ここまで反響を頂けるとは思っていなかったです
──活動し始めたときはコロナであまりライブなどできなかったと思うのですが、どういう活動をされていたんですか?
スギモト:Logicで曲を送り合ったりとか、たまにスタジオに入れるときに入っていました。
ヨシダ:そのとき住んでたマンションの真隣がスタジオで、そこにずっとこもっていました。メンバーもまだ3人しかいなかったときで。デモ作ったら3人でその曲をずっと3時間とかやり続けていました(笑)。
──去年の8月にリリースされた1st EP『Instinct, Filter Bubble』は、インディーロック、シューゲイザー、ドリームポップなど海外のオルタナティブな雰囲気もあり、ギターのリフやボーカルのメロディに日本ぽさを感じる部分もあって、4人のルーツが詰まっているアルバムですよね。全体的に共通している絶対的な透明感と、スギモトさんのピュアなボーカル、リズム隊のグルーヴ感など、先日ライブを拝見した際にも感じたのですが、一見アンバランスに見えて、それぞれの役割や個性がハッキリした絶妙なバランスの良さを感じました。曲はスギモトさんが全て作っているんですか?
スギモト:弾き語りの状態までは自分で作って、曲の感じを一回共有してからアレンジはトワ君がやってくれています。その後スタジオ入って変えるところは変えたりします。
── 一番の勝負曲はどれですか?
ヨシダ:「That I」はパワーのある曲ですね。最も国内外問わずいろんな人に聴いてもらえている曲です。
──90年代のオルタナっていう感じですよね。グルーヴ感があって、ギターが気持ち良さそうに舞っているような。
ヨシダ:最初、弾き語りが上がってきたときに、一番早い段階でイメージが出来上がった曲ですね。コードが2つしかないんですよ。最初はサビが違っていて。レコーディングする直前ぐらいまで全然違う歌詞でした。
──この曲だけ英詞ですよね。
ヨシダ:もっと全然盛り上がんない感じのサビだったんですけど、それをガッ、と変えてグッ、と締まった感じがあります。
スギモト:この曲のおかげでいろいろできることが増えてきたなって思います。
イチカワ:演奏してて超気持ちいいです。
ヨシダ:飛び回りすぎてボールになるぐらい(一同笑)。
フクタニ:弾いてて楽しい確かに。コードが2個っていうのがうちは多くて。コードが2個だから自由が効くから、こんなんやっちゃおうとか、ライブでアドリブ入れられたりするのがまた楽しいところですね。
── 一番苦苦労した曲はどれですか?
スギモト:「Fake as a Girlfriend」。たくさんフレーズを考えてもらったイメージがある。
ヨシダ:わりとどの曲もすんなりできたんですけど、「Fake as a Girlfriend」は、最初作った時点でコードの解釈みたいなのが全員バラバラで、レコーディング当日にコードを組み直したんです。自分ら理論が全く分からない状態で曲を作っているので、そういうのはめっちゃ大変でした。
──「soft」は、緩急のあるエモーショナルな曲ですよね。深海に潜っていくような、心象風景を映像化したようなドラムのイントロから、シューゲイザーな轟音サウンドに展開していく。
イチカワ:分解して聴くと一つの曲とは思えないですね。
ヨシダ:確かにすごいいろんなことをやってるかもしれないですね。
──「Hikari」もキラキラした浮遊感のある後半への展開など、すごく映像的ですよね。
スギモト:めっちゃ好きです。
ヨシダ:あの曲も最初コード2個しかなくて無理やり付け加えたんです。あのアレンジは面白かったですね。
──EPタイトル『Instinct, Filter Bubble』の「Filter Bubble」は、「自分の見たい情報しか見えなくなる」という意味だそうですが、このEPの曲はどれも人と相容れない、気持ちのすれ違いを歌詞に書かれています。そういう風に感じることが多いんですか?
スギモト:非常に多いです(一同笑)。
──というより、人から誤解されるほうが多いですかね?
スギモト:そっちのほうが多いですね。人に伝わらないっていうか、伝えたい気持ちはあるんですけど。メンバー間でも全然あります(笑)。語彙力がないのか、多分しゃべり方が文法的におかしいみたいでなかなか伝わらない。
ヨシダ:脈絡がないよね。
イチカワ:主語がない。
──(笑)でも、先ほどから男性陣がスギモトさんの発言をフォローする姿に仲の良さを感じます。EPのリリースから半年経ってライブでも結構演奏していると思うんですが、改めてこのEPどうですか?
ヨシダ:ありがとうございます、っていう感じです。フィジカルで出して1枚目、初の作品集。超うまくいった。自信を持って送り出せました。
スギモト:ここまで反響を頂けるとは思っていなかったです。でも、いろんな人が聴いてくれて、すごく嬉しいです。
フクタニ:めっちゃいいと思います。
──弾き語りをしていた頃に思い描いていたバンド像と一致していますか?
スギモト:それは全然一致してない(一同笑)。
ヨシダ:いい意味でね。
スギモト:ギターは女の子がいいなって思ってたら全然男の子で(笑)。でも、うまくやっていけてるなって気持ちはあるんで、今後もうちょっと幅広くやっていけたらもっと嬉しいなって思います。
ヨシダ:やれることのレンジを広くしていきたいですね。