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INTERVIEW

トップインタビューシークエンスはやとも - いま注目の霊視芸人が語る霊とのポップな付き合い方

シークエンスはやとも いま注目の霊視芸人が語る霊とのポップな付き合い方

2020.10.27

 幼い頃、とある事件をきっかけに霊が見えるようになったという霊視芸人・シークエンスはやとも。YouTubeのチャンネル登録者数は8万人を越え、一躍注目を集めている。今回は『女性自身』にて連載中の『ポップな心霊論』からショート怪談を抜粋して一冊の本になった『ヤバい生き霊』(光文社・刊)を紹介しながら、霊と遭遇したときの対処法やヤバい土地などについてポップに語ってもらった。[interview:カワハラ ミキ(Naked Loft)

ネイキッドロフトは場所が悪すぎる!

──『ヤバい生き霊』を読ませていただいて、すごく読みやすくてとても面白かったです。

はやとも:ありがとうございます。編集さんのおかげです!

──霊が見える、見えないはスイッチで切り替えているそうですが、どのように切り替えをしているんですか。パッと切り替わりますか?

はやとも:はい、現状はそうです。最初に切り替えをしたのは楽屋でダイタクさんがいろんな先輩に僕を紹介してくださったときだったんですが、それ終わりでひっちゃかめっちゃかになってしまったんです。芸人1年目だったということもあって、先輩と社員さんとお化けの違いがつかなくて。僕、劇場で頭がおかしい奴認定になったんですよ。まあ、もともと頭はおかしいんですけど(笑)。でも挨拶しても返してもらえなくなるのは良くないじゃないですか。なので伊達メガネを買ってきて、切り替えるときに使うようにして今は何となくやり過ごす感じなんですけど、何にも見ていないオフの状態でも全く見えてないわけではないくらいの感じなんですよね。

──ちょっとはぼんやり見えてしまうものなんですね。どのくらい実態として見えてしまうものなんですか。生身の人間と変わらないくらいくっきり見えてしまうとか?

_03_3635.JPGはやとも:ものによると言ったら向こうの人に失礼ですが(笑)、人によりますね。僕と同じように見える先輩が2人いるんですけど、その人たちとよく話す言葉は「鮮度」ですね。言い方は悪いですが、死にたてホヤホヤだと結構はっきりと見えるんですけど、時間が経ちすぎているとホワ〜ンとしていたり、透けるっていうよりは昔のフィルムの写真が白茶けてくるようにフワーッと白くなっちゃっている感じに近いですね。最終的に無色透明みたいになっているのは分かるけど、性別も年齢も分からないくらいになって最終的には無になっているみたいな感じもあって、それが成仏なのかどうかは自分が死んでみないと分かりません(笑)。

──会話ができないと本にも書いてありましたもんね。ただただ霊が話していることを聞き続けるしかない。

はやとも:そうです。

──私はネイキッドロフトで働いているんですけど、ネイキッドにもヤバいと言われている場所が2カ所あって(笑)。入口と楽屋口なんですが、会場によってこの場所はかなりヤバいとかピンポイントで感じたりしますか。

はやとも:ネイキッドロフトは僕も何回か出させてもらってますけど…まあ、場所が悪すぎますからね(笑)。場所が悪いのは商いに向いてないってわけじゃないんですけど、土地が新宿の一番ヤバい街を抜けた先の新大久保にあるので(笑)。ネイキッドロフトに関しては、ヤバいのは出入口と楽屋口だけではないと思いますよ(笑)。

──他もいろいろヤバいと(笑)。

はやとも:先輩で元デスペラードの武井(志門)さんが住んではいけない土地にすごい詳しいんですけど、東京のほとんどは忌み地と言って手繰ると何かがある場所ばかりらしいんですね。その中でランクがあって、本当にすごくヤバい所とちょっとヤバい所があるそうです。何にもない所って成城学園前くらいしかないらしいんですよ。

──成城学園前はなぜそんなにクリーンなんですか?

はやとも:あそこはもともと人が住む土地として使われてなかったらしいんですね。人が住み始めてからいきなり高級住宅地にしちゃったので極端に事故物件が少ないらしいんです。事故物件サイトで見ると、東京中が燃えているのに1カ所だけ鎮火されてて僕もびっくりしました(笑)。

──それだけクリーンな所なんですね。

はやとも:それ以外の土地には良し悪しがあるだけで、たとえるなら筋トレと同じような耐性があれば何とかなるというか。

──筋トレ?

