欲求や好奇心を満たしているという側面もあるのかもしれない
──少女が妙齢の男性を翻弄するという点についてはどう感じられてましたか。
木下:松永にとって文子というのは初め不審者ですけど、実際に同じ状況になると多くの男性が同じことになるんじゃないかなと思うんです。女の子側から推してきているわけです、しかもこんな可憐な子が。なので、無理はなかったですね。おっさんと美少女という関係は、観ている人からは違和感が出てくるかもしれないですけどね。だからこそ、面白いんだと思います。
──不倫関係は江戸川乱歩の時代でも不道徳な関係だと思うんです。しかも、親子ほどの年齢差がある二人ですから。今は特にその辺りに対して世間から厳しく見られる時代で、そのことについては木下さんと中山さんでも世代が違う事もあって捉え方が違うのではと思いますが、それぞれにこの関係性についてどう感じられましたか。
木下:大昔は年の差や同性愛で不倫だらけなんですよ。むしろ昔の方が性に対することがオープンで、江戸時代なんかは春画みたいなものを楽しんでいて。
──そうですね。大奥とかまさにそうですね。
木下:ですので、今は逆にみんな真面目になって減ってると思います。いけない人を好きになる、それを我慢するのが筋なんでしょうけど、実際は見えないところでは起こっているでしょうから。そういう意味で言うとこういった作品を観て、その欲求や好奇心を満たしているという側面もあるのかもしれないですね。
──見るだけでも自分が体験できないことをしているというワクワク感を感じますからね。
中山:私は年齢差に関してはあまり気にならないですね。この作品の中でもそうですが、お互いが求めあっている、そのことの方が大事なんじゃないかなと思います。
木下:でも、結局は悲劇といいますか、罪人になってしまうという良くない着地をするので、やっぱりこういう関係は続かないんですかね。
──そうかもしれないですね。この作品ではそういった非日常の空間・世界を楽しむ・体感するという意味でも、本当に映画館で観たい作品ですね。
木下:映画館でこの奇妙な世界に浸っていただきたいですね。
中山:みなさんの助けでいい作品に仕上がったと思います。劇場で『裸の天使 赤い部屋』を楽しんでください。