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INTERVIEW

トップインタビューSAGOSAID - 誰にも理解されず死にたかった過去から目指すスタジアムロック

誰にも理解されず死にたかった過去から目指すスタジアムロック

2025.08.18

生きるために隠してきた本当の自分

──「the shore, you」の<そうやって大切に 誰にも壊されないように>という歌詞にも感じるんですが、SAGOさんて自分のすごく大事にしている綺麗な部分を守るためのガードが厚いというか。攻撃の意図はないけど、防御のために針をいっぱいくっつけてるみたいなイメージがあるんです。ラフな印象も強いけど、それさえも防御であるというか。

SAGO:それは結構あると思います(笑)。元々こういう性格だったわけじゃなくて、自分で変えていったっていうか。そうじゃないと生き残れないっていうか。

──生きやすい人格に変えていった。

SAGO:そうなっちゃったって感じですね。人間性がめちゃくちゃ変わって良かったって思う反面で、内向的で誰とも喋りたくなかった自分を押し込めちゃったから、「ごめんね」って思ってます。変わらなきゃって思って変わってしまったんで。だから、その内向的な部分を音楽には「出てきていいよ」っていう風にしてる感じはすごいあります。両方ありつつ、音楽にはちょっと出てきてくれてるって感じ。懺悔です。ライブに来てくれるお客さんには両方知ってもらえてる感じもするし。1対1では中々深く喋ったりできないけど、自分の音楽を聴いてもらったり、こうやってインタビューを読んでもらって、みんなは知ってくれてるんだって思うとちょっと恥ずかしいけど(笑)、自分が生きていける道ってそれなんだろうなって思うから、ありがたいことだなって思います。

──今のSAGOさんはどれぐらい本当のSAGOさんなんですか?

SAGO:でも、全部本当だと思います。グラデーションていう感じですかね。

──コートニー・ラブもパンクなイメージが強いけど根はガーリーというか。SAGOさんもそういう感じがしますよね。

SAGO:可愛いのも好きなんです。それも、最近やっと可愛いものが好きって言えるようになりました。それまでは恥ずかしくて言えなかったし、可愛い洋服も着れなかったんですけど、女の子の友達が東京で増えて、私が可愛い服を着ても「可愛い」って言ってくれるし、変て言われなかったんで、受け入れられたなって思って。やっぱみんな優しいからかな。周りが優しいってことが本当にありがたいですね。

──「iimmaaggee」の抜け感や風通しのよさは、自然体で生きいてる人への憧れのようにも感じます。

SAGO:やっぱ解放されたい部分はありますね。でも、背負うものがないなんて人生ありえないし。だから「もう死ぬしかなくない?」とか思っちゃいますね。そんなことしないけど。

──<背骨に願う>という言葉にその思いが込められている感じがしますね。最後の曲「dance / wings」のイントロのギターの音も悲鳴のような、金属で傷つけられたような痛々しい音で、胸が締め付けられる感じがします。

SAGO:私、金属の傷つけられた音って嫌いなんだけど好きなんですよ。『MOTHER1』っていうゲームがあるんですけど、工場のステージがあって、そのBGMの金属音とギターの音が似てるな、好きだなって思うようになって。それが自分の中で自然になっちゃってるんで、作ってる時には気にしなかったんですけど、言われてみたら確かにそうだなって思いますね。

──<白いものは汚そう 君が悲しくないように>、<眩しいなら目をつぶそう 君が生きていけるように>など言葉のインパクトは強いんですが、すごく優しい曲ですよね。中学生の頃SAGOさんにとってART-SCHOOLが救いになっていたように、同じ痛みを抱えている人達に「そのままでいいよ」って言ってあげたかったのかなって。

SAGO:本当にそのままで生きるっていうのは実際難しいとは思うんですけど、「それでもいいよ」って言ってあげたい気持ちはずっとありますね。

──自分に言っている感じもありますか?

SAGO:めっちゃあります。けど、やっぱり難しいよなって思います。ただ、理想は言って生きていきたいですね。

スタジアムロックをやりたい

──以前、スタジアムロックをやりたいと発言されていましたが、SAGOさんが思うスタジアムロックってどういうものですか?