はやとも:たとえば生まれた所がちょっとヤバい所で、次に結構ヤバい所、最後にマジでヤバい所…と順番に暮らしていった人はだんだん人に恨まれたり、重い気みたいなものが乗っかるけど、筋トレができているからヤバい所にいきなりドーンと突っ込まれた人よりも大丈夫なんですよ。新宿だろうが新大久保だろうが池袋だろうが赤羽だろうが関係なく、その人にもともと耐性があった状態だったかどうかなんですよね。『仄暗い水の底から』って映画があるじゃないですか。僕は日本のホラー映画で一番好きな作品なんですけど、その何が面白いって主人公の黒木瞳さん以外全員がクズなんですよ(笑)。子ども以外、全部クズ男なんです。弁護士で1人良い人が出てくるけど、良い人ぶるのも仕事上の建前だもんなって僕は思っちゃうし。唯一、優しさに溢れている黒木瞳さんが最後に呪い殺されるんですけど、イヤミを言うようになったりしぶとくなったり、イヤな奴になるというのは大人になるってことなんですよ、多分。黒木瞳さんだけ子どもの頃のフラッシュバックが何回も入るんですけど、そういう耐性の低い人は幽霊やお化けに限らず、死んでない人からも嫌われたり、「あいつウゼェ!」って思われやすいと僕は思っています。そういうのに負けない人は大人になっているということで、客観的に見ると「なんだこいつ!?」って感じるところが出てくると思うんですよね。それを良いと取るか、悪いと取るかは分かりませんけど、ただ良い人、ただ優しさと愛に満ち溢れているだけの人は他人から恨まれたり弱みにつけ込まれやすいので、少なくとも新大久保には住まないほうが良いと思います(笑)。

優しい人は霊につけ込まれやすい

──この本には「周囲から良い人と言われる人は憑かれやすい」と書かれていますが、幽霊も人の善意につけ込みやすいということですか。

はやとも:そうです。このあいだケータイがコロナに感染しているから消毒のためにお金を払ってくださいっていう事件がありましたけど、あんなのになんで騙されるの!? って思いません? でもあんなことで簡単に騙されちゃう人はリアルに存在していて、その理由の一つは優しいから。何事も良いほうに考えて優しくなってしまう。もう一つの理由は情報弱者であること。情報弱者というのは自己責任なんですけど、優しいというのは一見すると長所なんですよね。だけど優しい人は生きている人からも死んでいる人からもつけ込まれやすいし、勝手にどんどん悪い方向に行ってしまったりとか、不幸な目に遭っている人が意外と多いんですよね。

──優しい人は騙されやすいと。

はやとも:はい。こんなに良い人でこんなに愛情にも溢れているのになぜ悪い方向にしか転がらないのか? っていう人が多いですけど、ちょっと息抜きさえすればそういう人でも最終的に死ぬときに一人ぼっちにはならないと思うんですよ。人を裏切り続けて大金持ちにはなったけど最後は一人ぼっちで死ぬか、優しさに溢れ良い方向に進んでいって人生死ぬまでしんどいけど死ぬときにたくさんの人に囲まれて死ぬか。もしくはその中間を取るか。大概の人は中間を取りますけど、そのどっちかの人もいて、優しさに溢れた人たちはこの本にも書いてある通りつけ込まれたり、トラブルに巻き込まれることが多いと思います。

──優しくしていると霊にもつけ込まれちゃうんですね。

はやとも:まあ、優しさの定義も難しいですけどね。ちょっと話がそれちゃいますけど、「どんな男の人が好きですか?」と訊かれて「優しい人が好き」と答える女の人が僕は大嫌いなんですよ。本当にこの世で一番嫌い!(笑)

──(笑)何でですか?

_03_3802.JPGはやとも:「優しい人が好き」って要は自分にとって都合の良い人が好きって言っているだけだし、それなら「自分が好き」って言いなよって思っちゃうんです。「まず自分が一番好きだから自分に従ってくれる男性が好きです」って言う人なら僕は好きですけど(笑)。それをオブラートに包んで「優しい人が好き」ってなに言ってんだ!? って思いますね(笑)。

──なるほど(笑)。

はやとも:たとえば「お前しっかりしろよ!」って叱るのも優しさですし、「この子は一人ぼっちにさせなきゃダメだ」と思ってそっと立ち去るのも優しさですし、「大丈夫? 大丈夫?」って言ってお金をあげたりご飯を食べさせたりするのも優しさですし、全部優しさなんですよ。だから優しいって人によって違うんですよね。どれを優しさと取るかなんて一括りにはできないし、相手の気持ちや感情を汲み取って相手に合わせ続けてしまうのを人につけ込まれる優しさだと僕は言っているんです。ほとんどの人が求める優しさというのは自分に対しての優しさだし、他者の立場になって優しさを与えてしまう人というのはいろんな人につけ込まれたり騙されたりする可能性があるんじゃないかなと思います。

──なんだか哲学的な話になってきましたね。

はやとも:口調が乱暴な哲学になってきてますね(笑)。

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ヤバい生き霊

シークエンスはやとも 著
四六判 / 並製 / 208頁
定価:本体1,200円+税
ISBN 978-4-334-95185-6
2020年8月4日発売
光文社 刊

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いま芸人界イチ“見える”と話題の著者の『女性自身』連載中の心霊エッセイ集。幼いころから霊を見すぎて霊が全然怖くないという著者が、芸人ならではの飄々とした視点で、霊とともに過ごしてきたこれまでの人生や、芸人として過ごす日々で出会った霊、霊視してきたからこそ見えてきた芸能人たちの素顔、そして自身の経験から覆す世の“心霊常識”の数々、たま~に本気で怖かった心霊体験まで、“おもしろ怖~く”語りつくす1冊。

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