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INTERVIEW

トップインタビューKONCOS - 街と仲間と紡いだ10年。出会った全てに感謝を込めた傑作『Waltz for April』完成!

街と仲間と紡いだ10年。出会った全てに感謝を込めた傑作『Waltz for April』完成!

2022.12.23

KONCOSが活動10周年を迎えた。街と街を、音楽と人を繋げ、密と汗とお酒を売りに型に縛れらない活動を続けてきた彼ら。その活動ゆえにこの数年のコロナ禍に大きく振り回されたバンドの一つであることも間違いないだろう。そんな中でも見出した未来への希望、音楽の美しさを目指した新作『Waltz for April』が誕生した。数年の葛藤から生まれた今作と、10年間の歩み、そしてSHELTERの名物イベントとなった『AFTER SCHOOL』について佐藤寛(Vocals, Guitar, Bass)、古川太一(Piano, Synthesizer Bass, Vocals)に話を伺った。[interview:川本俊(下北沢SHELTER)]

奪われた3年間、幻の『AFTER SCHOOL』

──KONCOSの活動が10周年ということで、おめでとうございます! 振り返ってみていかがですか?

古川:この3年間ぐらいが止まってたからね。コロナの止まり方は震災のときよりも物事が止まってしまっていて。ライブハウスも含めてね。表現する場所を奪われた。対バン基本でやってきたから、『AFTER SCHOOL』は。いろんな街のみんなを繋げて各地の面白いバンドを呼ぶみたいなのが『AFTER SCHOOL』のテーマで、川本君と一緒に2015年ぐらいからやってるんだよ。『AFTER SCHOOL』って。KONCOS 10年というより『AFTER SCHOOL』始めてからのほうが大きくてさ。あれでツアーしたり、全国のバンドとかを呼んでぐちゃぐちゃにしてやってたのが止まったのはでかいよね。この10年というよりこの10年で作ってきたことが、ここ3年で止まったのが一番でかいかな。SHELTERでやろうとしてた『AFTER SCHOOL』昼の部、夜の部2DAYSがなくなったし、幻の『AFTER SCHOOL』っていうのが1個出来ちゃった。すごく面白い感じで作れていってたことがリアルに全部止まっちゃったから。最後にうわーって人入れてやったのって、BRAHMAN、imai君とやったのが最後なのかな。

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──今までのメモってきたんですけど…(これまでの『AFTER SCHOOL』を振り返る)。

古川:コロナで止まってからはまともに対バンしていないもんね。2021年にtoiletとto overは呼んでるけど。コロナ禍っていうなかでも福島と帯広と京都はなんとなくツアーでも行ってて。そのバンドたちを呼んではやってるけど、その他の街に行けてないわけだから、どう呼ぼうかっていうアイデアも生まれないし、動いてないからね。

──今まではアイデア頻繁に出てましたよね(笑)。

古川:KONCOSの10年というかさ、川本君と一緒に作ってきてるものがあって、この『AFTER SCHOOL』でSHELTERで。コロナ禍で僕らのアルバムが出たレコ発、渋谷WWW(『Music is Love』Release Party. 2021.04.03)でのライブ製作はほとんどSHELTERに入ってもらって。あれも基本的にワンマンだけど、ほんとやれるかやれないかわかんないみたいなさ。SHELTERやSSTVのスタッフとどう開催するかミーテイング続けて。このWWWをどうしようかって1年間考えてきたのは大きかったよね。コロナ前から動いてきた『Music is Love』のことと、WWWのレコ発が終わったら、完全にポカンと抜け殻で。気づいたらKONCOS 10年目が来てて、何か作って残さないと、と思ったときに、自主制作でカセットテープを作ることを思いついて。目標ができたら、少しだけやる気になってきた。

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──製作はずっとライブができないときも続けていたんですか?

