基本は任せていただいています
──『EDENS ZERO』はマスコット的なキャラも多くピーノもその1人で、ほかにはハッピー、個人的にはモスコもそうだと思っています。
井澤:わかります(笑)。
──特にピーノとハッピーは近い位置に居るのかなと思っているんですが、その点はどうバランスを取られているのでしょうか。
井澤:モスコは置いておいて絶対的なマスコットのハッピーが居て、それを今作でも釘宮(理恵)さんがやられているじゃないですか。釘宮さんのハッピーに負けないように、並べるようにと気合は入れて頑張っています。
──いまは収録も人数制限があると伺いますが、釘宮さんと現場でご一緒されている機会はあるのでしょうか。
井澤:何度かご一緒させていただいています。
──生ハッピーはいかがですか。
井澤:かわいいです。「アイッ」って聞くとドギマギしてしまいます。釘宮さんからも「ピーノ可愛いね。」と言ってもらえて感動しました。石平(信司)総監督も「ピーノ可愛い。」と言ってくださいます。
──実際に可愛いです。この先、もっと感情豊かになっていくのが、開花していくのが楽しみです。
井澤:そうですね。デジタリス編ではピーノが人間ポイ見た目に変わるんです。実際に見るのが楽しみです。
──その時は等身も変わっているので、合わせて演技を変えている部分はあったりするのでしょうか。
井澤:若干、変えています。そんなにガラッとではないですよ。
──大幅に変更してしまうとキャラクターにズレが出てしまいますからね。
井澤:ピーノを演じるときのコダワリじゃないんですけど、人間を演じるときとは呼吸を変えているんです。
──呼吸を変えているというのは。
井澤:人間だとセリフの中で吸って吐いてをするんですけど、ピーノはアンドロイドなので言葉と言葉の合間のブレスを減らして、呼吸の部分していることを感じさせないような機械的な発音をしているんです。でも、それをしているがゆえによく訛るんです。毎回苦戦しているのが「ワイズさん」という発音で、この発音方法だと「高尾山」「富士山」みたいな語尾が上がる発音になりがちらしくて度々注意されました。いまはそれでいいという感じになっています。
──発音も含めてキャラクターとして受け入れられたという事ですね。
井澤:元々、ピーノのしゃべりをそうしてくださいとディレクションされたわけではなく、自分で勝手に始めてしまった事なので、自分で自分を苦しめてしまった形です。
──そこは役者としての意識・コダワリで、素晴らしいと思います。
井澤:ありがとございます。
──先ほどの助けるシーンでは「無機質はやめて欲しい」という話があったという事ですが、ほかにもピーノはこういうキャラクターですといったことや演技のイメージでディレクションされたことなどあったのでしょうか。
井澤:石平総監督や鈴木(勇二)監督・音響監督のはた(しょう二)さんも役者の自由を尊重してくださる方なので基本は任せていただいています。
──他の方の演技を見たり聞いたりする中で、キャラクターを再構築されたという事はあったのでしょうか。
井澤:あえてバランスをという事を強く意識してはいないです。もちろん、会話が成立するようにという事は意識しますが、自分のシーンでぶれると他のキャストの方がやりづらくなってしまうので「コレはこう」と自分の中で一本芯が通っている方がバランスを取れるのかなと思います。
──完成されたアニメを観られていかがでしたか。
井澤:真島先生の漫画も凄いんですけど、シキの重力を操る能力というのはアニメーションでより輝く能力だと思いました。カメラワークの凄さもあるんだと思います。
──動くことで空間が出ますからね。
井澤:あとは、私はEDの入り方が凄い好きなんです。毎話数の最後に曲が流れ始めてEDの映像に入る。あれがアニメらしくて凄い好きです。次回どうなるんだろうと毎回ワクワクしながら観ています。
──OP・本編・EDまでが本当に1つの作品として綺麗に繋がっていて、すぐに終わってしまいますよね。作品の完成度が高くて、私もワクワクしながら観ています。
井澤:ピーノをこれからも演じていくにあたってダビングを観させていただいたんですけど、その際に絵コンテも見せていただいたんです。
──そこまで行かれたんですか。
井澤:はい、その時に資料も沢山見せていただきました。石平総監督の絵コンテはその時点で絵が綺麗で、シキのアクションシーンもドラマチックなんです。そういうコダワリ・思いが完成作品にも出ているんだと思います。
──それだけ作品に対して熱意をもっていただけるというのは、『EDENS ZERO』のファンとしても嬉しいです。
井澤:ありがとうございます。やっぱり、少年漫画のメインキャラクターって気合が入っちゃいますね。
──これからさらに冒険が続いてピーノも更に成長していくわけですが。
井澤:ピーノはとにかく過去が気になるキャラクターなので、私も皆さんと一緒に過去が解明されるのを楽しみにしています。
──デジタリス編ではピーノの夢である人間になりたいというきっかけになる部分もあって。
井澤:個人的には「人間は不老不死じゃないし不便だぞ。ピーノは今のままで十分可愛ぞ。」と思うんですけどね。結局ないものねだりですけどね。不老不死の薬を作る科学者になりたいというのが、一番初めの夢だったので(笑)。
──役者さんというのは“作品が残っていく・記憶に残っていく・忘れられない”というある意味で不老不死なので、違う形で夢を叶えられていますよ。
井澤:確かに叶っているのかもしれませんね。その夢がより実現するように『EDENS ZERO』が長く愛されるように頑張りたいと思います。