下北沢を拠点に多くの爪痕を残してきたロックバンド、BALLOND'OR。新体制で臨んだ最新フルアルバム『R.I.P. CREAM』がついにリリースされた。作詞・作曲を手掛けるMJM(Vo &Gt)の半生を共にした音楽たちを昇華させ、さらなる進化を遂げた最高傑作は一聴、いや、ヘビロテの価値あり。
今回はそんな彼等と、作品のことはもちろん、バンド結成時のエピソードなども飛び出し、自粛で久しぶりに人と話したことも手伝って、ざっくばらんなロングインタビューと相成った。[interview:義村智秋(下北沢SHELTER)/ photo:丸山恵理]
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警察官に「俺がシェルターとか紹介してやるから」って
──これまでは破天荒、悪い狂った輩感みたいな、例えばNANCYが坊主だったり見た目的にもそういう印象に引っ張られる部分があったんですけど、ちょっと落ち着きました?
MJM(Vo &Gt):初期の頃からそうなんですけど、自分たちの中では狂ったとか、破天荒なことをやってやろうとは思ってなくて、まわりからなぜかそういう目線で見られてた部分があるのかなと。その当時、下北にマンションを借りててそこに集って部屋でライブをしたり、大阪屋(下北沢にあったたこ焼き屋)があったところの裏の空き地に、夜中にテント張ってラジカセとかアンプ持ち込んでやってたんです。警察に「お前ら何やってんだ、何でライブハウス行かないんだ」って言われたりしながら何回かやってたら、またその警察官に「本当やめろ、俺がシェルターとか紹介してやるから」って言われたり(笑)。
NIKE(Gt):そのレイヴみたいなのをやってたときかもしれないですね。偶然通りかかった僕らを知ってる人たちとか、バンドマンとかが「あいつら何やってんだ、変な事やってるぞ。迷惑だよな。」みたいな悪い噂が広がってしまって。
──それでライブハウスでやるようになった?
MJM:その噂で、俺たち嫌われてるんじゃないかと思って内に籠る感じになっちゃってたんですけど、NIKEくんが意外とそうでもなかったぞ。ってなったのでちょっとずつ出だしましたね。
──なるほど、本質的には変わったって意識はないんですね。変わったといえばベースが抜けて4人になりました。
NIKE:4人になってからはじめて作ったフルアルバムなんですけど、バンドのサウンドは少しずつ変わっていって、NANCYが完全にシンセベースに転向していって、4人で出せる音を今回ちゃんと詰め込めたなと思います。いろんなところでライブしていく中で、現場で感じたこともたくさんあるし、曲を作っていく中で、4人だったらこんな音を鳴らしたいってのが明確に示せたと思います。
──実際ベースの音も入れてますよね?
MJM:曲によって生のベース、シンセベース、いいなって思う方を使い分けて、録音に関しては曲に合うものだったら全部使おうみたいなやり方でした。
──ところで資料にあるんですけど、NIKEは交通事故にあったんですか?
MJM:半年に2回、しかも両方ともライブの前日に…1回目は去年の1月、夜中に電話掛かってきて、「すいません、轢かれちゃって」って。
NIKE:そのとき顔面打ち付けて歯がなくなってしまったんですけど、次の日ギリギリ歯が間に合ってなんとか歯がある状態でライブはできたんですけど。
──現場に歯が残ってたの?
NIKE:歯をとりあえず持っていかないとと思って、とっさにポケットに入れたんですけど、次の朝、歯医者さんに見せようとしたら小石だった。
(一同大爆笑)
NIKE:暗くて見えなくて(笑)。なんとか下北沢の腕の良い歯医者さんがその場で歯をつくってくれたから間に合ったんですが、スタジオでリハ中に盛り上がっちゃってまた折れてなくなってしまいました。
NANCY(SYNTHESIZER):事故したのが午前3時とかで、連絡くれたとき私寝てて、MJMはすぐ病院行ったみたいで優しいなぁって(笑)。
MJM:その後は去年の8月、SEVENTEEN AGAiNの企画の前日かな。夜中にまた轢かれたって連絡があって(笑)。そのときは骨折しちゃったからもう無理かなと思ったんですけど、NIKEくんがやろうと言ってきたんで、やったんですけど。
NIKE:2回目の事故のときは左の肩だったんですよ。なのでギターを弾くのにちょっとまずいなとは思ったんですけど。何とかなったという感じでした…そのときもMJMが病院に駆けつけてくれました。
──MJMは優しいんだね! ぜんぜんアルバムとは関係なかったな(笑)。
NANCY:まぁより骨太なね、サウンドになったよね(笑)。
(一同笑)