高橋ヨシキ×ヴィヴィアン佐藤『エレファント・マン 4K修復版』トーク
日時:7月7日(火)
ゲスト:高橋ヨシキ(映画評論家/デザイナー)、ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)
『エレファント・マン 4K修復版』公開記念トークイベントを開催。ゲストには映画評論家/デザイナーの高橋ヨシキさん、美術家/ドラァグクイーンのヴィヴィアン佐藤さんをお迎えした。7月10日(金)の公開を前に40年を経た今、本作が公開される意味、デイヴィッド・リンチ監督の魅力を多くの人に知ってもらおうと、急遽本イベントを開催。
本作は、19世紀のロンドンで”エレファント・マン“と呼ばれた実在の青年ジョン・メリックの生涯と彼を取り巻く人々の交流を描いた感動作。長編映画デビュー作『イレイザーヘッド』(77)でカルト的な人気を得つつも、当時、弱冠33歳だった新鋭デイヴィッド・リンチ監督の名を一躍世界中に轟かせることとなった作品。日本では1981年5月に公開され、国内外合わせたその年の全公開作品の中でナンバーワンの配収を記録。社会現象とも言える一大ブームを巻き起こした。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、無観客にて行われたトークイベントの模様は、デイヴィッド・リンチ監督プロデュースのコーヒーで知られ、今回、本作ともコラボレーションする渋谷CAFE:MONOCHROMEからYouTube Liveにて、生配信。
多くの視聴者が見守る中、高橋さんはリンチ監督の過去作に触れながら、産業革命真っ只中の19世紀のロンドンが舞台の本作で、劇中何度も印象的に登場する‟ガス灯“について言及。ガス灯から噴出する火は、エレファント・マンを手に入れたいという人々の衝動のメタファーとして機能していると熱く語られた。
また高橋さん、ヴィヴィアンさん共にデザイン・美術との関りが深い事から、デイヴィッド・リンチ監督がエレファント・マンのマスクを制作しようとした際の、秘蔵インタビュー映像も公開。イベント内では視聴者からの質問も募集し、エレファント・マンのモデルとなったジョセフ・メリックに関する秘話を尋ねられた高橋さんが、一昨年プライベートでロンドン病院付属の博物館でエレファント・マンの遺物を見学したときの話をされる場面も。
公開40周年を迎えるに辺り、デイヴィッド・リンチ監督自身の監修のもと、美しい映像に蘇った「4K修復版」の見どころについてヴィヴィアンさんは、映像を見る前、エレファント・マンのマスクの粗が目立つ事を懸念していたが、「全く気にならなかった」と称賛のコメント。高橋さんは、「4K版で映画を見ることは特別な体験になる」と語り、「非常に生っぽい、臨場感が高い映像でまるでメイキング映像を見ている様」と話された。
最後に公開から40年を経た今本作が公開される意味、マイノリティの捉え方について高橋さんは「人の内面は外見からでは判断することが出来ない事を描いた点は普遍性がある」と前置きをしたうえで、「とても特異な人物を描いている作品なので、あまり教訓めいた見方をしない方がよい」とも。また、本作で描かれていることは複雑で単純に断罪できるものではなく、常に‟アンビバレント”な感情を抱く作品だとも語られた。
7月4日が誕生日の高橋ヨシキさん、本作の公開日となる7月10日が誕生日のヴィヴィアン佐藤さんへサプライズとしてCAFE:MONOCHROMEオリジナルバースデーケーキが届けられる中、お二人の話は尽きることなくイベントは大盛況の中終了。本イベントの様子は、以下リンクからアーカイブ映像としてみることができる。
鬼才デイヴィッド・リンチ監督が自ら監修し、美しく蘇った不朽の名作『エレファント・マン 4K修復版』は、7月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて”緊急”公開。多くの映画館の再開を祝し、お客様への感謝の意を込めて、特別に鑑賞料金は1100円均一。
Live Info.
エレファント・マン 4K修復版
公開表記:7月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
配給:アンプラグド
©1980 BROOKSFILMS LTD
◆監督:デイヴィッド・リンチ
◆脚本:クリストファー・デ・ヴォア、エリック・バーグレン、デイヴィッド・リンチ
◆製作:ジョナサン・サンガー
◆撮影:フレディ・フランシス
◆音楽:ジョン・モリス
◆出演:アンソニー・ホプキンス、ジョン・ハート、アン・バンクロフト、ジョン・ギールグッド、ウェンディ・ヒラー、フレディ・ジョーンズ
1980年/アメリカ=イギリス合作/124分/モノクロ/スコープサイズ