仮面ライダー50周年・スーパー戦隊45作品を迎えた今年。日本のみならず世界中の子供たちに夢とヒーローを送り出してきた両シリーズが手を取り合った映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』いよいよ公開。仮面ライダー愛の強さでも知られる鈴木福が謎の少年役として本作への出演が決定。本作出演に対しての思いと特撮愛について語っていただきました。[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]
役の大きさに対するプレッシャーはありました
――「いつか仮面ライダーに出たいんだ。」とお話しをされていたので今回はその念願がかなった形になりますが、最初にお話を頂いた時のお気持ちについてお聞かせいただけますか。
鈴木(福):お声がけいただけるとは全く想像もしていなかったので、ビックリしました。今まで観てきた作品の中に入れるというのは、本当に嬉しかったです。『仮面ライダーオーズ/OOO』では“トイレで手を洗う少年”役で出演させていただきましたがそれ以来で、役について伺うまでは「本当にちょっとした役なんじゃないか。」と父さん・母さんとは三人で話していたんです。それが、こんなメインの役をやらせていただけるとは思ってもいませんでした。
――夢見る作品に出演することが発表された際の周りの方の反応はいかがでしたか。
鈴木:情報解禁までは家族以外、おばあちゃんにも言ってなかったんです。解禁されてからは、小さい頃から仮面ライダーの話をしていた友達や友達のお母さん、高校の同級生たちからも「凄いね。観に行くね。」と言ってもらえました。TwitterやInstagramでもファンのみなさんからお祝いのメッセージをたくさんいただけました。
――謎の少年役の役作りはどのように取り組まれたのでしょうか。
鈴木:お話しできる範囲内で言うと今回は自然なお芝居を心がけています。出演が決まったことで、石ノ森章太郎先生のお墓にもお墓参りさせていただきました。詳しく話してしまうとネタバレになってしまうので、劇場まで楽しみしてください。
――それだけ今回の出演に気持ちを込められたという事なんですね。かなり重要な役どころですが、受けることへのプレッシャーはありましたか。
鈴木:衣装合わせの際にプロデューサーの武部(直美)さんから「今までもこれからも、たぶんない役だと思う。」という話をされて、「確かにそうかもしれない。」と思いました。だからと言って自分に出来ないとは思わなかったです。やらせてもらうからには全力で自分の出来ることをやろうという気持ちの方が強かったです。それでも役の大きさに対するプレッシャーはありました。そこもネタバレになるので詳しく言えないですけど(笑)。
――鈴木さんは特撮愛が強いわけですが、現在放送されている『仮面ライダーセイバー』『機界戦隊ゼンカイジャー』を含んだいままでの仮面ライダー・スーパー戦隊の中で特に親しみを持っている作品はありますか。
鈴木:一番を決めることはできないですけど、思い入れという部分では僕は仮面ライダーが好きで見始めた作品が『仮面ライダー電王(以下、電王)』になります。あとは『仮面ライダーディケイド』『仮面ライダーW』『仮面ライダーキバ』などは、僕が見始めてから好きになり没頭させてくれた作品なので、思い入れのあるシリーズになります。
――いま挙げられた作品の中で心に残っている名シーンはありますか。
鈴木:『電王』OPになりますが、デンライナーからマシンデンバードというバイクが出てくるシーンが衝撃的でとても印象に残っています。それを作ったのが田﨑(竜太)監督で、プロデュースされているのが白倉(伸一郎)さん・武部さんになります。僕を仮面ライダーにハマらせてくれた方たちが『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』も作ってらっしゃるので、改めて感謝をお伝えしたいです。
――変わらずに夢を与え続けていただけるのは本当にありがたいことですね。今もシリーズを見られているそうですが、成長していく中で仮面ライダーの観方で変わってきている部分はあるのでしょうか。
鈴木:『仮面ライダーウィザード』『仮面ライダー鎧武/ガイム』の頃にはドラマとして観られるようになってきました。もちろん変身して戦うシーンも好きでしたが、ドラマとしても楽しめるようになってきた当時は、物語が難しいなと感じていました。
――より深く物語が解るようになったからこそ、難しいなと感じた時期があったんですね。
鈴木:その難しさを感じている中でも断念しないでシリーズを見続けていたので、あの頃も好きだったんだと思います。いまはドラマとして楽しく見ています。
――以前、「アクションをやりたいという気持ちがある。」という事を言われていましたが、それは仮面ライダーのような特撮アクションなのでしょうか。
