと普通じゃない、変わった役、人間じゃない役が多いんです。あと何本かは普通じゃない路線を東出さんで追求したいですね。ぱっと見からして、背が高くて普通じゃない。あの普通じゃなさは貴重です。こんな人間離れしたキャラクター?と思うような役をお願いできたら、と思います。 
 
――黒沢監督が歴史ものを手掛けるのは初めてですが、今後も歴史ものを撮りたいですか?好きな時代は?
 
監督衣装も場所も、アドリブを思いついても無理で、すべて用意したもの、準備したものをもとにしなければいけない。そういう映画の作り方が面白いと思いました。セットはここまでだから、それ以上動けない、というように枠が決められることで、そこでなにができるか考える、その楽しさがあります。好きな時代……この時代(戦前)やこれと似たような時代の話がやりたいですね。今度は大陸に渡って、派手なドンパチや戦闘シーンのある映画も撮ってみたいです。 
 
――特に苦労したシーン、思い入れのあるシーンは?
 
監督(脚本の)濱口たちは無責任に「港」と書きますが、その頃に見立てた港を見つけるのは不可能でした。みんな近代化されていて、仮に建物は古いものが残っていても逆側にカメラを向けると到底古い時代に見えない。しかし港を旅立つ、という設定は避けられません。CGを使えればいいのでしょうけれど、予算がありません。ならば、「旅立つんだな」ということがわかるように見せることにして、茨城の牛久シャトーという、近くに巨大な大仏があるところで撮影しました。でも、いくらでもデタラメができる僕でも茨城の山の中を神戸の港に見立てるのは…。「海のカットちょっと入れますか?」とも聞かれましたが、「もういい、ここは茨城なんですから」と言いきりました。まあ、ちょっとだけ汽笛の音だけは入れました(笑)。 
 
――最後にメッセージを 
 
監督歴史ドラマの面白いところは、映画はあそこで終わりますが、そのあと、日本がどうなったか、みんな知っています。登場人物がその後どうなったのか、もしかしたら、甥っ子は現代まで生き延びて、いまも生きているのかもしれない、そんなことを想像してもらえたら、現代とつながりのあるものに思えるかもしれません。細く長く上映される映画だといいな、と思っています。 
 
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今回のQ&Aイベントは平日にも関わらず、満席の大盛況。コロナ対策もあり、発声してではなく、質問票で質問を募りましたが、上映前から大勢のお客様が質問票にびっしりと質問を書き込む姿が。「まだ観ていないのに…?」と思い、質問票を見ると、ほとんどのお客様が公開から6日目にも関わらず、リピーターだった。お預かりした質問は40問以上ありましたが、何とか30分の間に回答できたのは10問。映画の熱度そのままに、時間が足りなく感じる密度の濃いQ&Aイベントとなった。
 
 
 
 
 

Live Info.

映画『スパイの妻』

蒼井優 高橋一生
 
東出昌大 坂東龍汰 恒松祐里 笹野高史 
監督:黒沢清
 
脚本:濱口竜介 野原位 黒沢清 音楽:長岡亮介 
エグゼクティブプロデューサー:篠原圭 土橋圭介 澤田隆司 岡本英之 高田聡 久保田修 プロデューサー:山本晃久
 
制作著作:NHK, NHKエンタープライズ, Incline, C&Iエンタテインメント 制作プロダクション:C&Iエンタテインメント  
配給:ビターズ・エンド 配給協力:『スパイの妻』プロモーションパートナーズ
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