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【ライブレポート】FoZZtone 11月2日 恵比寿リキッドルーム / 11月5日 東京キネマ倶楽部

2011.11.12

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2011.11.02(水)恵比寿リキッドルーム
Lodestone Tour Ⅳ “at the NEW WORLD”
2011.11.05(土)東京キネマ倶楽部
Lodestone Tour Ⅳ “at the NEW WORLD” Premium Live“組曲 白鯨”
FoZZtone


IMG_0374.jpg 始めに11月2日に恵比寿リキッドルームで行なわれたワンマンライブの話を少し。

 この日は、2年間かけて4回行なった“Lodestone Tour”のファイナル。歓声に迎えられて登場し、まずは『ロードストーン<north>』で、雄大に、高らかなファンファーレを鳴らすかのように、ライブの幕をゆっくりと開けた。続いて、『口笛男』『ENEMY』『4D』『レインメイカー』は、7月6日にリリースされた『NEW WORLD』の曲順通り。『ロードストーン<north>』からジワジワと押し寄せていたエネルギーは『ENEMY』『4D』辺りで一気に放出され、次に演奏された、5年ほど前の曲となる『Elevator』『polka dots』で、フロアには無数の手が挙がっていた。『polka dots』は、イントロが鳴った瞬間から歓声が上がり、この超盛り上がりの光景を見たからなのか、大胆に歌詞を飛ばしたボーカル&ギターの渡會将士。この曲後、「天才にあるまじき失態をした」と照れ笑いを浮かべる。CDでは“完璧”の2文字がよく似合うバンドだと思っているが、ライブに来て初めてそれぞれの表情とか人間くささみたいなものが見え、それがFoZZtoneのライブに行きたいと思う理由のひとつなのだ。

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 ギター・竹尾典明の“なんか軽い”MC(笑)を経て、CDでは7分近くあるインスト曲『missing mass』はショートバージョン。この曲の後半、竹尾はギターを置いてドラムに向かったかと思ったら、スティックを持ちドラムをガシガシと叩いている。ベース・菅野信昭は屋台骨となって演奏に徹し、4人の出す音が、CDで聴く以上に躍動感に溢れ、ステージとフロアに熱を帯びていく。『tempestoso〜coda』は、竹尾のギターソロが炸裂し、フロアの盛り上がりも最高潮に。「俺たちの音楽を受け止めてくれてありがとう」と素直な言葉に続いて、最後は『ロードストーン<south>』で、フロアと一体となって本編は終了した。アンコールに応えて、再び登場した彼らは『School』の演奏を、と思ったらイントロのみを演奏して、『茶の花』に入り、『School』に戻るという流れ。『音楽』では会場との大合唱。勝手な個人的な話だが、『音楽』を聴くと数日間この曲が頭の中をループする。そして最後は「僕らからアンコールを」と親父と慕う方へ捧げた曲『the imprinting』。メッセージが強いこの曲に、会場は静かに聴き入り、じっくりと言葉を胸に受け止めている。そしてライブの幕は閉じた。「この2年の間に、いろんなものを失ったりもしたけれど、止まらないで良かった」とMCで渡會が語っていたが、その分たくさんのものを手に入れ、バンドとして進みたい方向をはっきりと定められて来ているのではないかと思う。

 それを体現するかのように、この3日後、東京・キネマ倶楽部で、Lodestone Tour Ⅳ “at the NEW WORLD”プレミアムライブ“組曲 白鯨”が行なわれた──────。

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 とても作り込まれたステージだった。それは、キネマ倶楽部という場所を選んだこともそうだし、受付で受け取ったプログラムを見てもそう感じた。

 ソールドアウトしているというのに、オープン中、この人数がいてもどこか静けさのある会場。そこに突如、秒針の音が聴こえ、徐々に照明が暗くなり、FoZZtoneの3人と、ゲストギタリストである安高拓郎(ex.椿屋四重奏)、サポートドラマーの武並"J.J."俊明が正装で揃え、緊張した面持ちで登場する。今日のライブはいつもとは違う。この日は、オペラのようなストーリー性のあるライブで、ロックオペラ楽団・FoZZtoneが『組曲 白鯨』をテーマに、第一章「可視海 Visible sea」、第二章「死灰 Dead see」、第三章「不可視界 Invisible see」という構成でステージを魅せる。海をイメージした(と思われる)青い照明がステージを照らし、1曲目は『Ishmael said』。メンバー自身、新たな試みでもあるからか、演奏が始まってもとても緊張しているのが伝わる。ただならぬ空気に普段のライブのように拳を突き上げることもなく、それぞれが各々のスタイルで聴き入るフロア。『HEY MR.BACKPACKER』では、重厚なサウンドで、5人の壮大なアンサンブルを聴かせ、この曲を聴きながらゲストギタリストを迎えてこのステージを作りたかった理由がわかった気がする。第一章「可視海 Visible sea」が終わり、第二章「死灰 Dead see」へ。K_IMG_0450.jpg『Rainbow man』での竹尾ギターソロでは、ギターが歌っているかのような流暢なメロディーを奏で、『Heartbreak Hotel』では、ステージ下手にあるミニステージへと繋がる階段を竹尾がギターを弾きながら堂々と上っていく。ついにあのステージが使われるのか! という期待で彼の姿を追うと、1人ミニステージに立った竹尾に照明が当たり、この会場の雰囲気と相まった濃艶なギターソロを響かせている。ロックがいかに格好良いものかを体現しているようでもあり、ロックンロールで転がり続けることを決意した男達の生き様が瞬間瞬間で表現されているようにも感じられた。そして、第三章「不可視界 Invisible see」は、アコギの静かな音色で始まる『missing mass』から、最後は曲間の静けさに再び緊張感を覚えた『MorroW』を。ここまで全11曲、1時間、MCは一切なし。音楽が鳴らされること以外は静寂に包まれていた。こんなに緊張感のあるライブはなかなかないが、彼らの音楽を一番わかりやすい形で受け取ることが出来た。
 

