Moon In Juneが今年4月に発売した2ndアルバム『色彩を持たないで』のリリースツアー、『色彩を持たないツアー』ファイナルとなる‟1stソロコンサート"を2026年1月12日(月・祝)新宿LOFTで開催する。ドリームポップ~シューゲイズ、90年代J-POPからの影響が反映されたサウンドやノスタルジックなメロディー、miho(Vo/Gt)の透明感のあるボーカル、そして音楽だけでなく映画や文学に造詣が深い彼女が様々な作品を消化して曲の中に落とし込んだストーリー性のある歌詞は、インディーシーンの中で群を抜いたポップ性を持つ。というより、そもそも見ている景色、向いている方向が違う。それは、自らシューゲイズバンドと名乗るのをやめたことや、『色彩を持たないで』というアルバムタイトルからも見て取れる。リスナーが自分たちの音楽をどう思うかは自由だし、こちらも聴く人を限定しない。つまり、リスナーに対しても「色彩を持たない」で間口を広げているよ、でも深く潜りたい人にも十分満足してもらえるよ、というそもそものJ-POPにあったメジャー感をひしひしと感じる。それは1stワンマンの会場にSHELTERではなくLOFTを選んだ点からもそうだといえる。ゲストDJとして福富優樹(Homecomings)の出演や様々なコンテンツが発表されたLOFTワンマンについてはもちろん、初の全国ツアー、mihoが出演したミュージカル『ノヴァーリスのこどもたち』、ワンマンで上映される映画『キアがいた』、gouko(Gt)卒業、そしてワンマンのタイトル『モノクロ/カラー』に込められた想いなどをmihoとhiroya(Dr)に聞いた。(Interview:小野妙子)
『色彩を持たないツアー』
──4月に2ndアルバム『色彩を持たないで』をリリース、5月からツアーがスタートして残すところは新宿LOFTワンマンのみとなりましたが、ここまでいかかですか?
miho(Vo/Gt):一瞬でした(笑)。早めに早めに会場を押さえて準備していたのでもう1年以上前になるんですけど、その時計画してた以上のものにはなりましたね。お陰様で、共演の方々とスタッフさんとお客さんがいっぱい助けてくれました。北は仙台から南が福岡だったんですけど、どこに行っても絶対来てくれるお客さんも何人かいらっしゃって。
hiroya(Dr):あっという間でしたね。全部僕らでライブハウスや共演のバンドにコンタクト取って決めていったので、あれよあれよといううちに終わっていき、っていう感じで。本当にたくさんの方々に観ていただいたのがすごく嬉しかったですね。
──印象に残っているライブはありますか?
miho:本当に1つ1つが印象に残っているのですが、11月に金沢大学の学祭に呼んでいただいたんです。そこまで学生さんのリスナーがいらっしゃる実感が全然なかったし、歓迎していただいてる度合いが尋常じゃなかったんです。楽屋の黒板に絵を描いてくれて、それが本当に嬉しくて。学生さんたちが思っている以上に私たちめっちゃ嬉しいんですよ。まだ思い出してもにやけるぐらい(笑)。
hiroya:あと、大阪のSOCORE FACTORYは最初から最後までめちゃめちゃ盛り上がってくれたよね。Transit My Youthとか共演のバンドのみなさんも熱かった。
miho:ドリームポップ、シューゲイズ系のイベントってパワフルなお客さんは少ないから、違う刺激を受けられてよかったよね。
──ツアーを回っていく中で育ってきた曲や、思い入れが強くなった曲はありますか?
miho:アルバムの表題曲「色彩を持たないで」はいろんな会場で必ず演奏していて、本当にその曲名通り会場ごとの雰囲気や、その日のメンバーと、その日居合わせたお客さんとで生まれるバイブスによってメンバーの表現も変わるような気がしていました。それはお客さんからも、回数を重ねるごとに私の表現力が増してるっていうお褒めの言葉をいただいたので、レコーディングの時よりも深みが増して、会場ごとに色付いたような気がしています。うまい感じにまとめた(笑)。
hiroya:前作に比べて音楽性に広がりを持てたアルバムだと思っているんですが、特にノリとかリズム感に関して、例えば1曲目の「Dance, Dance, Dance」とか、3曲目の「踊る魔物」とか、ライブでやるとお客さんがリズムに合わせて体を揺らしてくれているのが後ろから見えるので、叩いていて楽しいですね。「Zero Gravity Journey」は挑戦的な曲だし、「The Sky Crawlers」もアグレッシブというか、重いドラムビートを意識してやっていたんですけど、どの曲もいいなってやってて思います。
──個人的に「Zero Gravity Journey」や「Echo Sound Syndrome」がすごく好きです。粒子の細かい感じとか、ギターの音もすごく美しいですよね。
miho:「Echo Sound Syndrome」はRIDEの最近の曲を参考にして作ったんです。RIDEのギターの音が大好きなので、ギタリストにリファレンスの曲を聴いてきてもらって、キラキラした音って言うとありきたりだけど、そういう音を作ってもらいました。ビート感もすごい気持ちいいよね。
hiroya:「Echo Sound Syndrome」は16ビートなんですけど、16ビートを積極的に取り入れたのは今回が初めて。「Dance, Dance, Dance」も16ビートですけど、The Stone Rosesみたいな、マッドチェスターっぽい感じのニュアンスで。「Echo Sound Syndrome」は真っすぐな16ビートだから結構印象変わると思うんですよね。「お、なんか新しいことやってきたな」みたいな、驚きを提供できたんじゃないかな。
miho:進化してるなって思われたかったですね(笑)。
──前作『ロマンと水色の街』にも感じたのですが、旅感があるというか。特に1曲目「Dance, Dance, Dance」の「そして初めて立つそのステージまで」という歌詞は、LOFTワンマンに向けてツアーが進んでいく姿とリンクしていますよね。
miho:そうですね。この曲は2年前にはデモがあって、その段階では全然こういう歌詞にするつもりはなかったんですけど、自分の音楽活動における旅だったり、憧れの好きなバンドの背中を追いかけていて、その人たちがステージで感じた感動と同じようなものを自分も感じたい、みたいな気持ちになることが歌詞を書いた時に多かったんですよね。好きなバンドと共演できたり、憧れのバンドの方とお会いしたりする機会が多くて、バンドマンとしての目標を改めて見直す機会が多かった時期というか。それが詞に反映されたんだと思います。
──ツアー以外にも野外イベントや路上ライブ、mihoさんはミュージカルや映画の出演もありましたが、「色彩を持たない」ということを意識してのこの1年間の活動展開だったんですか?
miho:結果的にそうなってたらいいなって感じです。いいタイトル付けたなって(笑)。そういう1年になったと思います。アルバムタイトルにもするぐらいに「色彩を持たない」ということを改めて打ち出したことで、自分たちのマインドも変わったと思います。
















