日本のアニメ史の金字塔「宇宙戦艦ヤマト」のテーマ・モチーフを用い、 作編曲家・ピアニストの“ハネケン”こと羽田健太郎が作曲した、 20世紀に生み出された名交響曲のひとつ「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」の最新録音盤がリリースされる。
「ヤマト交響曲」は、 数多くの音楽を生み出してきた羽田健太郎が35歳で作曲した唯一の交響曲であり、 宮川泰・羽田の両名が生み出したヤマトのモチーフを用いながら、 古典的な交響曲を目指したオーケストラ曲だ。 第1楽章は有名なメインテーマと「イスカンダルのテーマ」を用いたソナタ形式、 第2楽章は羽田も作曲家として参加した『完結編』の音楽が取り入れられ、 第3楽章にはヴォカリーズを起用、 そして「大いなる愛」をテーマに独奏ヴァイオリンと独奏ピアノによるドッペルコンチェルトとして発展させた終楽章で幕を閉じる。 この曲は1984年にNHK交響楽団×大友直人指揮にて初演。 その音源はLP/CDでリリースされ、 また、 2009年のセッション録音盤も存在した。
今作は2018年8月、 東京交響楽団とミューザ川崎シンフォニーホールによるクラシックの“名曲全集”に組み込まれた演奏会をライヴ収録。 初演時から指揮を務めている大友直人がタクトを振り、 ヴォカリーズにソプラノ小林沙羅、 東響の名誉コンサートマスター大谷康子、 ピアニスト横山幸雄という前作の2009年セッション録音盤のソリストが再集結。 東響のホームグラウンドでもあるミューザ川崎シンフォニーホールに鳴り響いた「ヤマト交響曲」は、 まさに熱のこもった名演でブラボーの嵐となり、 6分にも及ぶ惜しみない拍手が続いたという。 その好評の声にこたえ、 羽田の生誕70周年となる今年、 約10年ぶりにライヴ・新録音盤としてリリースされることとなった。
さらに今回の演奏は、 羽田の逝去後に発見された自筆譜をもとにおこされたオリジナル・エンディングを採用。 これまでの録音とは異なる完全オリジナルスコア版での録音となった。 羽田の長女である羽田紋子は、 『生前、 自分が作曲した楽譜は世に出したらほぼ全て処分していた父ですが、 この「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」の楽譜だけは、 袋にしまい大切に仕事部屋の棚に保管されていました。 いつか今日の様な日が来る事を願っていたのではと思わずにはいられません』とコメントを寄せている。
羽田紋子(羽田健太郎 長女)コメント全文
「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」は、 羽田健太郎が35歳の時に作曲した作品です。
意外かも知れませんが、 生涯の中でこの様な本格的な交響曲を作曲したのは、 娘である私が知る限り、 後にも先にもこの「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」だけです。
生前、 自分が作曲した楽譜は世に出したらほぼ全て処分していた父ですが、 この「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」の楽譜だけは、 袋にしまい大切に仕事部屋の棚に保管されていました。
いつか今日の様な日が来る事を願っていたのではと思わずにはいられません。
今回、 初公開で直筆スコアの一部を掲載していますが、 茶色く変色している楽譜やセロハンテープの跡、 鉛筆で書かれた細かい音符の一つ一つに、 この曲に懸ける当時の父の思いが伝わって来ます。 ラスト、 第4楽章最後にあえて赤字で書かれている「完」の文字は、 一体どんな思いで書き入れたのだろうと。
1984年当時、 他の仕事を全て断り、 半年以上に渡ってこの「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」に捧げた羽田健太郎の情熱を、 35年の時を超えて今、 皆様に感じ取って頂ければ幸いです。
有限会社 羽田音楽事務所 代表取締役 羽田紋子