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 アンコールがかかり、ようやく緊張から解放され、安堵の表情でステージに現れたメンバー。そしてこの日初めてのMC。「本日はプレミアムライブにお越し頂きありがとうございます。Tシャツで来るべきか正装で来るべきか悩んだ方もいると思いますが、正装が正解です」と話すと、会場に笑顔がこぼれる。「趣向が変わったライブではありましたが、僕らにしか出来ないんではないかと思い、やらせていただきました」と。その後、「暴れたい人もいると思うので」と演奏されたのは新曲『LOVE』。震災を経て作られた前向きな曲。先ほどまでの空気とは一変して、渡會が笑顔でフロアに手拍子を促す。そこからはいつものFoZZtoneのライブだ。「いきまーす」と武並の合図で『I play the guitar』が始まった途端、フロアが急にグッと前に押し寄せてモッシュが起こる。途中でニルヴァーナ等のカバーも織り交ぜ、ステージもフロアもエネルギーが渦巻いていた。最後は5人、肩を組んでご挨拶。
 しかし、止まらないアンコールにメンバーが三度登場。「不安だった。エゴなのか、楽しんでくれるのか、でも今日信じる事が出来た。もっと面白いこと、音楽の価値、新しいものを発信していく」と竹尾が語る。そこには、彼らの音楽を受け止めてくれるファンへの感謝が溢れていた。しかし、「エゴを押しつけまくってきましたが、最後の曲もエゴなんで」と言って『School』を。「今日のキネマ倶楽部は最高だぜ!」という言葉が合図のように、さらにフロアもステージももみくちゃになっていた。1時間40分、FoZZtoneという、音楽に人生をかけた3人と、共鳴したゲスト・サポートミュージシャンのお二人、そしてここの会場に足を運んだオーディエンスによる演目は終了した。とても濃厚な夜だった。
 思い起こせば、『NEW WORLD』リリース時に彼らにインタビューをした際、「FoZZtoneを有名にしたいというよりは、FoZZtoneが作ったこの作品を有名にしたいというほうが大事」と渡會が言っていたが、まさにこの日は彼らが描いた楽曲の世界を、どのように表現したら最良の形で提示する事が出来るかを考えつくされたステージだったように思う。これほどのことが出来る今後の彼らの活動が、より楽しみになったという気持ちは嘘ではない。
 このキネマ倶楽部でのライブ映像のDVD化が決定したそう。詳しくはオフィシャルサイトにて発表されるとのこと。多くの人に見てもらいたい。(Rooftop:やまだともこ)

Photo by SHIGE


11月5日(土) 東京キネマ倶楽部 セットリスト
第一章「可視海 Visible sea」

1.Ishmael said
2.明くる朝
3.Hey! Mr.Backpacker!
4.オシュグッド
第二章「死灰 Dead see」
5.Rainbow man
6.ターミナル
7.Heartbreak Hotel
第三章「不可視界 Invisible see」
8.missing mass
9.Strike the sun〜fanfare
10.tempestoso〜coda
11.MorroW

アンコール
LOVE(新曲)
I play the guitar

ダブルアンコール
BRUTUS(Et tu, Brute!)
in the sky
School

 

Live Info.

2011.11.23(水・祝)渋谷WWW
"POWER OF MUSIC"

w)bloodthirsty butchers / Droog / Number the. / Number the. SPECIAL SESSION with 佐々木亮介
TALK SHOW)上原子友康 / 清水泰次(怒髪天)
2011.12.7(水)京都SOLE CAFE NEW
“YOLOSHUWOSS IKINAHARLEY"

※アコースティックセットでの出演を予定してます。
2011.12.8(木)梅田Shangri-La
Mama said "Yes!" Papa said "Go!"
w)カミナリグモ
2011.12.10(土)下北沢GARDEN
Mama said "Yes!" Papa said "Go!"

w)LUNKHEAD
2011.12.27(火)千葉LOOK
w)鴉 / THE BLONDIE PLASTIC WAGON
 

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