2022年より現体制で本格的に活動を開始したオルタナティブ・ロックバンド、D.B.Inches。スギモトミアイ(Vo / Gt)、フクタニカズマ(Gt)、ヨシダトワ(Ba)、イチカワダイキ(Dr)という、それぞれのルーツやステージでの立ち姿など一見バラバラな4人が鳴らすサウンドは、インディーポップ、シューゲイザー、ドリームポップなど海外のオルタナティブな空気感と、ギターのリフやボーカルのメロディに感じる日本ぽさがオリジナリティを生み出し、楽曲全体の絶対的な透明感を作り上げるギター、YUI / FLOWER FLOWERをフェイバリットに挙げるのも頷けるピュアなボーカル、リズム隊のパワフルなグルーヴ感と、それぞれの役割や個性がハッキリした絶妙なバランスの良さを感じる。昨年8月にリリースした1st EP『Instinct,Filter Bubble』は国内外で反響を呼び、12月にはタイで開催されたフェス『MAHO RASOP』に出演するなど着々と人気を集めているD.B.Inchesが、2月1日新宿LOFTに初出演! それぞれのルーツやEPの話など伺いながら、終始4人の仲の良さを感じる取材となりました。(Interview:小野妙子)
最初はどこかにいる弾き語りの女の子みたいな感じのことをやっていました
──見た感じバラバラの4人だなと思うのですが(笑)、どういう風に集まってバンドを結成したんですか?
スギモト:私がもともとバンドをやりたいなと思って、2019年とかコロナ入りたてぐらいのときにサークルの人とか誘って、ギターの子と、トワ(ヨシダ)君と、ドラムの子の4人でやっていたんですけど、2人抜けちゃって2021年に一度解散しているんです。その後にOURSOUNDSっていうメン募の掲示板みたいなアプリで募集して、最初にドラムのイチカワ君がTwitterで連絡くれて、その後にカズ(フクタニ)君が応募してきてくれて再開しました。
──応募した決め手はなんだったんですか?
イチカワ:上がっていた音源を聴いて、いいなって。でも別に音楽性がとかじゃなくて、声聴いて「これだな」って思いました。
フクタニ:聴いたときにいいなって思ったのはもちろんなんですけど、自分がギターを乗せたらもっと良くできる自信があったので応募しました。
──最初は弾き語りをされていたんですよね?
スギモト:そうですね。そのときはポップスっぽい曲を作っていました。全然オルタナティブっていう感じじゃない。どこかにいる弾き語りの女の子みたいな感じのことをやっていました。
──そのとき描いていたバンドサウンドは、今みたいなインディーロックとかオルタナティブな音楽性だったんですか?
スギモト:そうですね。空間系の感じにはしたいなって思っていました。
ヨシダ:当初はtricotとかそういうマスロックなバンドとか、シューゲイザー的要素、きのこ帝国とか、羊文学みたいなのがスギモトとその前のギターの子がめっちゃ好きで、そういう楽曲を目指して作っていました。今はUK / USのインディーポップとかがベースになっています。
──みなさんのルーツになっている音楽や映画など教えてください。
スギモト:YUIちゃんがずっと好きで、FLOWER FLOWERとか、昔は父親の影響でaiko、絢香さん、浜崎あゆみさん、安室奈美恵ちゃんとか、2000年代ポップス歌姫の人たちの曲をよく聴いてたんですけど、今は海外のインディーロック、Snail Mail、beabadoobeeとか聴きつつ、曲全体のサウンドはシューゲイザーが好きです。My Bloody Valentineから派生してDIIV、Slowdiveとか、Spotifyのシューゲイザーのプレイリストでこの曲いいなって、聴いています。
フクタニ:小学校1年生のときにポケモンのCDを買いに行ったんですけど、エアロスミスの『Nine Lives』っていう挑戦的・実験的なアルバムのジャケットがめちゃめちゃカッコ良かったので、買って聴いたのがロックを聴くようになったキッカケです。アニキの影響でゆらゆら帝国とかレッチリとか、あと音楽番組で神聖かまってちゃんが出てて「うわー! ヤバっ! バンドってすごいな」って思って、高校1年生で軽音部に入りました。ハヌマーンの山田亮一は“先生”って呼んでます。ギターより思想的に影響を受けたっていう感じです。好きな映画は、『ホステル』、『冷たい熱帯魚』とか、園子温系。漫画もガロ系っていう『少女椿』とかエログロが大好きで。元旦は『ムカデ人間』を一気観しました。
ヨシダ:最初に聴いたのはBUMP OF CHICKENだったんですけど、「モーターサイクル」の働いて寝て終了、みたいな、息してるだけ、みたいな陰鬱とした歌詞に衝撃を受けました。あと80年代〜90年代のUKロックが大好きで、ブリットポップとか、マンチェスター、ポストパンクとか。今はUSインディー、Momma、Snail Mail、Slow Pulp、Alvvaysとかをめっちゃ聴いてますね。
イチカワ:僕も最初はトワ君と一緒でBUMP OF CHICKENとかだったんですけど、大学に入ったタイミングでヴィレッジヴァンガードのバイトをし始めまして、店内でメロコアとかハードコア寄りの音楽がすごい流れていたんです。メロコアだったらLABRET、ハードコアだとENDZWECK、あとheliotropeっていうピアノボーカルの3ピースのバンドの曲を聴いたときに、ボーカルのメロディに対して曲がめちゃめちゃハードっていう、パンク畑とハードコア畑の人たちが集まってできてる一つのアンサンブルにめちゃくちゃ衝撃を受けて。僕もD.B.Inchesで、このバンドに迷惑がかからない程度にそういうエッセンスを散りばめて行ってます。あと、USのポップパンクとか、最近は、Chunk! No Captain Chunk! 、Rocket of the Bulldogs、bachoが好きです。