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誰が呼んだか、クリトリック・イールショック!

2010.11.17

“大阪ロックデイ presents 心斎橋KINGKONGインストア・ライブ vol.4”ライブ・レポート

2010年11月13日(土)心斎橋KINGKONG
文&写真:石川 愛(web Rooftop)

KingoKong012.jpg秋も中頃に差し掛かったとは思えないほど暖かかった11月13日(土)、ミナミホイール開催期間ということも相まって、大阪の心斎橋付近には、様々なバンドの音が溢れかえっていた。
仙人が霧や霞を食すように、大阪には音楽を主食にしている人が多いように思われる。あとアルコール。それは世界共通。
異色なのか大阪ではこれが基準なのか、判断しかねる顔合わせ。
大阪の至宝、下ネタのナポレオンことクリトリック・リスと、日本が誇る逆輸入HR/HMバンド、ELECTRIC EEL SHOCK(エレクトリック・イール・ショック:以下、EES)の対バンが実現したのである。
しかも場所は、大阪老舗の大型中古レコード・ショップ、KINGKONG。
インストア・ライブと言って侮ることなかれ、ボーカル・マイクのみの音とは思えぬほど白熱したライブがそこにはあったのだ。

KingKong001.jpgKingKong002.jpgクリトリック・リスのスギム氏は、サンプラーにマイク一本という、所謂ポンチャック・スタイルで、相当にエモいリリックを咆哮するというスタイルを確立している。大阪に限ったことではなく、日本でも数少ないソウルフルな歌い手である。しかもご覧の通りパンツ一丁。あと、一番大事なのは「言うほど下ネタではない」ということ。
対するEESは日本だけでなく、海外での評価も高い、時々「ウォイ!」とか「イェーイ!」とか言う、正統派ロック・バンド。この二組の共通点、それが「大阪」なのである。
細かく言えば、EESは100%大阪ではない。クリトリック・リスも正確には全員大阪ではないが、そんな細かいことなんか本当にどうでもいいと思わせるようなライブが、大阪で実現した。その事実を私は皆さんに伝えなければならない。

KingKong003.jpgKingKong005.jpgまず、クリトリック・リスの登場。
「昼間から飲んでいる菊池のお父さん」や「小学校の頃からベースを弾いていたアベちゃん」、「桜の花はまた来年咲くけど、抜けた俺の髪の毛は戻ってこない」、「あだ名が“スウェッティー”という汗かきの女性の歌」等々、とにかく切り口がミニマム。視線が一直線。憶測だが、歌の内容は実話ではなかろうか。その間口の狭い世界観に、不思議とのめりこんでしまう。ずぶずぶと入り込まされてしまう。気がつくと私は、頬は伝わないものの、涙で視界がぼやけていた。
パンツ一丁のおじさんが曝け出すその、等身大の叫びは、時にこわいほどリアルだ。
「男は見た目じゃないよ」なんて女神のような貴女、貴女にこそ、一度、彼のライブを体感していただきたい。因みにリリースは一切ないので、彼の歌を聴きたかったらライブに来る以外ありません。
本人曰く「いろんな方がね、CD出しませんかーて言うてくれるんやけれども…、歌詞なんてあってないようなもんやしね」。ここらへんの淡々としているところさえ、エモい。

KingKong004.jpg次いで、EES。
通常、耳が痛くなるような大きな音を出したがる彼らにとって、このような形のインストア・ライブはとても珍しい。
「海外に行ったら、ここより設備の整っていないバーみたいなところで演奏する機会が山ほどあるから、ここはええほうやで」と笑う。これが四十路のバイタリティーか。
彼らについては情報が錯綜することが多いので、ウィキペディアに目を通していただいたほうが判りやすいだろう。…と言いたいところだが、その日のライブはいつもとはまた違った雰囲気を十分に孕んでいた。何より会場が明るい。ライブとは通常暗いもの、ライブハウスのドアは異世界への入り口、と決めつけている自分の視野の狭さに少し恥ずかしくなった。
会場が明るくても、何万というレコードの束に音をかき消されても、いつでもどこでも最高のステージを見せてくれる。レコードの木箱の上に座りカメラを構えていた私は、ここでまた目頭を熱くさせた。
「えげつない」という大阪弁があるが、まさにそのエモーショナルな言葉がぴったりと当てはまるライブだった。あ、勿論いいほうの意味です。

〈ELECTRIC EEL SHOCK play lists〉
#1 Out Of Control
#2 (my favorite) No.9
#3 Rock’n’Rollは世界を救う
#4 No Shit Sherlock
#5 Metal Man

KingKong007.jpgKingoKong008.jpgそしてMCの後、クリトリック・リスのスギム氏を呼び込み、セッション。誰が呼んだか、クリトリック・イールショック。
大阪の歪んだ郷土愛が生んだ奇跡のバンドである。

#6 アメ村
#7 Bastard!

このライブは、仕掛人である「大阪ロックデイ」のアカウントでUstream配信される予定。
近日、アップロードされるらしい。それまでのアーカイブを見ながら楽しみに待つのもいいだろう。
因みにvol.5は12月11日(土)、出演はJinny oops!が決定している。
そもそも大阪ロックデイとは、大阪の大阪による大阪のためのロックの集合体である、と言っても過言ではない。
近畿地方にお住まいの方は是非一度、ジャケ買いついでにご覧になっていただきたいイベントだ。

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Live Info.


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