SAGO:オアシスとか、スマパン(THE SMASHING PUMPKINS)もめっちゃスタジアムだなって思ってて。今回のEPもそういうダイナミックな部分を入れられたらいいなって思って作ったんです。実際、「スタジアムロックって何?」ってなってはいたんですけど、WWWとかちょっとデカいところでやったらより映える音楽だなって思いました。

──手の届く範囲で分かり合える人たちとだけ音楽を共有している方が安全とも言えますが、もっと多くの人と分かり合いたい、自分やみんなが生きやすい場所を作りたいという気持ちがあるんですか?

SAGO:ありますね。音楽はめっちゃいっぱいいろんな人に聴いてもらいたい。たくさんの人と交流したいっていう気持ちはめっちゃあります。今、自分だけじゃなくて関わってくれる人も多いし、サポートメンバーにももっといい世界を見せてあげたいです。お世話になったし、みんないい人だから。でも、自分一人だけだったらそんなこと思ってないと思います。少しだけの人に聴かれてそれでいいやってめっちゃ思ってたんですけど、今は一人じゃないんで…『少年ジャンプ』みたいなこと言ってるけど(笑)、仲間とデカいところを見たいですね。自分だけじゃ絶対無理なんで。

──「死にたい」からのスタジアムロックってすごい飛躍ですね。

SAGO:そうなんですよ(笑)。他のバンドのライブを観に行ったらお客さんが見つけてくれて「EPよかったです」とか、「今度行きます」って言ってくれて、すごい嬉しいなって思いますね。話題にされるの結構好きで(笑)。やっぱ見つけて欲しかったんだ、寂しかったんだなあって、めっちゃ思いますね。今それが叶っていて、しかもそれが音楽でできたっていうのがとっても嬉しいです。

──学生時代の死にたかった気持ちが昇華されていってる感じがありますか?

SAGO:あります、めっちゃ。学生の時は分かってもらえないのも当たり前というか。その時は音楽も作ってなかったから出せなかったし。「音楽がいいね」って言ってもらえると、自分の全部本当のところも分かってくれたんだって思えて、そういう点でも昇華されてるなって思って嬉しいです。

絶対に後悔させない

ワンマンフライヤー.png

──SHELTERには以前から出演されていて、SHELTERグッズのモデルをされたりもしていますが、出演する前は観に来られていました?

SAGO:観に来てました。誰を観たかが思い出せないんですけど(笑)、初めて来た時に「YouTubeでめっちゃ見てた場所だ! この床だ!」って感動しました。

──9月7日(日)のライブはツアーラストであり、初のワンマンですね。

SAGO:ワンマンなんで曲を今までで一番やると思うんですけど、最近やれてなかった昔の曲とかもやれるはずです。サポメンの頑張り次第(笑)。大きいところが映えるとは言ったんですけど、SHELTERももちろん、めっちゃカッコよくなります。ていうのも、場所によってアンプの感じとか変えてるんで、こういうサイズのところで綺麗に聴けるようにっていう試みも結構頑張ってます。どこで見ても絶対に後悔させないので、ぜひ来てほしいです!

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itsumademo shinu noha kowai?

【発売日】
配信:2025年5月21日(水)
CD:2025年6月18日(水)
【品番】SRCD-074
【価格】¥2,000(税込)/ 1,818円(税抜)

iTunesStoreで購入

【収録曲】
1. Am I afraid of dying?
2. Morning Boy
3. inside your eyes
4. the shore, you
5. iimmaaggee
6. dance / wings

LIVE INFOライブ情報

ワンマンフライヤー.png

SAGOSAID “itsumademo shinu noha kowai ?” Release Tour Final
LIVE:SAGOSAID(ONE-MAN)
2025年9月7日(日)下北沢SHELTER
OPEN 18:00 / START 18:30
U-23:¥2,500 / 前売:¥3,000(※共に別途1ドリンク代)
チケット:イープラスで発売中
問い合わせ:SHELTER 03-3466-7430
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