もはや毎年恒例とも言える新宿ロフトでの浅岡雄也のバースデイライブ。今年は「U-ya Asaoka 51th BirthdayLive2020@LOFT」と題し1月26日に行う。今回も本編、アフターパーティの2部制だ。
6回目を迎える今回の副題は「昭平令を駆け抜けろ!」。昭和=FIELD OF VIEW活動以前のアマチュア時代の曲から、平成でのFIELD OF VIEW~ソロ曲、そして令和に向け、希望や明るさが伺える楽曲たちが幅広く飛び出してくることだろう。今年のテーマは「ラブソング」。広義な意味でのラブソングたちが、今も色褪せぬあのエバーグリーンでクリアなハイトーンボーカルに乗り、届けられるに違いない。
そんな浅岡が同ライヴへの意気込みを始め、自身の歌声や過去の自身の曲を歌う姿勢等を語ってくれた。(interview 池田スカオ和宏)
今年のバースディライブは「ラブソング」が多くなりそうです
──先日もライブを拝見しましたが、あの変わらないハイトーン且つクリアな歌声には毎度驚かされます。世にハイトーン歌手は数多くいる中、ここまでクリアさもキープしている方はそう多くはいません。
浅岡:ありがとうございます。とは言え、小田和正さんみたいにもっと凄い方もいますけど(笑)。自分でも僕みたいな歌声の男性は、ここ15年ぐらい出てきていないと自覚していて。最近だとヒゲダン(Official髭男dism)。彼らには非常にシンパシーを感じます。
──浅岡さんが彼らぐらいの齢の頃は、逆に上の世代の方々からそう思われていたのでは?(笑)
浅岡:どうなんだろう? 逆に自分が20代の頃は、当時の50代の方々を見て「早く引退しろ!!」なんて思っていましたけど(笑)。「下がつっかえてるんだから、お前ら早くヤメろ‼︎」って(笑)。今や自分もその「ヤメろ!」って言われてた側の年齢ですからね(笑)。
──(笑)。話はバースデイライブに移りますが。新宿ロフトでの開催も今年で6回目を迎えますね。
浅岡:もう6回目か…。前回は5回だし50歳のバースデイだったけど今回はかなり中途半端だなぁ(笑)。今回のタイトルは「昭平令」。自分の中で、昭和・平成・令和とキチンと区切りをつけてやりたくて。「昭和」と付けたからには昭和の曲も持ってきますから。
──えっ!? FIELD OF VIEWの活動は平成ですよね? となるとカバーも?
浅岡:いやいや自分の曲です。それこそFIELD OF VIEW以前の。まだアマチュア時代だった頃の曲でも演ろうかなって。なんだったらロフトの出演オーディションに落ちた際の曲をやってもいいし(笑)。
──おおっ!? FIELD OF VIEWビフォーの曲も是非聴きたいです!
浅岡:それらを時系列でやるのか?さかのぼってやるのか? はまだ模索中で。もちろんFIELD OF VIEWの曲も何曲かはやります。かなりバラエティに富むでしょう。より自分のことを深く知ってもらえるライブにしたいです。
──今回は最初から「2時間半やります!」と打ち出していますが…。
浅岡:間に少し休憩をはさむ予定ですが。それぐらいの時間は確実にやります。あと、期待は裏切らないように、あえて予定調和とも呼べる、みなさんが望んでいる曲たちも。
──それを楽しみに来られる方も多そうです。
浅岡:そこはあえて期待に応えます。やはりライブは自己満足だけではなく、キチンとエンタテインメントとして成立させなくてはならないので。実は自分は、FIELD OF VIEWの曲を歌う際も、一語一句変えてないし、あえて当時のままのアレンジや歌い方でずっと歌っているんです。だってほら、その人の望みって結局、あの当時の曲だったりするじゃない。それを壊したり、ガッカリさせたり、違うな…と感じさせるのはやはりエンタテインメントに反しているわけで。以前、歌を一部分アレンジして歌った際、お客さんから指摘されて以降なんですが(笑)。
──(笑)。昨年は裏テーマとして「人の背中を押す曲」がありましたが、今回は何かコンセプト等は?
