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INTERVIEW

トップインタビュー八木戸マト(漫画家)- 実力に伴った反応が出て光が当たって飛び立ってくれれば

八木戸マト(漫画家)- 実力に伴った反応が出て光が当たって飛び立ってくれれば

2021.12.23

編集さんに助けてもらったというエピソードを聞くといいなと思います

――見つけてもらうのは大変ですけどWEBでは続けることが出来ますから、やりたいことを続けることもできますからね。
 
八木戸:やりたいことを続けるにも見てもらわないといけないので、目的を達成するための忍耐力が必要ですけどね。漫画家の人は忍耐力がない人も多いので、そこを割り切れる人がTwitter漫画家なんだと思います。そこを割り切れない人はとんでもない才能が必要になりますね。
 
――八木戸さんは一般誌をどのように見られているのですか。
 
八木戸:メディア化など大きなところに行くにはいいんですが、そこまで行くためのハードルは多いので今はあえて商業にこだわらなくてもいいかなと思っています。商業は運要素も強いですから。
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――そこはSNSやWEBでも変わらないのでないかと思いますが。
 
八木戸:変わります。自分発進であれば何か起きても自分の責任ですし、どこでミスが起きたかがわかるので対策が取れるんです。そこを考えると私は自分でやった方がやりやすいです。あと、商業では何かを実現をするまでのサイクルも長くなりますが、個人活動だとスグに出来るのでそこの差も大きいです。
 
――逆に商業の強さは何ですか。
 
八木戸:商業はラインを越えたら圧倒的に強いですね。ただ、そこのハードルが高いんです。そこは明確に差があるので、それを見ていると売れるかどうかは面白さだけでは語れないなと思います。
 
――わかります。知られていない作品でも面白いものは唸るほどありますから。
 
八木戸:そこに到達するまでのハードルはメチャクチャ高いですが、その権利は勝ち取ったからこその特権です。そこは不公平ではなくあって然るべきものですが、私は怖くて挑戦できないですね(笑)。大手の週刊誌は凄い人しかいないですよ。
 
――八木戸さんくらいしっかりしていると編集さんいらないのではとも思ってしまいました。
 
八木戸:編集さんは大事です。担当している雑誌の事を誰よりも知っていますから、「うちの読者はこう思うよ。」という意見は何よりも大事なことです。それに描いていると作者自身の頭に設定が入っているので、説明を飛ばしてしまうことがありますが、そこをちゃんと指摘してくれるのは大事です。
 
――編集の方は最初の読者でもありますからね。
 
八木戸:それにずっと一人で描いていてもつまらないですから、編集さんに助けてもらったというエピソードを聞くといいなと思います。
 
――雑誌連載では直接の反応が見えづらいので、そこを繋いでくれるという面でも大切な。
 
八木戸:そうですね。Twitterでは直接なので、そういった反応を直接見れるのはSNSの強みですね。ただ、そこに引きずられすぎてもいけないですけどね。結局は漫画が面白くないとダメです。Twitterは面白いから受けるわけではないという絶望にも似た実感があります(笑)。
 
――メディアとしてインスタトなものしか載せられないですから。
 
八木戸:そうなんですよ。
 
――今はツールも手ごろな価格でそろいますし情報も沢山あるので、逆に迷いが出てしまいそうですが。
 
八木戸:いまは、いかに体系化して自分の中に落とし込むかが問われているような気がします。あちこち行ってしまうと、結局形にならないという事もありますから。
 
――これだけ情報が溢れていると頭でっかちになってしまうのもわからなくはないですね。
 
八木戸:私も最初はメチャクチャ情報を集めました。一般漫画について何も知らなかったので、最初は不安だらけでした。
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――それが普通ですよ。
 
八木戸:最初は「4P漫画を描けないよな。」と思いながら描いたのが思わずバズったんです。それで、いけるかもと思いました。そこから今の一般漫画ってどんな感じなんだろうと思い、色んな出版社に行ったんです。
 
――漫画雑誌を読むのではなく出版社に行ったんですか。
 
八木戸:そうなんです。
 
――その行動力は凄い、やっぱりメンタル強いですよ。
 
八木戸:いや、自分自身でも予想外の事だったので、思ったよりもうまく行っちゃったなというのが正直な気持ちです。
 
――ちゃんと自身で計画を立て実行されているのが凄いです。
 
八木戸:いえ、私は慎重なだけですよ。あとは、計画したことをやれるリソースがあるかどうかという部分も大きいですね。私は予想外にうまくいったので余力を残すことが出来ましたが、ほかの漫画家さんは自分の10割でお仕事をされている方も多いのでそこは勿体ないなと思います。
 
――作品を描くと同時に、今はその部分をお手伝いされているんですね。素晴らしい。
 
八木戸:本当に才能があっても光が当たらない人は沢山いるので、ナンバーナインさんと今やっていることが上手くいって面白い作品が増えてくれれば、読み手としても嬉しいことはありません。今後どうなっていくかは楽しみです。

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