現在、4カ月連続でシングル曲のデジタル・リリースを決行中のロック・バンド"リフの惑星"が、来たる9月16日(金)に下北沢 Flowers Loftでワンマンライブ『リフレインが叫んでる』を開催する。リリース、ライブと多忙な彼らだが、Vo.緒方良にシングル曲への熱い思いと、ワンマンに向けての意気込みをインタビューで語ってもらった。(interview:横溝英梨 / 新宿LOFT)
クールとは程遠い感じのMVを敢えて制作
──まず、7日20日リリースされた配信シングル第1弾、『RATATAT』についてですが、ライブでけっこうやっている曲ですよね?
緒方:そうですね! 昔からライブでよくやっている曲なんですけど、所属事務所が決まったこともあり、新しく作り直そうみたいな感じで。
──リフの惑星の全体的な曲のイメージというか、クールで切れ味のある曲とはまた違ったダンスロック感ある曲ですよね。
緒方:いい意味で“マヌケ”じゃないですけど、そんな感じな、MVもどっちかと言ったらクールとは程遠い感じの…。
──そうですね。私もMVを観ましたけど、いい意味でぶっ飛んでいるというか(笑)。
緒方:MV制作予算の8割を熊の着ぐるみに注ぎ込んだんで(笑)。
──もうちょっと違うところに使ったほうが良かったんじゃないですか(笑)。最後の出演者一覧のところに「熊(Bear)」って出ていましたね。
緒方:そうですね。俳優の友達に出てもらって。
──あのMVはどんなコンセプトなんですか?
緒方:コンセプトは「メンバーが熊に襲われる」っていう。監督(花元 洵 / Jun Hanamoto-Hearn)がずっと昔からの飲み仲間で、それこそケバ(Ba.小林)とその人が知り合ったのが6年前とか。それでMV制作をちょくちょくやってもらったりしていたんですけど、「いつか、大掛かりなことやってみたいね」って言っているタイミングで今回大きな予算がついたので、やりたいことやろうと。
──今までのMVは同じ監督ではないんですよね?
緒方:そうですね。一度、花元さんに撮ってもらったことはあるんですけど、基本的には俺がやったりとか…。12本連続で作ったときは全部俺がやりました。昨年撮った20分くらいのめっちゃ長いMVがあるんですけど、『spangle』ていう曲が。その曲は別の知り合いの監督(Manami Sato)が撮ってくれました。
──今までのMVはライブをそのまま持ってきた感じの傾向があったと思うんですけど、ストーリー的なのはあんまりなかったですよね。
緒方:あまりないですね。楽しかったです。あとコンセプトは“楽しく撮影をしよう”ていうのもあったんで。
──曲のイメージとは別世界ですね。
緒方:全く別世界です! 全然合ってない。全然合ってないけど、クールにキメまくる曲じゃないのかな? というのはあったので。もうひとつは、CGで俺の顔にいろんな物を投げる案もあったんですけど、最初はケーキとかパイとか投げて、だんだんボーリングの球とか投げるみたいな。まあ、他の案にしてもちょっとどことなくふざけたいのはあって。ガチガチにキメキメでいくっていうのではないかな? みたいな感じでした。間口を広げたいではないですけど、今回のMVは「リフの惑星ってなんか取っ付きにくいな」と思われたくないなというのはありました。
──あのMVがきっかけにじゃないけど…。
緒方:そうですね。評判も良かったし、今まであんまりMVに言及されることってなかったんですけど、今回はわりといろんな人に感想を言ってもらえます。
バンドとして上を目指す意識が芽生えてきた
──アー写が変わったくらいのタイミングでステージ衣装も一新して、ライブのイメージも変わりましたよね。
緒方:そうですね。だいぶ変わってきている、いい意味で開けてきたかなと思います。
──それは今までのリフの惑星の固定概念というか、「リフの惑星ってこういうバンドだよね」ていうのから脱却したいというのがあったのですか?
緒方:うーん、そうですね、脱却したいっていうのもありました。でもそれっていうよりかは、自分たちを世に広げていくためにどうするか? みたいな。無理に格好つけて下に構えているんじゃ人は付いてきてくれないよね、とは思っていたので、今までの自分たちを変えるっていうよりかは、“開いていく”っていうか…。
──結成して今5年間やってきて、これから上を目指していくうえで必要だと気付いてやってみたわけですね。
緒方:そんな感じですね。バンドとして上を目指していこうっていうのがメンバー4人の共通の意識になってきつつあります。
──なるほどね。『RATATAT』をきっかけに変えていこうという意思はあったのですか?
緒方:今回、4曲のリリースの順番として、一番間口の広い曲を最初に持っていこうというのもあったので、わりとそういう意図はあったかもしれないです。
──『RATATAT』のMVで緒方さん的にお気に入りのシーンはありますか?
緒方:熊と、血のり? 熊に予算の8割ぶっ込んだっていうのもそうだし、血のりは血の色とかを後で調整したりとこだわっていて、熊が出てきた瞬間と血のりを塗った瞬間は現場が盛り上がったんですよ。あのB級ホラー感みたいな。あそこはぜひ、って感じですね。
──いい意味でね。いい意味ですごくホラーっていう感じじゃないじゃないですか。それが庶民感があっていいというか。
緒方:そうですね。いつかは『呪怨』みたいなガチホラーを撮りたいと話はしているんですけど。いいですよね。監督がオーストラリアとのハーフの方なのであの感じが出ているのかもしれない、ちょっとカラッとしているというか、陽気っていうか。日本人の感性っぽくないですよね。いい意味で、あれ売れるためのMVじゃないなっていうか、メンバーを格好よく撮るとかそういうの一切概念としてないですし、監督に全権委ねられたんですよ。やりたいことやろうよって言って持ってきたのがそれだったので、面白いからやろう! みたいな感じで。今後それができるとは思えないからそういう意味で楽しかったですね。
──良かった良かった! 今しかできないっていうのはいいですね。
緒方:そうですね。今しかできないと思います。もっと売れてきたらあんなの絶対撮らない(笑)。俺がレーベルのスタッフだったら絶対にNG出します。「売れるために何の効果があるの?」みたいな。