今日のお前はいったい何者なんだ?
──LOUさんが加入して新たなTHE RYDERSになって、快進撃が始まるわけですけど。
OHNO:LOUが加入したタイミングでリセットして、本来の自分に戻すべくことをやり始めて、吹っ切れたんだよ、迷走してた自分から。LOUも何でスタークラブ辞めたのか知らなかったけど、お互い過去を払拭して進もうとしてたところはあるよね。
KOJI:LOUもこのバンドでガンガンやってやるって気持ちが強くて。ドラムのTSUGIOも一番若くてイケイケなのね、やると言ったらとことんやるみたいな。そうなるとバンドの勢いも違うよね、昔とは大違い。LOUは、先輩にあたるバンドにいたわけだから、経験が違うわけ。ライブは年間何本もやって、レコーディングはこうやってとか、とにかく新しい風を吹き込んでくれたね。
OHNO:LOUに限らず歴代メンバーとは、チームとしての音楽性をまとめるのは困難ばかりだけど、この時代はバチバチの言い合いが多かったね。良くも悪くも激しかったな。
1991年、名盤『LET'S GET TOGETHER』をリリース
──「LET'S GET TOGETHER」をTOY'S FACTORYから出して、バンド自体凄い勢いで、観客もエキサイトし過ぎて危険なくらい激しくなりましたね。たとえば曲や歌詞にも変化とかはありました?
OHNO:「LET'S GET TOGETHER」はLOUが加入する1年前にはライブでやってた曲なんだよ、実は。アメリカから帰国して、まあオープンマインドになったことで、排他的だった自分じゃなく、おー! みんなでやろうぜ!的にはなってたから。LOUが入る前には気持ちも体調も準備ができてた感じだね。曲はよりシンプルにストレートに集中させていった感じだったね。歌詞に関しては、「SO PASSION」を作ったときから精神的には変わらないと思うよ。なんか世の中インパクト勝負みたいな言葉を発するのは、自分には向いてないと思うし。過激なことを並べてみたりとか、そういうのは自分で背負いきれないというか、責任持てないことは言いたくない。日常感じることを書くだけかな。絶頂から修羅場まで日々いろいろ起きるからね。
1993年、アナーキー・ツアー
──その後もアナーキー・ツアーを開催したり、メンバー・チェンジを繰り返しながらも、アメリカや韓国ツアーなど国内、海外でかなり精力的な活動をしてましたよね。
OHNO:未だに行けてない場所があるけど、全国廻ってさまざまなバンドと対バンして、エールを送ってくれる人たちに出会えて、混乱しながらも最高な時間は経験してきたと思うね。海外ライブも想定したより少ないんだけど、世界観変わるよね、全く! LAレコーディングして思ったことは、昼にスタジオに行って夜まで作業、モーテルに帰りながらビールをしこたま買って飲んで騒いで寝る、翌日また同じ繰り返し。寝食を共にする時間なんて、バンド生活ではなかなか作れないしね。こんな毎日を過ごせたらなぁ~とか、理想だけど。日常では、みんな何か仕事して、夜週3とかでリハやって、週末ライブって当たり前に大変だよね。金銭的にも体力的にも余力なんてないし、バンドが忙しくなって仕事の休みとか多くなってクビになったり、彼女にも愛想つかれて逃げられたり、ってさ(笑)。
KOJI:メンバー・チェンジは、どこのバンドだって長年やってりゃ出てくる話でしょ? そのたびに好きな音の傾向性や、どの楽器ならお互いフィットするのか? って毎度探り合いながらやらなきゃいけない。ライブ、スタジオって環境が別ものだから、余計にまとめるのが困難だよね。俺も呑兵衛だけど、酒飲んでいろんな話とかして、お互いの距離縮めてみたりとかも大事かな。ツアーとか行くとお互いの人間性もわかってくるし。メンバー間が上手くいきだしたら、そりゃ活動も勢い出てくるんだな。
結成35周年を迎えた2023年
──今日はバンドが走り出した頃を中心に聞いてきましたが、ここからもっと聞きたいことがたくさんあるので、またの機会で続きを聞きたいと思います。最後に、35周年を迎えた今、何を思いますか?
KOJI:あくまで経験値ってことだけかな。楽しいことはやれたとも思うし、まだやりたいことはあるんだよ、やれてないことというかな、後悔もあるぶん。まあ音楽やってる以上、形に出してお見せするしかないかな。
OHNO:俺がいつも自分に思ってることは、「今日のお前はいったい何者なんだ?」ってこと。同じバンドで35年やって、良くも悪くもしっかり自分自身を出せるようでありたいって思うよ。