浅岡:今回は「ラブソング」が多くなりそうです。自分の歌ってきたものを振り返ると、やはりラブソングと呼べるものがほとんどだったので。結局、歌の本質の行き着くところはラブソングですから。
自分は昔、ラブソングを歌うのが凄く嫌いで
──恋人に向けてのみならず、家族や友人、はたまた自分だったりと対照の相手に向けてといった意味ではどれもラブソングですもんね。
浅岡:そうそう。例えシチュエーションは違えど、行き着く場所は「君と僕」でしょうから。世界平和を願って歌うのも結局は“君と僕の為”だったり。とは言え自分は昔、ラブソングを歌うのが凄く嫌いで。
──「愛してるなんて恥ずかしくて歌えるか!!」って?(笑)
浅岡:(笑)。ある日、プロデューサーから「お前の声で『♪愛してる』って歌ってやれば、みんなとろけるんだから、その武器を使わない手はない」みたいな話をされ。開き直り、「そこまで言うなら歌ってやる!」と。で、『♪愛してる』みたいな曲を書いたらみなさん絶賛してくれて。そこからですね。歌の自己主張にそうこだわらなくなったのは。自分の考えや趣向を知らしめる為に歌うのではなく、一緒に共有しなくちゃダメなんだなと。いわゆる大きなエンタテインメントのくくりにしないと、やはり人の心にも世の中にも残らないし、残っている方々はやはり自分の歌とエンタメ性をキチンと=(イコール)にしている方々ばかりなので。
──では、その気づいた以降は?
浅岡:もう迷っていられないので、歌える限り歌うしかないなって。もう時間がないな…とは凄く感じていました。
──その「時間がない」は人生の残り時間ですか?
浅岡:それもあるけど、この歌声がいつまで続くのかな? って面ですね。未だに、たばこは吸うし酒は飲むしなので。その声の寿命ばかりは自分でも分からない。なのでいつか訪れる「引退します」って時まで綺麗な声で歌い切るのが目標ではあります。ある日、突然声が出なくなるかもしれないし、出した時に「劣化した」と言われるのがたぶん最も悔しいでしょうから。声ってよく「神様からの授かりもの」と称されるけど。ホントそのギフトは大切にしなくちゃなって。
──もし劣化したり、出なくなった際は?
浅岡:潔く辞めるでしょう。しがみつくのだけはイヤなので。辞めてカレー屋かとんかつ屋でも開こうかなって。
──ご実家はとんかつ屋さんでしたもんね。
浅岡:今は兄がやっています。最近むちゃくちゃ美味しいドレッシングも開発したんで、是非みなさんにも来て欲しい。僕はとんかつ屋と歌で生きてきたようなものですから。なので歌がダメになったらとんかつ屋で皿洗いでもします(笑)。実家のトンカツ屋は小学一年の頃から手伝わされていたし。高校の頃なんてバイトで皿洗いのプロとしてホテルの配膳等もやっていました。その際は特別に普通の時給の3倍はもらってましたよ。
声では絶対に裏切らない自信はあります
──今回のバースデイライブに挑む意気込みはいかがですか?
浅岡:今年もとても楽しみです。メンバーもそれこそ気心知れた手練れた方々ばかりですから。彼らには何も言わずに分かってもらえる感があって。正直それが「今のシーンに対してマッチしているか?」と問われれば、確かに古く映るかもしれない。でも自分の表現としてはそれを貫き通し旗を振り続けなくちゃいけない。逆に「気に入らないなら来なくてもいい!!」ぐらいの強さは持っています!!…と言い切っちゃうと観たい人も限られちゃうんで(笑)、難しいところではあります(笑)。
──対して二部の方は毎度のごとくユルそうですね。
浅岡:こちらはそれこそ誕生日のアフターパーティ感覚ですから。今年もユルくいかせていただきます。本編で演らなかった曲の中から、お客さんのリクエストに応える形で今年も演ろうかなと。
──最後に来ようか? 迷われている方に「来いよ!」的なメッセージをお願いします。
浅岡:僕の今の活動をまだ知らない方も多いとは思うので、まずは聴いてもらいたいです。サブスクリプションでもいい。で、聴いて気に入ってもらえたら是非ライブも観に来て欲しい。そこで観てダメだったら、幾らディスってもらってもかまわないので。声では絶対に裏切らない自信はあります。あとは、18歳からやってきた32年間の51歳のおっさんの境地を見てくれと。
──そういえば来年はFIELD OF VIEWも25周年を迎えますね。
浅岡:そうなんです。それに関しては、この誌面ではまだ言えませんが、当日のステージで何かお知らせ出来ればなと。みなさんお楽しみに。