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INTERVIEW

トップインタビューHilcrhyme (音楽監修) - 映画『尾かしら付き。』自分の作品と思えるくらい深く関わることができました

自分の作品と思えるくらい深く関わることができました

2023.08.18

映画『尾かしら付き。』を音楽という面で本作を彩ったHilcrhymeの楽曲。音楽監修として今までより深く作品世界に携わった本作。どのような目線・気持ちをのせて本作の楽曲を制作したのか。本作への思いを聞いた。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]

制限のない仕事をしたいなと思っていた

メインビジュアルre.jpg――以前から音楽監修をやりたかったということですが、実際に監修されていかがでしたか。
 
Hilcrhyme TOC:大変でした。実際にやってみるとプレッシャーが凄かったです。その分、できた瞬間の満足度は通常のタイアップとは比にならないくらいもので、思い出に残る作品になりました。3曲も1つの作品に提供することは今までになかったので、自分の作品と思えるくらい深く関わらせていただくことができました。
 
――どのように作品を捉えて制作されたのですか。
 
TOC:最初は原作からでその後に脚本を読み制作をすすめ、映像を観て最後の仕上げをしました。
 
――映画『尾かしら付き。』は劇伴もピアノの静かな曲がメインで、音楽控えめの作品のように感じました。だからこそ、3つの曲が流れるシーンが物語の重要なシーンだと伝わってきてより印象に残りました。
 
TOC:そうかもしれないですね。劇伴作家は別にいらっしゃるのでその編集までは立ち会っていませんが、僕も主題歌が際立っている構成にしていただけたなと感じています。
 
――映画音楽は映像との親和性が大事なので各シーンとのバランスを取るのは難しいと思いますが、監修ではどういったことを意識されましたか。
 
TOC:本作ではセリフのないシーンに曲が来るようにしています。普通のタイアップはOPかEDに来るじゃないですか。
 
――あとはクライマックスで流れるというイメージですね。
 
TOC:そうなんです。そうなると台詞とかぶってしまい、曲が抑えられたり、逆にセリフが抑えられたり、映像か音楽に制限がかかってしまうこともあるんです。そういう制限のない仕事をしたいなと思っていたので、音楽監修をやりたかったんです。
 
――そこ込みでの音楽監修なんですね。
 
TOC:そこが一番大きいです。最近の作品では主題歌の尺が短くなることも多くBGM的に流れるということも多いので、それとは違う音楽も映像もどちらも主となるものを作りたかったんです。

ミュージシャンとしても一人の人間としても成長することが出来ました

――それだけ音楽・映像の親和性を大事に作られているからこそ、曲を聴くだけでシーンが浮かぶんですね。
 
TOC:ありがとうございます。なかでも主題歌の『UNIQUE』は総括する楽曲になるようにしました。
 
――そうなんです。個性は時に胸を張って言えないこともあります。本作では樋山那智も宇津見快成も個性をコンプレックスに感じています。『UNIQUE』では、それぞれが思い悩んでいる部分も本当は素敵なものなんだと歌われており、本作のテーマを表していて、水・空気のようにスッと映画になじんでいる楽曲だと思いました。
 
TOC:何よりの言葉で嬉しいです。
 
――楽曲制作に入るにあたって真田幹也監督とお話をされたことはあったのですか。
 
TOC:イメージのやり取り位で、音楽に関しては委ねていただきました。音楽監修として、本当に全権を握っているんだなと思いました。
 
――プレッシャーも凄そうですね。
 
TOC:自由な分、責任も大きかったです。プレッシャーもありましたが、自由にやらせていただきました。
 
――音楽監修をしたことで、楽曲制作スタイルで刺激になったことや気づいたことはありましたか。
 
TOC:タイアップってどこか今まで、外注的な感覚があったんです。今作では正に内から作っていて自分の作品とも言えるので、役者のみなさん・スタッフのみなさんともチームだという意識が強くもあります。特にこの映画に出ている役者のみなさんはほとんど年下ですし僕の方がキャリアも上のほうなので、大きな目で作品を観れるようになりました。それは僕が新人のころには持てなかったものです。
 
――若いころは心の余裕も持てませんからね。
 
TOC:そうですね。余裕を持てる自分になったというのが一番大きな財産です。ミュージシャンとしても一人の人間としても成長することが出来ました。彼らをリードするくらいの器を意識できるようになったなと思います。
 
――そうやって得られた気持ちのように、楽曲が映画を包み込んでいるんですね。
 
TOC:役者のみなさんに出てくれてありがとうくらいの気持ちも持っています。
 
――本当にお父さんですね。
 
TOC:本当にその通りです。作品もそういう物語になっていますし。

変わらずに投げかけているメッセージ

――出てくる人がみんな暖かい人ばかりでした。イジメのシーンもありましたが、高校生くらいまでは自分の世界が学校と家が中心で狭いので異物と感じたものを弾こうとしてしまっていて。
 
TOC:本当にそうですね。小・中学生のころなんかは特に“クラスが世界”・“学校が世界”で、そこしか見えなくなってしまう。子供たちにとってそれはしょうがない事なんですけど、世界は広くて自分の居場所はいろんなところにあるということは大人が教えるべきだと思っています。この作品は正にそういったことを描いています。学校でイジメなどがあったら、転校してもいいです。
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――大人でも逃げてもいいんです。
 
TOC:そういうことです。選択肢は無限にありますが、学校は何故か逃げ場がないと思ってしまうんです。
 
――作中でも語られていましたが、「周囲との違いに恐怖を感じたり、変化をなかなか受け入れられなかったり」というのは正にその通りだと思います。
 
TOC:埋没してしまうところがあると思いますよね。
 
――自分が短所に考えていても、人から見ると羨ましいということもありますから。
 
TOC:僕もコンプレックスは武器になると思っています。
 
――個性とはどういうものだと考えられていますか。
 
TOC:本当に十人十色で、それぞれが素晴らしいと思っています。個性は誰しもが持っていますが、それに対して劣等感を持つか、肯定感を持つかは人それぞれだと思います。個性に対して劣等感を持つ事は全くないです。そのことを教えたいし、気づいて欲しい。そこは変わらずに投げかけているメッセージです。
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『尾かしら付き。』

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LIVE INFOライブ情報

映画「尾かしら付き。」
『尾かしら付き。』本ポスターre.jpg
2023.8.18[FRI]公開!
 
-Cast-
宇津見快成(学生):小西詠斗
樋山那智(学生):大平采佳
樋山那智(大人):武田梨奈
宇津見快成(大人):佐野岳
樋山志穂:新内眞衣
葛城楓太:木村昴
宇津見龍成:長谷川朝晴
宇津見ホア:土井ケイト
ほか
 
-staff-
原作:佐原ミズ「尾かしら付き。」(ゼノンコミックス/コアミックス)
監督:真田 幹也
脚本:おかざき さとこ
音楽:Hilcrhyme
主題歌:Hilcrhyme 「UNIQUE」(Universal connect)
企画・製作:EAST WORLD ENTERTAINMENT 埼玉県/ SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
制作:デジタルSKIPステーション ダブル・フィールド/ SS 工房
配給・宣伝:ムービーウォーカー
 
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