佐藤:スタジオはずっと入り続けてはいたんだけど。

古川:ライブのために曲を作ってたようなバンドだからさ。だからライブないと何のために曲作ってるのかわからなくなるしさ。現場のために練習してるわけで、毎週毎週。レコーディング メインのバンドじゃないからさ。

佐藤:KONCOSの場合は、作品を作って、ライブやって、ツアーやって、みたいな一連の流れをやることで、やりきった感というか、飽きるっていうのもあるんだけど、何か次が見えてきたりするんだよね。あと、ツアーを回ってる途中で出会う人とか街とかバンドとかの刺激で次にどうしていこうとか、やりたいことが見えてくることが多いのだけど。前作の『Music is Love』をリリースしたときはどこも全然回れず止まってさ。

古川:ツアー1本もやってないもんね。すごい時代だ。

佐藤:だからいつもやっていた、作って回ってまた作ってっていうこの循環が一回パンって止まってしまって。からの今回のカセットだから、不思議な感じはするかな。

古川:新しいものを取り入れることに興味が向かなくて。別に後ろ向きな話じゃなくて、すごい最先端の音楽は好きでさ、いろいろ取り入れた音楽とかやりたいなってずっと思ってやってきたけど、これはちょっとまずいぞと。もうちょっと自分たちの根本的な部分を見つめ直して残るものを作らないとただ作っただけで終わっちゃうなって思ってさ。売れる売れないとかじゃなくて、トレンドとかでもなくて。なんかトレンドにも興味がなくなっちゃったし。後ろ向きじゃないよ(笑)。

ずっと作ってきたことのアップデート

──『Waltz for April』はどんな作品になっていますか?

古川:手癖の極みみたいな感じかな。自分たちが作ってきた曲の手癖みたいな、前にもこういう曲あったよねぐらいのことをアップデートしていくみたいな。毎日同じものを作っている料理人とかがいるでしょ? けどちょっと中身変えてさ、アップデートしていったりするわけじゃん? 内容はわからないけど、ちょっとずつね。毎日同じわけでもないみたいな部分というか。たとえばサンドイッチクラブのBLTEはずっとあるし、定番で。あの店だったらあれみたいな、僕らだったらこれ。みたいなところを極めていかないと残らないなって。だからずっと作ってきたことのアップデートを考えたんだよね。新鮮というかKONCOSっぽいよねみたいな。だけどアップデート感もあるみたいな。だからお花のグラフィックとかもずっと続けてることの延長線上みたいな。そうなるといいかなって思って。

──初期のKONCOSらしさみたいなものを感じました。

古川:久しぶりにグランドピアノを使ってるんだよね。それで、曲調もグッドメロディ&転調でちょっとひねくれた感じのコード感と日本語詞とみたいな、僕らのルーツの部分に向かい合ってみた。そのときのトレンドに寄ったりとかさ、けっこうやってたほうなんだけど、寄れるんだけどやめたのよ。ピアノにしか向かってない気がする。あと半分以上、寛の曲だったりするし。コロナで止まって曲のアイデアも出てこないし、どうしようかなって思って1曲ワルツの曲は作ってたんだけど、全然できなくてさ。スタジオで練習してるときも。あとは寛が暇なときに家で作ってたんだよね、珍しく(笑)。

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──珍しいんですか(笑)。

古川:ここ10年で初めて2曲ぐらい作ってた(笑)。

佐藤:ayU tokiOのあゆくんが主宰するCOMPLEXってレーベルがあって、そのレーベルのコンピにソロで1曲参加しませんか? っていうお誘いがコロナ直前ぐらいにあって、1曲作ってコンピに参加したんですよ。で、その後コロナが始まりつつも、レコ発のライブをやりたいんですよねって言われてて。ただ、そのライブ用に曲がないし、でもライブやるならせっかくだからKONCOSとは違うものをやろうかなと思って、何曲か作ってライブをやって。それでもコロナはどんどん続いて、家にいる時間も増えたし、さらに詰めて作ってみようかなと思ってさらに何曲か作ってたりして、溜めてたのもあったりで。それが今回わりとね、使えたかなと。あんまないんだけどね。KONCOSだといつもスタジオでみんなで作るから。俺が今回作った曲に関して言うと、家である程度ちゃんとカチッと作ってからスタジオでアレンジみたいな流れだったかな。

