「今まで伊藤ちゃんほどかっこいい男にまだ会ったことがない」って本気で言えるのは凄い
──実際にバンドとセッションしてみて如何でしたか?
小峠:バンドの人たちって「よし! やろうか!」とかじゃなくて気付いたら何となく始まっているんですよ。「あれ? これ始まってるのかな?」みたいな(笑)。「言えよ!」っていう(笑)。あと専門用語とか全然分からないまま進んでいくから大変でした。
──逆にバンドマンはスタンドマイク1本出されてもいきなり喋れないですからね。
小峠:ああ、確かにそうかあ。
──小峠さんはいつ頃からお笑いを目指していたのですか?
小峠:さっきの話じゃないですけど、きっかけはきっとドリフだと思うのですが、僕、小5くらいからお笑い芸人になるって言っていて。小学校の卒業文集にも将来の夢は「お笑い芸人」って書いていて。ドリフとか『ひょうきん族』とか、いわゆるバラエティのお笑いも好きだったし、単純に人を笑わせるのも好きだったので、必然というか、妄想というか、小学生の頃からお笑い芸人になると思っていましたね。
──SUZZYさんから見た小峠さんってどんな印象だったりしますか?
SUZZY:面白い人ですよ。
小峠:うるせえな(笑)。
SUZZY:面白いしテレビにも出まくっているのに全然芸能人っぽくないんですよ。凄くフラットに接してくれるし。だからこうやって一緒に音楽もやれたんだと思いますね。
小峠:声を掛けてもらって嬉しかったしね。まさか7、8年前、好きでライブを観に行っていたバンドのメンバーと一緒にスタジオに入ることになるなんて思っていなかったですから。一緒にスタジオで音を鳴らしたときは高揚感でいっぱいでしたね。
SUZZY:英二さんって凄くリズム感が良いんですよ。お願いしたこともサラッとやれちゃうし、タイミングもバッチリで。
──突っ込みが活きているのかもしれないですよね。
SUZZY:テンポとかはそうかも。さすがだなって思いました。
小峠:いや、ただただ必死でした(笑)。
──今回のアルバムの中で、伊藤雄和さん(OLEDICKFOGGY)が「1000%ハイテンションクレイジー」を、佐佐木春助さん(東狂アルゴリズム)が「ノストラダムス」の歌詞を書いていますが、歌ってみて如何でしたか?
SUZZY:自分の書いた歌詞じゃない曲は感情の込め方が難しかったですね。歌詞の幅は広がっていると思いますけど、表現するのは難しかったです。佐佐木くんには「子どもからおじいちゃんおばあちゃんにまで刺さる歌詞を書いてください」ってオファーしたんですよ。サザンオールスターズみたいな。そういうメジャー感を「ノストラダムス」では目指しました。伊藤ちゃんには「1000%ハイテンションクレイジー」を書いてもらったんですけど、本当はもっとたくさん書いてもらおうと思っていたんですよ。でも自分で歌詞を書きだしたら面白くなっちゃって。それで今回は1曲書いてもらったんですけど、伊藤ちゃんらしい奇妙な曲になりましたね。伊藤ちゃんってコレクターなんですよ。集めては嫁さんに見つからないように隠していて(笑)。それが歌詞になっていますね。
小峠:何のコレクターなの?
SUZZY:フィギュアですね。あとプロレスの本とか。
小峠:なるほどねえ。
SUZZY:家族からしたら邪魔で仕方ないんだけど、宝物を屋根裏に隠しているコレクターたちへの応援歌を作ってくれって話をして。それで生まれたのが「1000%ハイテンションクレイジー」です。
小峠:そういえばこの前、SUZZYと飲んだときに伊藤さんの話になったんですけど、SUZZYが「今まで伊藤ちゃんほどかっこいい男にまだ会ったことがない」って言っていて。自分のバンドのメンバーをそう思うのって凄いなって。確かに男前だし背も高いし雰囲気もあってかっこいいんだけど、バンドメンバーのことをそう言えるのって凄いなって。
──バイきんぐはどうですか? 西村さんと一緒にいて「西村より面白い男に会ったことがない」みたいな。
小峠:あいつよりキャンプが好きな奴には会ったことはないですけどね(笑)。でもバンドメンバーに対して本気でそう言えるのは凄いなって思いました。
SUZZY:伊藤ちゃんってトータル的に不良感もあった上で知識もセンスもあるから、あの人を超える人っていないんじゃないかなって思っていて。キムタクが来たとしても伊藤ちゃんを超えれないと思うんですよ。それくらいかっこいいんです、うちの伊藤ちゃんは。
MVはSHELTERのモニターに足を掛けてサックスを吹く小峠に注目
──そう思っている人の隣でギターを弾けるのは幸せですよね。でもSUZZYさんのソロは打倒OLEDICKFOGGYなわけで。
SUZZY:歌ってみて分かったんですけど、OLEDICKFOGGYみたいなアンダーグラウンド感は出ないんですよ。歌で勝負ってわけにもいかないし。だからトータルで勝負するしかないですよね。曲によって歌い方も変えているし、七変化じゃないですけど、いろんな歌い方ができるようにボイトレにも行っていて。
小峠:ボイトレとか行ってるんだ。変わる?
SUZZY:メンタルの世界かもしれないですね。ボイトレに通っていることでやった感も出るし。結局、腹式呼吸とかもやっていますけど自分が歌いやすいように歌うのが一番だし。だから肉体的なことよりも精神的な部分が大きいかも。
──芸人さんも大きな声を出す機会が多いと思いますが、ボイトレとか行くものなのですか?
小峠:行かないでしょ(笑)。
SUZZY:ボイトレ行ってる芸人いたら、そいつ面白くなさそうですよね(笑)。
小峠:確かに(笑)。
SUZZY:でも「シラフのうちに」に撮影のときに思ったけど、やっぱり小峠さんの声って凄く通りますよね。
小峠:うちの事務所がやっているキャパ70くらいの小さな劇場があるんですけど、そこがもともと地下にあったライブハウスで。もともとライブハウスだから消音仕様の壁なんですよ。
SUZZY:音楽室みたいな。
小峠:そうそう。だからお客さんの笑い声も吸い取るっていう悪魔の壁を持つ劇場なんです。もちろん自分の声も吸い込まれるから、自然と声が大きくなっていくっていう。だから僕らとか、ハリウッドザコシショウさんとか、やす子とか、みんな声がデカいんです。あれは多分、悪魔の壁に鍛えられたんでしょうね(笑)。
──小峠さんは6月のツアーには参加されるんですか?
小峠:6月22日の下北沢SHELTERにサックスで参加しますね。SHELTERにはもうずっと昔から遊びに行ってますし、あのステージでライブをすると思うと変な感じもしますが、やっぱり嬉しいですね。OLEDICKFOGGYのライブだって何回もSHELTERで観ていますから。
SUZZY:「2019~そして僕ら歩き始める~」のMVはSHELTERで撮影したんですけど、英二さん、モニターに足を掛けてサックス吹いてますから。
小峠:あれもドキドキしたんだよ。芸人がステージに出てきてモニターに足を掛けるなんてしないから。「怒られないかな」って思いながらやってるからね(笑)。
──ライブ、楽しみですね。ちなみにツアー後もソロ活動は続行するのですか?
SUZZY:打倒OLEDICKFOGGYなので、続けないと超えられないですからね。
──いつかバイきんぐとツーマンとか観てみたいです。
小峠:いやいやいや、難しいでしょう。どうなんだろう。
SUZZY:まずは悪魔の壁からスタートしません?(一同笑)