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モーニング娘。14年の歴史と、6代目リーダー高橋愛の卒業

2011.11.02

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 9月30日、日本武道館。この日、「愛BELIEVE」と題されたモーニング娘。6代目リーダー高橋愛の卒業コンサートが開催された。開演前から会場はある種独特の緊張感が漂っていた。1997年にデビューしたモーニング娘。は今年14年目となるが、5期メンバーである高橋愛と新垣里沙は10年以上在籍している。高橋は4年4ヶ月リーダーを務め、モーニング娘。の精神的な支柱といえる存在だ。彼女が卒業するというのが一体どういう意味をもつのか? そんなことを考えているうちにコンサートは幕を開けた。

 オープニングは5期メンバーが初参加した2001年発売のシングル曲「Mr.Moonlight 〜愛のビッグバンド〜」。かつて男装した吉澤ひとみが立ったセンターポジションに今は高橋が立ち、このミュージカル仕立ての曲を歌う。この時点で早くも10年の歳月の重みを感じてグッときてしまう。2曲目、3曲目は高橋参加のラストシングル「この地球の平和を本気で願ってるんだよ!」と「彼と一緒にお店がしたい!」。そして4曲目に近年のモーニング娘。を象徴する曲「リゾナントブルー」が続く。デビュー曲〜ラストシングル〜リゾナントブルーというこの流れは非常に意味深い。

 ここで少し過去を振り返ってみると、モーニング娘。の歴史は決して順風満帆なものではなく、苦難の時代も長い。その苦労を乗り越えてきたのがリーダー高橋だった。まだ14歳だった高橋が加入した2001年はモーニング娘。の黄金期で、後藤真希をはじめキャラの立った先輩達を前に、5期メンバーはなかなか存在をアピールすることができなかった。そして次々と先輩達が卒業していき、次第にグループの人気に陰りが見え始めた。2007年、突然リーダーを任された高橋だったが、その頃はモーニング娘。にとって一番の低迷期だったように思う。新曲のリリースが減る一方で、事務所の後輩グループBerryz工房や℃-uteが後ろから追い上げ、そのほかにも沢山のアイドルグループがデビューしていた。百花繚乱のアイドルブームの中、「モーニング娘。はもう古い」と離れていくファンも多かった。

 しかし、幸いにしてメンバーチェンジをしなかったモーニング娘。は結束力を強め、自身が成長することに力を注いだ。グループならではのライブパフォーマンスはクオリティをますます上げ、ライブの評判は次第に高まった。そんな頃にリリースされたシングル曲「リゾナントブルー」は、今のモーニング娘。に繋がる突破口と言える曲だったのだ。

 話をコンサートに戻そう。このツアーでは12作目のニューアルバム『12,スマート』からの新曲が多く披露されたが、特に印象的だったのが「シルバーの腕時計」。今年入ったばかりの9期メンバー鞘師里保が、次期リーダー・新垣里沙、エース・田中れいなを相手に堂々とデュエットする姿は、モーニング娘。の未来を感じさせる光景だった。そして高橋と新垣の2人による「好きな先輩」(5期メンバー4人のために作られた曲)では、10年前の映像がスクリーンに映し出され、この時、まるで娘の成長を見る親の気持ちを感じた人が続出したに違いない。つんく♂が適当に命名した(と言われている)「モーニング娘。」というグループ名の意味深さを初めて感じたと言ったら大げさだろうか(笑)。

 後半は、僕が個人的に一番好きなアルバム『プラチナ 9 DISC』から「SONGS」、ニューアルバムから「Give me 愛」と激しい曲が続き、メドレーを挟んで、最後の「ブラボー!」まで一気に突っ走った。もう圧巻の一言だ。

 いよいよアンコール。鳴り止まない「愛ちゃん」コールと客席のほぼ全員が灯した黄色いサイリウムの光の中、高橋が登場。感謝の言葉を綴った手紙を朗読し、ソロ曲「自信持って 夢を持って 飛び立つから」を歌い上げる。そして高橋が、メンバー一人一人と別れの言葉を交わしていく。このあたりで僕の涙腺は完全に崩壊していたが、やはり一番心に響いたのは、同期であり同志でもある新垣とのやりとりだ。サブリーダーとしてずっと高橋を支え続けてきた新垣が最後に彼女にかけた言葉は、
 「愛ちゃんは自分のことよりも、みんなのことを考えてこの10年間頑張ってきたから、明日からは、自分のために、前に進んで行ってほしいなって、心から思います。」

 

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 この時、高橋だけでなく会場にいた誰もが新垣のやさしさに包まれたはずだ。5期メンバーが加入した10年前に、こんな場面が訪れることを誰が予想しただろうか? そしてモーニング娘。と観客全員が不思議な一体感で繋がったまま、最後の曲「友」を合唱した。

 この日、武道館には長年モーニング娘。を応援してきた古参のファンだけでなく、最近ファンになったと思われる若い人も沢山来場していた。きっと多くの観客は、高橋愛の卒業という「歴史」に立ち会いたかったのだろう。1期から4期のメンバーはモーニング娘。を人気グループにするという功績をあげたが、モーニング娘。を歴史ある揺るぎないものにしたのは5期以降のメンバー達だ。多くの苦難を乗り越え、その偉業を成し遂げたのが高橋愛と言えるのではないだろうか。

 そして7代目リーダー新垣里沙の元、多くの若いメンバーが入り、新生モーニング娘。がスタートした。彼女達がこれからどんな歴史を作っていくのか、僕はそれが楽しみでならない。

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(TEXT:加藤梅造/LOFT PROJECT)

商品情報

12th Album『12,スマート』

モーニング娘。

amazon

初回生産限定盤(CD+DVD) / EPCE-5809〜10 / 3,780yen(tax in)
通常盤(CD) / EPCE-5811 / 3,150yen(tax in)
NOW IN STORES
(収録曲)
Give me 愛
Only you
シルバーの腕時計
好きだな君が
怪傑ポジティブA
この愛を重ねて
この地球の平和を本気で願ってるんだよ!
彼と一緒にお店がしたい!
My Way〜女子校花道〜
乙女のタイミング
OK YEAH!
まじですかスカ!

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