場所と人と物作り

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古川:その寛が1人でやったライブが良くてさ、めっちゃいい曲じゃんって思って。これは何か形にしたほうがいいなってぼんやり考えてて、アルバムサイズの作品作るほどのテンションでもないし、けど10周年だし。決まっていたライブが全てキャンセルになって、週末の予定全部飛んで、絶望的なタイミングがあって、そのとき寛は多分家に籠って曲作りしててさ。僕はそこで奇跡的に、僕発信じゃなくて羽太がスケートボードやりたいって言い出してさ、じゃあこっちに賭けてみようって思って。だから家で考えるのはやめて、外に出て新しい繋がりと出会いを求めて、パークに通い出したんだけど。スケートのカルチャーって面白くて、どんどん広がってきて、なんかぼんやりしてたのが、繋がっていくわけなんだけど。例えば何が好きなんだろ? って考えたら、カセットテープだなとか。花の絵も描き続けてるし、Foragerのチーコさんのお花、お花の絵、手描きのイラスト、ってどんどん繋がっていって、KONCOSはなんだろって思ってピアノかなって。それでピアノを弾いて、スケートボードで、お花、カセットテープ、寛のソロを聞いてトッド・ラングレンみたいなシンガーソングライター感っていうかちょっとサイケデリックなところの部分と、で、僕が好きな例えばMOCKYじゃないけど今の感じのピアノ、そこにヒップホップだったり、そこら辺の感じがうまく融合したものを頭の中で作れたらいいなって。で、カセットテープを自主で作って、絵をNOTEWORKSでつくった額縁にいれて。自分の周りにある、好きな部分をうまく合わせてキットギャラリーで表現するっていうのが10年なのかなと思って。レコ発はSHELTERと京都nanoでやって、それで仲いい人たちを呼ぶと。この10年、KONCOSでやってきたことと、自分たちの好きなキーワードと、場所と人と、あと物作りを合わせて表現するのが良いかなと思って。まぁそれしかできないよねみたいな(笑)。今までやってきたことが3年間ぐらい止まってるけど、意外とアップデートできるかも、と思って。まとまったらやる気が出てきて。それでじゃあ自分たちでレコーディングするかって。ギリギリだけどね。

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Waltz for April

2022年12月14日(水)配信リリース
形態:Digital
品番:KON001
Released by AWDR/LR2

【収録曲】
01. Intro | イントロ / Music by Taichi Furukawa
02. Waltz for April | 4月のワルツ / Lyrics by Hiroshi Sato / Music by Taichi Furukawa & Hiroshi Sato
03. Sense of Wonder | センスオブワンダー / Lyrics by Hiroshi Sato / Music by Taichi Furukawa & Hiroshi Sato
04. さかさまの街 / Lyrics by Hiroshi Sato / Music by Hiroshi Sato
05. とけない約束 / Music by Taichi Furukawa
06. やさしいこと / Lyrics by Hiroshi Sato / Music by Hiroshi Sato
07. Bluebell | 青いベル / Lyrics by Hiroshi Sato / Music by Hiroshi Sato
08. Waltz for April Solo Piano / Music by Taichi Furukawa

Produced by KONCOS
Recorded by Shinya Ogino
Recorded at Ideal Music Fabrik, Studio Happiness, Tokyo | music studio hanamauii, Kyoto Mixed & Mastered by Shinya Ogino

Additional Musician
Yuta Furukawa: Alto Saxophone, Flute
Rieko Seizo: Trombone

Photography: Tetsuya Yamakawa
Flower Arrangement: chi-ko (Forager)
Art Work & Design: Taichi & Uta Furukawa

LIVE INFOライブ情報

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KONCOS Waltz for April Release Party
LIVE:KONCOS
GUEST:松田 “CHABE” 岳二:Percussion / Yuta Furukawa:Alto Saxophone / Rieko Seizo:Trombone / Daffodil Singers:Chorus / Dreamcast
DJ:TOMMY(BOY)
2022年12月23日(金)下北沢SHELTER
OPEN 19:00 / START 20:00
前売¥2,500 / 当日¥3,000(共にドリンク代別)
TICKET購入はこちら
問い合わせ:SHELTER 03-3466-7430
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