鈴木:そうです。仮面ライダーになりたい気持ちが強すぎて、スーツアクターさんになりたかった時期もあるんです(笑)。
――そこまで強い思いが。
鈴木:仮面ライダーになりたいというのが一番の目標ではありますが、その延長には色々なアクション作品があると考えています。役者としての幅も広がるので、今もアクションシーンを凄くやりたいと思っています。
心に深く入っていく作品
――今回の制作チームの方や監督たちにファンとしての質問をしたことはありましたか。
鈴木:質問ではないですが、白倉さんが『仮面ライダー555』の靴を履いていらしたので、「履いていらっしゃるんですね。」とお声掛けさせていただきました(笑)。
――白倉さんもさすが作品愛の強い方ですね。
鈴木:白倉さんとはYouTubeで撮影させていただいた際や、ほかにも対談のような形で色々とお話しさせていただく機会があったので、作品の裏話などを聞かせていただきました。その中で衝撃的だったのは『電王』でのバイクでデンライナーを操縦することやデンライナーの中からバイクが出てくるということを考えたのが田﨑監督だというのを聞いて、その発想は凄いと思いました。
――改めてヒーローに囲まれている自分の姿を俯瞰で観ていかがですか。
鈴木:自分がずっと好きなものの中に居るわけですから、スクリーンを通して観ると改めて不思議に感じました。
――そうですよね。もし夢を見ていた子供時代の自分に今回の事を話す機会があれば、どういったお話をされますか。
鈴木:「ずっと好きでいたらいいことあるよ。」とか、「一生懸命に頑張って続けていたらいいことあるよ。」というのが一番だと思います。とはいえまだ仮面ライダーシリーズで叶えたいことはあるので、まずは1つクリアといった感じです。
――夢の途中ということですね。今作では藤岡弘、さんとも共演されていますが、現場でお話されたことはありましたか。
鈴木:「演技が素晴らしい。」とほめて言っていただけました。藤岡さんは仮面ライダーへの愛が本当に強い方で、作品を背負っていく責任や本郷猛に対しての思いが凄く強い方です。今でも仮面ライダーそのものの方だと感じました。
――実際の藤岡さんもそうなんですね。今年は仮面ライダー50周年・スーパー戦隊45作品のダブルアニバーサリー。そこまで長くシリーズが続くということはなかなかないと思いますがその魅力は何だと思いますか。
鈴木:難しい質問ですね。小さい頃に観ていた時と変わらない部分と、時代に合わせて変わった部分両方があると思いますが、変わらないものはヒーローというものが作品の奥に統一されたものとしてあると思っています。変わった点をいうと表現的な部分になりますが、特にこの令和の作品である『仮面ライダーゼロワン』『仮面ライダーセイバー』に関しては正義と悪というものの表現が変わってきているように感じています。
――その表現の違いというのは。
鈴木:もしかすると小さい子には分かりにくいのかもしれませんが、メッセージとして残る物・受け取れる人の年代の幅は凄く広くなっているんじゃないかなと思います。例えばラスボスが仮面ライダーだったりすることで、正義と悪が表裏一体でどちらにも転ぶ可能性があるということを表現しているんだと思います。今までは怪人は怪人とすることで悪というものを統一していましたが、敵対する側にも仮面ライダーがいることになる。そこが大人の人たちも深く考えさせられる点になっていて、ドラマとして面白いと思える部分じゃないかなと思います。
――改めてファンとして完成作品を観られていかがでしたか。
鈴木:ファンとしては本当に壮大な物語だなと感じました。ドラマ部分とアクション部分のバランスが本当によくて、制作側の気持ちと僕も作品に込めた思いがしっかりと乗っている、みんなの心に深く入っていく作品になっています。今までも仮面ライダー・スーパー戦隊があってアニバーサリー的な作品で合作はありましたが、ここまでヒーローというものの芯に迫る作品はなかったんじゃないかなと思っています。本当に昔から紡がれている思いがここに残されていると思います。
――みなさんの思いが込められた作品がこれから公開されるんですね。今の子供たちはもちろん、かつて子供だった人たちも公開を楽しみにしていますが、そんなみなさんへメッセージをお願いできますか。
鈴木:本当に楽しく観て欲しいです。仮面ライダー・スーパー戦隊は50年・45作品ある中、ともにみんなにずっと寄り添ってくれていたものだと思います。自分が子供の頃に観ていたというだけではなく、自分の子供が観てたなという形でも懐かしめる作品だと思います。ヒーローというものはそれぞれみんなの心の中あって、そのヒーローを象徴している仮面ライダー・スーパー戦隊が映画という形で夢の競演をしている作品なので、本作を観ていただくことで感じるものが沢山あると思っています。子供向けの作品というイメージはあるかもしれないですが、大人も楽しめるドラマなので多くの方に楽しんでいただければ嬉しいです。