昨年9月28日、17年振りに日比谷野外音楽堂の舞台に立ったイースタンユース。約2時間半に及ぶ、圧巻のステージをシューティングしたライブDVDが3月4日(水)にVAPよりリリースされる。イースタンユースとしては本作品が約10年ぶりの映像作品となる。
このDVD発売を記念して、上映用に再編集された劇場版が札幌のKLUB COUNTER ACTION(2月16日〜2月17日)、新宿のK's cinema(2月29日〜3月13日)、名古屋のシネマテーク(2月29日〜3月6日)で上映されるのは既報の通りだが、新たに青森の弘前Mag-Net(3月2日〜3月3日)、京都みなみ会館(3月6日〜3月12日)での上映が決定した。臨場感溢れる5.1chのサウンドとスクリーンで、当日のライブの感動が蘇る。
本作で監督を務めるのは、これまでもイースタンユースの数多くのミュージックビデオやドキュメンタリー作品を手掛けてきた映像作家、川口潤。バンドとは盟友関係にありながらも対象と一定の距離感を保つ彼ならではの視点、あの日のただならぬ熱気と興奮を封じ込めた映像と音に期待したい。
川口潤監督に訊く
「イースタンユースはバンドの音と画に偽りがない」
──当日は撮影で客観視できなかったと思いますが、野音でのライブを観てどう感じましたか。
「イースタンユースはどこでやってもイースタンユース。でもやっぱり単純に似合ってる気がしました、あの野音の舞台が!」
──川口さんにとってイースタンユースを撮る醍醐味とはどんなものでしょうか。
「バンドとオーディエンスのエネルギーがぶつかり合う瞬間を撮れるところです。そこには僕も含めてとてもシンプルな動機だけがあって、いつも原点に立ち戻ることができます。まずバンドの音と画に偽りがない。過剰な自己演出もなく、ただただ肉体とエレクトリックのみ。ソウルフルでスタイリッシュだからフレームに収めたくなるんです、イースタンユースは。あとはそれに呼応するオーディエンスの姿。メンバーもお客さんも『顔』が履歴書になっているんです」
──DVD編集にあたり、気に留めたのはどんなことですか。
「撮影も編集も余計な小細工は考えず、基本的にはセオリーに沿って丁寧に進めつつ、所々にオリジナリティを感じてもらえるように気持ちを込めて編集しています」
──映像化にあたり、メンバーからのリクエストはありましたか。
「1ミリもありませんでした。『完成しても見たくない』と吉野(寿)さんから最初に言われていましたし」
──新宿のK'sシネマ他では〈ディレクターズカット版〉が上映されるそうですが、DVDとの違いは何なのでしょうか。
「これはあまり面白い答えになりませんが、僕が銘打って決めたことではなくて、単純に上映用に尺を削っただけのモノです。だから〈劇場公開版〉に変更してもらいました」
──これまで『その残像と残響音』(2001年)、『ドッコイ生キテル街ノ中』(2010年)と約10年周期でイースタンユースの良質なドキュメンタリー作品を発表してこられましたが、今後新たなイースタンユースのドキュメンタリー作品を発表する構想はありますか。
「今まで2つの作品をそれぞれ違うアプローチで作らせてもらってきて、次に何か形にするとしたら一つの会場でのライブ実況版しかないなと長年思っていました。でも吉野さんは昔から自分のライブ盤や記録しただけの振り返るような作品に全く興味がないと公言していたから、半ば諦めていたんです。当然、今回の野音も。
野音の日程の日、実は自分の別の作品が海外上映される日と同じで、もともと先にスケジュールが決まっていたその海外上映に僕も行く予定だったんです。ただ僕は密かにイースタンユースのライブドキュメントを作りたいと思っていましたから、ツアーマネージャーの岩井(慶太)さんにバンドの意向をそれとなく伺ってみてほしいと頼んだのです。しかしやはり『ノー』サインだった。残念でしたが仕方ないなーと。で、吉野さんに『やっぱり記録しないんですねー』という趣旨を伝えたら『うん。だって川口くんも来れないんでしょ?』と。どうやらなんか違うニュアンスで伝わっていたみたいだったから、『いや、バンド的にアリだったらもちろん行きますよ! 撮りましょうよ、いや撮りたいです!』となって。で、そんなこんなで最終的にVAPが予算を出してくれることになって、このような形になった次第です。
もっと言うと、もしVAPが乗ってこなくて予算が出なくても、究極のアイデアとして僕のワンカメ(最初から最後まで自分のカメラだけで撮影した映像作品)だけで形にしてやる、という気持ちで勝手にいました。今から思うとあの野音の舞台にそんな無謀なことを仕掛けなくて本当に良かったなーと思います。
話が長くなりましたが、このような感じで僕にとっては今作も立派なドキュメンタリー作品という思いで作らせてもらってます。だから次はどんな作品を…なんて構想は現時点では全く思いつきません!」
劇場公開版『eastern youth 日比谷野外大音楽堂公演 2019.9.28』上映
【北海道】札幌 KLUB COUNTER ACTION:2月16日(日)〜2月17日(月)
【東京】新宿 K's cinema:2月29日(土)〜3月13日(金)
【愛知】名古屋シネマテーク:2月29日(土)〜3月6日(金)
【青森】弘前Mag-Net:3月2日(月)〜3月3日(火)
【京都】京都みなみ会館:3月6日(金)〜3月12日(木)
商品情報
Live Info.
極東最前線〜こんにちは名古屋・大阪〜
出演:eastern youth(ワンマン)
5月9日(土)名古屋APPOLO BASE(問い合わせ:ジェイルハウス 052-936-6041)
5月10日(日)大阪十三 246 Livehouse GABU(問い合わせ:SMASH WEST 06-6535-5569)
【二公演共通】
開場17:30 / 開演18:00
前売¥4,000(ドリンク代別途)
極東最前線〜ボトムオブザ冷凍都市〜
出演:eastern youth / NUMBER GIRL
5月16日(土)渋谷 クラブクアトロ
開場17:00 / 開演18:00
前売¥4,000(ドリンク代別途)
問い合わせ:SMASH 03-3444-6751