『グッドモーニング、眠れる獅子2』主題歌として作られた『羨望』。羨望される凛とした強い女性をイメージして作詞された本楽曲。坂本浩一からのイメージを受けどのような気持ちを込めて制作されたのかをほのかりんに聞いた。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]
“気にしないでらしく生きようぜ”という想いを込めた
――『グッドモーニング、眠れる獅子2(以下、眠れる獅子2)』の主題歌は坂本浩一監督からのオファーで実現したとのことですが。
ほのかりん:はい、坂本監督からお話をいただきました。お話をいただいて「絶対やります、作らせてください。」と受けさせていただきました。『仮面ライダーフォーゼ(以下、フォーゼ)』でお世話になった坂本監督とまたご一緒できてとても嬉しいです。
――『羨望』はどういったイメージを持って作詞されたのでしょうか。
ほのか:坂本監督からのリクエストでもありますが、“強い女性”を意識して作詞しました。
――凛とした女性を感じる歌詞でした。『眠れる獅子2』は小栗有以さん演じる柚木朱音の成長物語でもあるので、映画のあと未来の朱音の姿を歌っているようにも感じました。
ほのか:有以さんも「朱音は負けず嫌い。」とおっしゃっていたので、歌詞と合っているのかなと思います。
――楽曲制作にあたってほかに坂本監督とお話しされたことはあったのでしょうか。
ほのか:“強い女性”というイメージはいただきましたが、基本的に「りんちゃんの好きなようにしな。」とお任せでした。出来上がった曲を聞いていただいて「良かったよ。」と言っていただけ嬉しかったです。
――作品ごとで変わってくるとは思いますが、作詞をされる際に意識されていることはありますか。
ほのか:以前は説明をし過ぎないということを意識していましたが、最近は伝えたことが多いので歌詞が多くなっていますね。今回は強い女性をイメージしていますが、そういう人でも何も気にしないで生きるのは難しいですし、気にしていないつもりでも無意識のうちに選択肢が狭まっていることがあるじゃないですか。
――ありますね。
ほのか:“気にしないで自分らしく生きようぜ”という想いを込めた歌詞になっています。改めて歌詞を読むと性格悪いなと思ってしまいますよね(笑)。
――キーワードをピックアップしてみると強い言葉なのでそう見えますけど、楽曲全体として見ると物語があるので凛とした女性像が浮かびます。
ほのか:ありがとうございます。
――曲に関しては80年代を意識されたとのことですが、それは何故ですか。
ほのか:歌謡曲が好きなので、80年代を意識した曲になっています。80年代を意識しつつも渋すぎないようにバランスは大事にしています。作曲は、ひろせPさんと話し合って進めました。最初にもらった曲案がドラマチック過ぎて今回目指す方向性と違ったので、そこからすり合わせて進めていきました。
ヘイトも減るんじゃないかなと思っています
――女優としても活躍され、新たにミュージシャンとしても活躍されています。新しい道を歩むというのは勇気がいることだと思いますが、音楽をやろうと思ったのは何故ですか。
ほのか:私の中でお芝居も音楽も表現という面では変わらないんです。自分で作詞した曲を歌う際も、自分で書いた脚本を自分で演じるという感じなので、表現者という意味ではそんなに大きく離れていないと思います。
―― 一人芝居のような感じなんですね。歌われるときはほのかさん自身を前に出すのか、楽曲の中のキャラクターをイメージして歌われるのかどちらが比重として大きいですか。
ほのか:歌う時は作詞した時の感情を引き出している感じです。引き出し元は私なので、私自身を演じているのかもしれないです。
――自分自身を出しているとなると『羨望』というタイトルはなかなか強いタイトルですね。
ほのか:確かにそうですね(笑)。人前に出る仕事をしているとヘイトをされることもありますが、私はあまり落ち込まないでむしろそういった感情を受けて気持ちいいと思う部分もあります。もちろん、へこむこともありますが、それだけ注目してもらっているということの裏返しでもあると思っています。みなさんもそういう気持ちを持てるようになればヘイトも減るんじゃないかなと思っています。
――人と比べてもしょうがないですからね。「隣の芝生は青い」とも言いますから。
ほのか:羨ましいと思っていた相手が、実はこっちを羨ましいと思っていたなんてこともありますからね。
――お話を伺うと思っているよりも攻撃的な歌ではないんですね。
ほのか:実は、世直しソングです(笑)。
――朱音は夢を追いかけている子ですが、ほのかさんが夢を追いかける・実現するために大事にしていることは何ですか。
ほのか:周りと比べないことです。人と比べると焦ってしまうこともあるじゃないですか。私もそれで落ち込んだこともありました。今は、自分は自分だと切り離すマインドは大事だなと思っています。焦って夢を諦めるのは悲しいですから。
――ヘタをすると好きだったことを嫌いになってしまうこともありますよね。
ほのか:そうなんです。
もっと深いところに呼び込んでくれた恩人
――高岩成二さん演じる九條和真は前作ではマネージャーですが、もし九條がほのかさんのマネージャーだったらどうですか。
ほのか:九條さんは凄い優さしい方なので、なんでも話せる家族みたいな関係になれそうです。
――実際のマネージャーの方ともそういう関係なんですか。
ほのか:はい。楽しくお仕事しています。
――『フォーゼ』では女優としてもご一緒されていたことがありますが、坂本監督はどういう方ですか。
ほのか:私はモデル志望で芸能界に入ったんです。その時に居た事務所がお芝居に強いこともあって、お芝居のオーディションやワークショップにも行っていましたが、それが凄く嫌でした。
――そうだったんですか。
ほのか:生意気な話ですがお芝居をしたくないことを相談したときに「その気持ちは分かった。だけど、これはもう決まっているオーディションだからコレだけ受けて。」と言われて受けたのが『フォーゼ』なんです。
――お芝居としては最後の予定だったんですね。
ほのか:はい。「これが終わったらもう芝居しなくていいんだ。」という気持ちで受けに行ったときに坂本監督に出会いました。それまでお芝居に苦手意識があって楽しくなかったのですが、『フォーゼ』では坂本監督のおかげでリラックスしてお芝居をすることが出来ました。そこで初めて「楽しい、お芝居をもっとやりたい」と思えたんです。そこからはお芝居をメインにシフトチェンジし、モデルの仕事をセーブしていきました。坂本監督に会わなかったらお芝居の道を進んでいなかったと思います。
――そうなるとミュージシャンとしてのほのかさんも生まれていなかった可能性もありますね。
ほのか:この世界のもっと深いところに呼び込んでくれた恩人です。だから、坂本監督は大好きです。
――ご自身が希望する仕事とは違う世界に進んだわけですが、変わった部分はありましたか。
ほのか:お芝居に対しての苦手意識はなくなりました。悩むこともありますがそれは向上心からくるもので、やりたいという前向きなマインドに変わったのは良かったです。
――素晴らしいです。今回はシンガーソングライターとして参加ですが、また坂本監督作品には女優としても。
ほのか:もちろんです。
――その時は主演・主題歌で。
ほのか:そうなると嬉しいですね。
――そのことはお伝えしているんですか。
ほのか:はい。「またやろうね」って言ってくださったので、その時が来るのが待ち遠しいです。
――そういったお話を伺うとより深く『羨望』を楽しむことが出来ます。
ほのか:ありがとうございます。『眠れる獅子2』と『羨望』を相乗効果で楽しんでいただけるのが一番です。この曲が、へこんだ気持ちが上を向くきっかけになってくれると嬉しいです。